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097_『ときに川は橋となる』 / オラファー・エリアソン

『ときに川は橋となる』
作家:オラファー・エリアソン
会期:2020年6月9日(火)〜 9月27日(日)
場所:東京都現代美術館

コロナ禍による開催延期を経て、6月上旬より開始した本展。今年度の現代アートの展示の中では期待値は最大級。

久しぶりの東京都現代美術館。昨年のダムタイプ以来。混雑情報も漏れ聞こえてきていたので、早めの時間に鑑賞。

空間そのものを最大限に活用した作品が多いので、人の少ない午前中の早めの時間、あるいは平日がオススメ。

(ジェームズ・)タレルといい、レアンドロ(・エルリッヒ)といい、視覚的な面白さが前面に映る作品は、とりわけ日本では好まれる傾向があって、オラファーも本展示も文字通り老若男女が観に来ていて大人気。

シンプルに面白く、奥深い作品ばかり。

そして、展示のタイトルにもなっている新作『ときには川は橋となる』は必見の作品。「都現美の、あの広いスペース」と言えば、訪れたことのある人であれば誰しもが思い浮かぶであろう、あの空間。それを絶妙に活用したこの作品。スケール感も、そこから生まれる鑑賞体験も、設営のレベルも非常に高くて、素晴らしいの一言。

ただ、それ以上に注目に値すべきは、オラファーの作品制作に対する姿勢そのもの。今回の展示では、そのメッセージを伝えるため、前半にコンセプチュアルな作品、そして作品制作におけるプロセスやスタジオでのスタディの紹介と、とてもわかりやすく展示が組み立てられていて、その構成が非常に秀逸。

視覚的な魅惑に人は打ち勝つことが決してできないので、今回の新作や、ポスターにも使われている『ビューティ』といった「映える」作品は、後半に展示されている。むしろ、本展示の意図を考えると、これらの作品はおまけと言ってしまっても良いくらい。

オラファーの作品イメージが自分の中でも固定化してしまっていたけれど、過去の代表作品の紹介もあって、昔の若干荒ぶれているオラファーを知ることができたのも良かった。

図録も必買。



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