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最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.4

『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「地方財務2023年5月号」の「最新法律ウオッチング」に掲載されたものです。

最新法律ウオッチング―地方自治法の一部を改正する法律

地方自治法の一部を改正する法律

 2022年の臨時国会において地方議会議員の請負に関する規制の見直し等を行う地方自治法の一部改正法が成立した。

 地方議会は、住民の代表機関として重要な役割を果たしており、地方自治に欠かすことのできない存在であり、地方分権改革の進展に伴い、地方議会やその構成員である議員の役割はますます重要となっているとされる。

一方で、近年、地方議会議員選挙において、投票率の低下や無投票当選の増加の傾向が強まっており、議員のなり手不足への対応が喫緊の課題となっている。議員のなり手不足については、地方議会議員に係る規制の対象となる請負の範囲が不明確であること、地方公共団体と取引がある個人が、取引額の多寡にかかわらず一律に議員となることを禁じられていること、立候補に伴う休暇制度等が整備されていないことなどがその要因として指摘をされている。

このような状況を踏まえ、地方議会議員に係る請負に関する規制について、請負の定義を明確化するとともに、議員個人による請負に関する規制を緩和するほか、災害等の場合における地方議会の開会の日の変更に関する規定を整備するため、衆議院の議員立法として、地方自治法の一部改正法案が国会に提出され、成立した。

地方自治法の改正

●地方議会議員の請負規制の見直し
 地方自治法は、地方公共団体の議会の議員は、当該地方公共団体に対し請負をする者やその支配人、あるいは、主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役、監査役やこれらに準ずべき者、支配人、清算人たることができないと規定する。

改正により、規制の対象となる請負の定義を明確化し、「業として行う工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入その他の取引で当該普通地方公共団体が対価の支払をすべきもの」とした。

また、各会計年度において支払を受ける当該請負の対価の総額が普通地方公共団体の議会の適正な運営の確保のための環境の整備を図る観点から政令で定める額を超えない者を、議員個人による請負に関する規制の対象から除くこととした。なお、「政令で定める額」は、地方自治法施行令の改正により、300万円とされた。

●災害等の場合の議会開会日の変更
 地方自治法は、地方公共団体の議会の招集は、開会の日前、都道府県や市は7日、町村は3日までにこれを告示しなければならないと規定する。

 改正により、招集の告示をした後に招集に係る開会の日に会議を開くことが災害その他やむを得ない事由により困難であると認めるときは、告示をした者は、招集に係る開会の日の変更をすることができることとし、この場合は、変更後の開会の日や変更の理由を告示しなければならないこととした。

●立候補に伴う休暇等
 政府は、事業主に対し、地方公共団体の議会の議員の選挙で雇用する労働者が容易に立候補をすることができるよう、地方公共団体の議会の議員の選挙における立候補に伴う休暇等に関する事項を就業規則に定めることその他の自主的な取組を促すものとした。

 また、地方公共団体の議会の議員の選挙における労働者の立候補に伴う休暇等に関する法制度については、事業主の負担に配慮しつつ、かつ、他の公職の選挙における労働者の立候補に伴う休暇等に関する制度の在り方についての検討の状況も踏まえ、改正後の規定の施行の状況、事業主の自主的な取組の状況等を勘案して、引き続き検討が加えられるものとした。

●施行期日
 この法律は、一部を除き、公布の日(2022年12月16日)から3か月以内で政令で定める日(23年3月1日)から施行された。

国会論議等

 国会では、議員の請負規制を緩和することで請負事業者たる議員による地位利用や談合が横行しないかとの懸念が示された。これに対しては、議員個人による年間の請負額について上限を設けており、その額は個人企業の年間売上高の全国平均の2割程度である300万円とすることが適当であり、請負関係への関与が間接的である議員が取締役等に就いている法人には全業務量の5割までの請負が認められていることを踏まえ、関与が直接的な個人はそれよりも十分に低い水準に抑えようとするものとの説明がされた。

 また、衆参の総務委員会では、政府は、各地方公共団体で議員個人による請負の状況の透明性を確保するための対応について、必要に応じて適切な助言を行うべき等との決議がされた。



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