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改めて自己紹介と30首

◆はじめに
最近短歌の活動を再開して、でも見ていると歌人さんも新しい人が増えたな、と言う印象を受けました。なので、久しぶりの人にも初めましての人にも改めて自己紹介を。

◆自己紹介
鈴木智子です。2010年から短歌を始めましたが去年は離れてました。元・歌人集団かばん所属。2018年に第一歌集『砂漠の庭師』2022年に第二歌集『舞う国』刊行。
そのほかにも茨城での歌会「ひばり歌会」やオンライン歌会「庭の歌会」メンバー。過去にはflipper連作短歌賞の審査員を務めたことも。

◆短歌 最近のもの
suiu投稿から20首

蔦が這いうっそうとした玄関に「こども110番の家」とある
ひとと言う資料の中で深読みはいけない、そこは魔の沼だから
差し色に青を選んだ早朝に目を覚ましゆく南国の鳥
やはり桃。缶をキリキリ開けていくほどに震える香りを放ち
耳のなかオルガンはある眠れない夜に泣きじゃくって堪らない
太陽は雪を送り出す喪主なのか残酷なほど何も残さず
ツイートの投票機能で聞いてみる あなたの街から海は見えるか
好きなだけ廊下を走る大人とは百年だって生きない生き物
むきだしの海、と呼ぶとき気がついた 子供の頃の海はもうない
春からの窮状やがて落ちてくる 市内で高いビルを教えて
手に残る蛾の胴体の感触が泣きたいくらい硬かったこと
絵の中で水浸しになる国境線 あああの人の雨は止まない
部屋に雪 これはあなたの残照だ 昼間みたいな明るさだった
たとえれば花野のようだ日記すら書けない日々を生きていくのは
花束を抱えて帰るもう誰も軽蔑しないために別れた
人生に栞をさした、それが今日 忘れられない一行よあれ
うっかりと取っ手を割ったマグカップたちまち花瓶へ変えていく母
階段にうっすら透けている階下 いつも危ないでしょう、わたしは
四週間のちの来院予約してその頃はもう春なんだろうか
遠くなる日常たちに手を振った 噴水、あなたを尊びました

◆『舞う国』より10首

踊る、と落ちるは似ている今がそう淵にいるときわたしは踊る
ほとり、とは涙が落ちる音に似てまなうらに水鳥は飛び交う
屋上で白く干されたシーツたち五月はきっと揮発する夏
名前、つけるとしたら香港、うつくしく死ぬことばかり考えないで
ペクチンと名前をつけたぬいぐるみペクチンは無賃乗車の常習
満月を袋叩きにしてみたい 落ちたかけらで城を建てたい
山伏が豪快に崖を登り行く動画を夜に何度でも見る
破壊することで得られる給料でかわいいかわいいワンピース買う
神様を撃ち落とすとき気付くだろう宇宙は初めから暗かったこと

◆これから
とりあえず、マイペースに続けていきたいと思っています。もし良かったら仲良くしてください。文フリ東京には大体いるほか、下北沢のHONKEさんの書架主も始めます。そうしたらイベントなども企画したいです。みなさんいらしてくださいね。

どうぞよろしくお願いします!
Twitter @motsun_hourou
旅のTwitter @hourou820_ts

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