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ホウエツ病院 災害医療の取り組み

私たち、医療法人芳越会 ホウエツ病院は65床の小さな病院ですが、こんな小さな病院でも、災害医療の取り組みに関しては、全国的に知られています。当院の特徴は、24時間離発着が可能なヘリポートを完備しており、そのヘリポートは夜間照明を設置していますので、夜間でも離発着が可能なところです。当院は、先のエントリーでもご紹介の通りに、今現在は外科的処置ができませんので、徳島県西部地域のランデブーポイントとして活用して頂いてますが、災害時の時は、自衛隊ヘリも着陸可能ですので、患者さんの避難や地域住民の方の避難が必要となった際には、このヘリポートが大きな役割を果たすと考えています。むしろ、災害時に大きなや割を果たせるようにと願って、ヘリポートを建設しました。民間病院として全国で初めて整備したのが当院です。(ちなみに・・・1円の補助金も出ておりません)

2005年へリポート新聞

このヘリポートを設置して以来、当院だけではなく、美馬市、徳島県の災害訓練に加えて、海上自衛隊、陸上自衛隊、徳島県警のヘリコプターの離発着訓練にも当院へリポートが使用されています。災害は、広域での協力が必要不可欠で日頃からの連携がなければ、災害は乗り切れないと考えています。

平成25年1月27日AS332L1型-2

以下の写真は、平成27年6月24日 海上自衛隊72航空隊徳島航空基地分遣隊の離発着訓練時の写真です。

海上自衛隊第72航空隊-UH60-J

当院では南海トラフ巨大地震を想定した訓練も長年行ってきています。
南海トラフが起きた場合、海に囲まれている徳島県の場合は東部地域が壊滅的な被害を受ける可能性があり、徳島県西部地域の役割は非常に大きいと考えています。当院は、徳島県DMAT(災害派遣医療チーム)隊員としてだけではなく、AMAT全日本病院協会災害時医療支援活動班)としての活動、そして、特定非営利活動法人AMDAでの災害支援にも参加し、南海トラフ地震だけでなく、この地域でも起きるであろう災害に備えております。

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ここ数年での実施した訓練
平成29年度 平成29年度西部圏域防災訓練(H29.10.15)
平成29年度 美馬市民地域防災訓練(H29.10.29)
平成30年度 平成30年度徳島県総合防災訓練(H30.9.1)
平成30年度 全日本病院協会救急災害訓練(H31.1.19-1.20)
平成30年度 徳島県国民保護共同訓練(H31.2.24)
令和1年度  令和元年度徳島県国民保護共同訓練(H31.2.3)

訓練なんて興味がないと思われる方も多くいらっしゃいますが、実際災害が起きた時にいきなり行動できると思っているのは過信でしかないと思います。私たち、病院は、24時間365日、絶対に止めてはいけない業種です。何があっても患者様を安全に避難させなければなりません。
大規模災害だけでなく、停電や洪水とういう身近な災害は、他人ごとではありません。訓練を行うと入院中の患者さんの顔が必ず浮かんできます。
この方どうやって避難させるべきか・・・具体的に想像することは非常に重要です。皆さんは、災害訓練に参加されたことはありますか?学校の災害訓練以来、訓練なんてやったことがないという方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?

病院で行う災害訓練は、簡単ではありません。
実際に入院中の患者さんもいらっしゃれば、救急で搬送される患者さんもいらっしゃる中で、病院で実践的な訓練を実施するのは、容易な事ではありませんが、当院では、患者様にご協力を頂き、当院を使用した、日中だけでなく、夜間に及ぶ大規模な災害訓練も実施しました。

災害訓練:平成30年度全日本病院協会救急災害訓

2019年1月19日、20日の二日間にわたって、ホウエツ病院などを会場に、
平成30年度全日本病院協会救急災害訓練を実施。
【訓練概要】

日時:
2019年1月19日(土) 
第1部 13時30分~17時30分、
第2部 17時30分~22時00分

2019年1月20日(日)
8時30分~12時30分

主催 :全日本病院協会、全日本病院協会徳島県支部、ホウエツ病院
共催:徳島県・徳島県医師会・美馬市

協力機関(順不同):徳島県、美馬市、徳島県西部総合県民局、関西広域連合、美馬保健所徳島県警察本部、美馬警察署、美馬市消防本部、DMAT、陸上自衛隊第14旅団、徳島県消防防災航空隊、海上自衛隊、徳島県医師会、認定特定非営利活動法人アムダ、地域連携の会~絆~、AMAT

