最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.5
『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「法律のひろば2023年8月号」の「ひろば法律速報」に未掲載のものです。
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律
① この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないものをいい、「特定受託業務従事者」とは、特定受託事業者である個人及び特定受託事業者である法人の代表者をいい、「業務委託事業者」とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者をいい、「特定業務委託事業者」とは、業務委託事業者であって従業員を使用するものをいうこととする。
② 業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日等を、書面又は電磁的方法により特定受託事業者に対し明示しなければならないこととする。
③ 特定業務委託事業者は、特定受託事業者の給付を受領した日から起算して60日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において定められた支払期日までに報酬を支払わなければならないこととする。
④ 特定業務委託事業者は、政令で定める期間以上の期間行う業務委託をした場合は、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、特定受託事業者の給付の受領を拒むこと等をしてはならないこととする。
⑤ 特定業務委託事業者は、広告等により特定受託事業者の募集に関する情報を提供するときは、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、正確かつ最新の内容に保たなければならないこととする。
⑥ 特定業務委託事業者は、特定受託事業者が育児介護等と両立しつつ業務委託(政令で定める期間以上の期間行うもの(当該業務委託に係る契約の更新により当該政令で定める期間以上継続して行うこととなるものを含む。)に限る。以下「継続的業務委託」という。)に係る業務に従事することができるよう、必要な配慮をしなければならないこととする。
⑦ 特定業務委託事業者は、特定受託業務従事者に対する性的な言動等により、その就業環境を害することのないよう、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等の措置を講じなければならない。
⑧ 特定業務委託事業者は、継続的業務委託に係る契約の解除をしようとする場合等には、少なくとも30日前までに、その予告をしなければならないこととする。
⑨公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、この法律の違反行為があった場合等には、特定業務委託事業者等に対し、指導、助言、勧告、命令、公表等をすることができることとする。
⑩国は、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備に資するよう、特定受託事業者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等の措置を講ずる
こととする。
刑事訴訟法等の一部を改正する法律
① 保釈中又は勾留執行停止中の被告人が公判期日に出頭しない行為等について、2年以下の拘禁刑に処することとする。
② 保釈中又は勾留執行停止中の者を監督する者を裁判所が選任できることとする。
③ 拘禁刑以上の実刑判決の宣告を受けた者等について、裁判所の許可なく出国してはならないこととする。
④ 保釈された者が国外に逃亡することを防止するため、裁判所の命令により位置測定端末を装着させ、飛行場の周辺等の所在禁止区域への所在等の事由の発生を検知できることとする。
⑤ 犯罪被害者等の個人特定事項の記載がない起訴状抄本等を被告人に送達する措置等により、刑事手続において当該個人特定事項を秘匿できることとする。
⑥ 逃走罪及び加重逃走罪の主体を拡張するとともに、逃走罪の法定刑を1年以下の懲役から3年以下の懲役に引き上げる。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律
① 接近禁止命令等について、申立てをすることができる被害者に、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫を受けた者を追加し、その要件を更なる身体に対する暴力等により心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときに拡大するほか、当該命令等の期間を1年間に伸長する。
② 被害者への電話等禁止命令の対象行為に、緊急やむを得ない場合を除き、連続して文書を送付し、又はSNS 等により通信文等を送信すること、性的羞恥心を害する電磁的記録を送信すること、被害者の承諾を得ないで位置情報記録・送信装置によりその位置情報を取得すること等を追加する。
③ 被害者と同居する未成年の子への接近禁止命令の要件を満たす場合について、当該子に対して、緊急やむを得ない場合を除き、連続して電話をかけること等を禁止する命令を創設する。
④ 退去等命令について、被害者及び配偶者が生活の本拠として使用する建物等の所有者又は賃借人が被害者のみである場合に被害者の申立てがあったときは、当該命令の期間を6月間とする特則を設ける。
⑤ 保護命令に違反した者に対する刑事罰について、懲役刑の上限を2年に、罰金刑の上限を200万円に、それぞれ引き上げる。
⑥ 国が定める基本的な方針及び都道府県が定める基本的な計画の記載事項について、民間の団体等との連携及び協力に関する事項を追加する。
⑦ 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、関係機関等により構成される協議会を法定化し、協議会の事務に関する守秘義務等を設け、被害者の保護を図るために必要な情報の交換及び被害者に対する支援の内容に関する協議を行うこと等とする。
著作権法の一部を改正する法律
① 公表された著作物等のうち、著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は当該著作物等の利用の可否に係る著作権者の意思を円滑に確認するために必要な情報の公表がされているもののいずれにも該当しないもの(以下「未管理公表著作物等」という。)を利用しようとする者は、文化庁長官が定める措置をとったにもかかわらず、当該未管理公表著作物等の利用の可否に係る著作権者の意思が確認できなかったときは、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託することにより、裁定において定める期間に限り、当該未管理公表著作物等を利用することができることとする。
② 文化庁長官は、著作権者不明等の場合の裁定及びの裁定に係る補償金の受領、管理、支払等に関する業務(以下「補償金管理業務」という。)を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、全国を通じて1個に限り、補償金管理業務を行う者(以下「指定補償金管理機関」という。)として指定することができることとする。指定補償金管理機関が補償金管理業務を行うときは、著作権者不明等の場合の裁定及びの裁定により供託することとされた補償金は、指定補償金管理機関に支払われるものとする。
③ 文化庁長官は、の裁定及び補償金の額の決定に係る事務のうち、裁定の申請受付に関する事務、裁定の要件確認に関する事務及び裁定に係る通常の使用料相当額の算出に関する事務を、その登録を受けた者に行わせることができることとする。
④ 著作物等は、立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合等には、その必要と認められる限度において、当該内部資料の利用者間で公衆送信等を行うことができることとする。
⑤ 著作権等の侵害者が譲渡した物の数量等に基づく損害額の算定について、著作権者等の販売等の能力を超える部分に係る数量等があるときは、これらの数量に応じた著作権等の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を損害の額に加えることができるものとする。
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