養生訓 巻第八 灸 鳳凰堂流解釈⑲
原文を現代文に改変
病者氣よわくして、つねのひねるたる灸炷をこらえがたき人あり。切艾を用ゆべし。
紙をはば一寸八分ばかりにたてにきりて、もぐさを、おもさ各三分に秤にかけて長くのべ、右の紙にてまき、其はしをのりにてつけ、日にほし、一炷ごとにながさ各三分に切りて、一方はすぐに、一方はかたそぎにし、すぐなる方の下にあつき紙を切てつけ、日にほして灸炷とし、灸する時鹽のりをその下に付けて灸すれば、熱痛甚だしからずしてこらえやすし。
灸炷の下にのりを着けるに、艾の下にはつけず、まわりの紙の切り口に着ける。もぐさの下にのりをつくれば、火下までもえず。此きりもぐさは、にわかに熱痛甚だしからずして、ひねるもぐさよりこらえやすし。
然れ共ひねり艾より熱する事久しく、きゆる事おそし。そこに徹すべし。
鳳凰堂流意訳
病人は氣がよわく、通常のひねった灸炷をこらえがたい人もいる。その場合は切艾を用いる。
紙を幅約5.4cm位に縦に切り、もぐさを、おもさ各三分の秤にかけて長くのばし、右の紙でまき、その端をのりでつけ、日にほし、一炷ごとにながさ各約3mmに切って、一方は真っ直ぐに、一方はかたそぎにし、真っ直ぐな方の下にあつい紙を切てつけ、日にほして灸炷とし、灸する時塩のりをその下に付けて灸すれば、熱痛が酷くなくこらえやすい。
灸炷の下にのりを着ける為、艾の下にはつけず、まわりの紙の切り口に着ける。もぐさの下にのりをつくれば、火下までもえない。このきりもぐさは、すぐに熱痛が酷くならないので、ひねるもぐさよりこらえやすい。
しかし、ひねり艾より熱くなる時間は長く、消えるのが遅い。そこに徹するべきである。
鳳凰堂流解釈
灸の簡便化、安全化としてはこの方法が最良と考えられ、現在は普通に行われています。
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