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養生訓 巻第四 慎色慾 鳳凰堂流解釈⑦


原文を現代文に改変

房室の戒め多し、殊に天變の時、恐れ戒むべし。日蝕、月蝕、雷電、大風、大雨、大暑、大寒、虹蜺(こうげい)、地震、この時房事を戒むべし。

春月雷初めて聲を發する時、夫婦の事を戒む。

又土地につきては、凡そ神明の前を恐るべし。

日月星の下、神祠の前、我が父祖の神主の前、聖賢の像の前、これ皆恐るべし。

且つ我が身の上につきて時の禁あり。

病中、病後、元氣未だ本復せざる時、殊に傷寒、時疫、瘧疾の後、腫れ物、癰疽いまだ癒えざる時、氣虚、労損の後、飽渇の時、大酔大飽の時、身勞動し遠路行歩に疲れたる時、忿悲、憂い、驚きたる時、交接を戒む。

冬至の前五日、冬至の後十日、静養して精気を漏らすべからず。

又女子の經水いまだ盡ざる時、皆交合を禁ず。

これ天地地祇に對して、恐れ慎むと、我が身において病を慎むなり。

生まるる子も亦た形も心も正しからず。或いはかたわとなる。禍ありて福なし。

古人は胎教とて、婦人懐妊の時より慎める法あり。房室の戒は胎教の前にあり。

これ天地神明の昭臨し給うところ尤も恐るべし。我が身及び妻子の禍も亦た恐るべし。

胎教の前この戒めなくんばあるべからず。

鳳凰堂流意訳

房室での戒めは多い、特に天候が変化する時は注意して戒めるべきである。

日蝕、月蝕、雷電、大風、大雨、大暑、大寒、虹蜺(こうげい)、地震、この時房事を戒めるべきである。

春、雷が初めて音を発する時、夫婦の事を戒める。

又場所では、神明の前で行うのは恐れるべきである。

太陽、月、星の下、神祠の前、自身の父祖の神主の前、聖賢の像の前等は全て恐れるべきである。

同時に自分自身に関しては時によって禁止事項がある。

病中、病後で、元氣が未だ本当に回復していない時、特にウイルス性・感染性疾患の後や腫れ物、癰疽がまだ癒えていない時、氣虚、労損の後、飽渇の時、大酔大飽の時、身体を労働させて遠路歩き疲れた時、怒り、悲しみ、憂い、驚いた時は交接を戒める。

冬至の前五日、冬至の後十日は静養して精気を漏らしてはいけない。

又女子の月経がまだ終わっていない時は全て交合を禁止する。

これらは天地地祇に対して、恐れ慎む事と、自身において病を慎む事とが同じ意味を持つ。

これに反すると、生まれる子も又形も心も正しくなくなる。或いはかたわとなる。禍があっても福がない。

古人は胎教として、婦人懐妊の時に慎める法がある。房室の戒めは胎教の前にある。

天地神明の現れるところは最も恐れるべきである。自分自身及び妻子の禍も又恐れるべきである。

胎教の前にこの戒めがないわけにはいかない。

鳳凰堂流解釈

房事の時間と場所(空間)による戒めが書かれています。

受精する際から、受精後の影響まで。

寿命はわからないからこそ、古人は生死の境
までを真摯に見つめて生きていた証として遺してくれたのだと考えると、頭の下がる想いです。

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