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092_『ピカレスカ』 / 倉田健次

全編を通して、少し狡さを感じるくらい、映像が美しい。

映画への愛が溢れている。

30分という時間にとても丁寧に物語が収められていて、たとえ物語は終わったとしてもその世界にまだまだ浸っていたくなる。その先にある日常を見守っていたくなる。

山の麓の街にある古本屋。その古本屋の店主ヨーコの無知で無垢な犯罪計画。それは"バスジャック"。

バスジャック計画に加わる古本屋の常連のカナエさんと、街で出会った韓国人留学生のキム君。その3人の会話とやりとりと挙動が逐一楽しくて、思わず笑ってしまう。

そして、肝心のバスジャックは成功するのか... という気になる結末もまた、とても愛おしくて。

この美しい街の景色を、心の片隅に置いておこうと思う。

今日は少し嫌な気持ちになることがあったけれど、この映画のことを考えていたら、少しだけ心が晴れやかになった気分。


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