訓練参加者:約240名

【訓練想定】
平成31年1月18日(金)午前5時30分、和歌山県南方の南海トラフ付近にて、マグニチュード9.0の地震が発生し、県内が震度7を観測した。
ホウエツ病院は地震発災後32時間、院内災対本部を設置し訓練を行いました。また今回の訓練では、『第2部 夜間院内訓練』として、夜間のライフライン状態をリアルに再現した訓練も実施しました。

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訓練の様子(1)ホウエツ病院 日中の訓練
【ホウエツ病院 災害対策本部】

全日病訓練_ホウエツ

訓練の様子(2)ホウエツ病院 第2部 夜間院内訓練
今回の訓練では第2部として17時30分~22時の時間帯に、下記の夜間を想定した災害対策本部運営を実施しました。
(1)ライフラインをリアルに再現
(2)夜勤看護師への災害時対応の教育
(3)AMAT本部、徳島AMAT本部との通信訓練
(4)備蓄食品の炊き出し訓練

夜間訓練_1

訓練の様子(3)その他の会場での訓練
【AMAT活動拠点本部】
■1月19日 たまき青空病院内に設置。余震発生(想定)
■20:00 ホウエツ病院へ、AMAT活動拠点移転
■1月20日 ホウエツ病院内で活動

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【美馬市役所 美馬市災害対策本部】

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【訓練会場CSRM 】
CSRMより患者救出され、ホウエツ病院へ搬送された時の様子

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【ヘリ運用航空調整 】
徳島県ドクターヘリ、消防防災ヘリうずしお、海上自衛隊ヘリSH-60J、
徳島県警ヘリしらさぎの航空調整訓練も同時に実施しました。
自衛隊ヘリまで加わった航空調整訓練は、全国でも例はありません。

ヘリ訓練

全日本病院協会救急災害訓練は、南海トラフ地震が起きて数時間後を想定した内容とし、徳島県として津波の来ない県西部の特性を活かし、規模は小さくても二次病院として具体的にどの様な活動を行うべきかを考慮しました。普段から救急や地域連携に関係している機関の方々に参加いただき、大変有意義な訓練を開催することができました。またこの訓練では夜間訓練を行い電気などライフラインが十分に機能していない状態を実体験するなど、参加したスタッフ一同貴重な経験を得ることができました。訓練の重要性と日々の備えをを再認識する機会となりました。

【近年の当院DMAT派遣、活動・訓練参加実績】
平成29年度
平成29年度第1回徳島D MATロジスティックス研修(H29.8.19)
平成29年度四国ブロックDMAT実動訓練(H30.1.20~H30.1.21)
第23回日本集団災害医学会総会・学術集会演題発表(H30.2.1~H30.2.2)
政府総合防災訓練(H29.7.29)
平成29年度DMAT技能維持研修(H30.2.12)
平成29年度DMAT技能維持研修(H29.5.16)
平成29年度航空機事故図上訓練(H29.11.17)
平成30年度
平成30年西日本豪雨災害派遣(H30.7.8~H30.7.10)
平成30年度四国ブロックDMAT実動訓練(H30.2.10~H30.2.11)
政府総合防災訓練(H30.8.4)
平成30年度DMAT技能維持研修(H30.5.27)
平成30年度DMAT技能維持研修(H30.7.22)
平成30年度DMAT技能維持研修(H31.3.10)
平成30年度日米共同統合防災訓練内艦船訓練(H30.11.13~H30.11.14)
令和1年度
令和元年度第1回徳島DMATロジスティックス検討会(R1.9.15)
平成31年度四国ブロックDMAT実動訓練(R1.10.19~R1.10.20)
令和元年度DMAT技能維持研修(R2.2.2)
政府総合防災訓練(R1.9.7)
平成31年度中国四国ブロックDMAT実動訓練(R1.11.10~R1.11.11)

災害・救急医療は地域医療にとって必要不可欠であり、へき地だからこそ、
支援にも受援にもしっかり備えておかねばならないと考えています。
災害医療に興味がある医師、看護師、コメディカル職のみなさん、是非、ホウエツ病院で一緒に災害対策に取り組みませんか?ホウエツ病院では、DMAT隊だけでなく、AMAT隊の災害支援隊員の育成にも力を入れています!
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今現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、これだけ大規模な災害訓練を行うことは非常に難しいですが、当院では、これからも、積極的に災害医療に取り組んで参ります。