堀田陽平(弁護士 日比谷タックス&ロー弁護士法人)

石川県白山市出身 弁護士 二児の父 2020年9月まで経産省産業人材政策室にて、兼業・…

堀田陽平(弁護士 日比谷タックス&ロー弁護士法人)

石川県白山市出身 弁護士 二児の父 2020年9月まで経産省産業人材政策室にて、兼業・副業、テレワーク等の柔軟な働き方の推進、フリーランス活躍、人材版伊藤レポート策定等のに従事。著書「多様な働き方と人事の法務」(新日本法規出版)、「副業・兼業の実務上の問題点と対応」(商事法務)等

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

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エンゲージメントを高める「ストレッチアサインメント」

先日の日経新聞に以下のような記事がありました。 日経新聞社の調査によれば、働きやすさを尊重する「ホワイト企業」でもなく、また、「働きがい」が高い「モーレツ企業」でもなく、「働きやすさ」と「働きがい」の両方を掛け合わせた「プラチナ企業」の方が、売上高の増加率、PBRが高いという結果が出ているようです。 適度なアサインがエンゲージメントに影響する昨今では、「ホワイトすぎる企業」も敬遠されるということもよく聞かれます。これは自身にとって難易度が低すぎる仕事がアサインされ、成長実

    • フリーランス新法で副業推進はどう変わるか(副業政策とフリーランス政策の関係性)

      昨年成立・公布されたフリーランス新法ですが、今年の秋頃の施行が見込まれています。 フリーランスガイドラインからフリーランス新法へと進められてきたフリーランス政策ですが、フリーランス政策は副業推進政策とも関係しています。 今回は、フリーランス政策と副業推進政策との関係について書いていきます。 「副業・兼業」には大きく3パターン「副業・兼業の推進」といったところで、大きくみると、「副業・兼業」には、大きく次の3パターンあります。 ① 雇用契約×雇用契約のパターン ② 雇用契

      • 副業政策のゴールはどこか

        三井物産では、労組が人材戦略を提言し、副業制度につながっており、労働者側からのプレッシャーで副業を解禁するという流れが見られます。 働き方改革以後の副業実施状況働き方改革以降、政府をあげて進めてきた副業推進政策ですが、「副業をやっている人」と「副業希望者」とでは、後者の方が多い状況であり、「やりたいけどできない」という状況になっています。 さらに、働き方改革で、この差は縮まるかと思うと、そうではなく、令和4年度就業構造基本調査の結果では、むしろこの差は広がっています。 副

        • 「副業規制」など存在しない

          先日の日経新聞記事に「副業規制」という表現を用いて、希望がありつつも副業を実施できていない人がいるという旨の記事が掲載されていました。 私は、この記事を読んで、内容には違和感はないものの「副業規制」という言葉には、ピクっと反応していまいました。 これまでも私の記事をお読みいただいた方からすれば、繰り返しのような内容になりますが、この記事を受けて、再度「副業規制」とは何なのか、そもそも「規制」は存在しているのかについて書いていきます。 ※今回の記事については、以下もご参照

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          副業の相互受入れと健康確保の仕組み構築の必要性

          日立製作所とソニーグループとが、2024年に社員の副業を相互に受け入れるようです。 私は副業推進を肯定的に捉えていますし、副業推進政策を担当していた身としても、ひとまずこうした仕組みの上であれ、副業に肯定的なプラクティスが増えていき、副業に関する実証データが出てくることは重要であろうと思われます。 こうした複数の企業が集まって、その枠内での副業を許容するという仕組みは、これまでも多くみられてきたところですが、今回の記事の件では、詳細なルールは不明ですが、日立製作所とソニー

          副業の相互受入れと健康確保の仕組み構築の必要性

          いよいよ本格的に動き出すフリーランス政策

          アメリカでは、ギグワーカーに企業従業員と同待遇とする旨の規則を発表したようです。 ギグワーカーないしフリーランスに関しては、欧米諸国において立法の議論がされているところであり、世界的にもホットな話題といえるでしょう。 もちろん、日本においても働き方改革以降(厳密には少し前から)フリーランスに関する政策の議論がされてきましたが、フリーランスを競争法の枠組みで保護すべきか、労働者として保護すべきかなど難しいテーマであり、さらに公正取引委員会、中小企業庁、厚労省に横断的にまたが

          いよいよ本格的に動き出すフリーランス政策

          「収入目的の副業はけしからん!」と言えるのか

          昨日の日経新聞に「バラ色ではなかった副業」として、以下の記事が掲載されています。 そこでは、「企業はスキル向上を、働き手は収入増を目的としており、目的にずれがある」旨指摘されています。 この指摘は今になされたものではなく、働き方改革の流れもあり世の中で「副業解禁!」などと言われた時から指摘されているものです。 この点については、私として色々思うところがあり、今回はこの点について書いていきます。 収入目的は「働く」以上当たり前ではないかまず、この手の議論になった時にいつも

          「収入目的の副業はけしからん!」と言えるのか

          従業員は「経営」にどうかかわるか

          以前、以下の記事でも書いたとおり、人材版伊藤レポートのひとつの狙いは、人的資本ないし人材戦略についてコーポレートガバナンス・コードの中に位置づけることでした。 日本企業でも「従業員が生き生き働けるように」と従業員の利益を考えた施策が試行錯誤されています。 個人的にも「労働」と「コーポレートガバナンス」の関係には関心があり、機会があれば色々調べていましたが、商事法務様の「会社法コンメンタール」15巻の付録に丁度いい対談記事があり、とても刺激的でした。 今回、この記事も踏ま

          「賃金の硬直性打破」には「総論賛成・各論反対」な人が多いのではないか

          物価上昇、人手不足の関係もあり「賃上げ」の必要性がより一層認識されるようになったかと思われます。 国もまた税制上の措置を講じて賃上げを後押しており、実際に銀上げに積極的な企業も多く見られるところです。 他方で、やはり未だに賃上げには慎重な姿勢の企業もみられるところであり、その理由として「一度賃金を上げてしまうと、なかなか下げられないから」という点が挙げられます。 以下の記事においても、そのような主張がなされています。 経済学的に見れば「そのとおり」という内容ではありますが、

          「賃金の硬直性打破」には「総論賛成・各論反対」な人が多いのではないか

          中小企業は名古屋自動車事件最高裁のメッセージに対応できるか

          以下の記事にもあるように、労働生産年齢人口が減少していく我が国においては、今後、高齢者雇用の拡大が重要となる一方で、いわゆる「同一労働同一賃金」が大きな課題となっています。 この点に関し、今年大きな注目を集めた最高裁判例として、名古屋自動車事件最高裁判決(最高裁令和5年7月20日)があります。 先日、同一労働同一賃金の第一人者と言える学者の先生の話しを拝聴し気になったことを備忘もかねてまとめておきたいと思います。 長澤運輸事件の判断名古屋自動車事件以前においても、定年後

          中小企業は名古屋自動車事件最高裁のメッセージに対応できるか

          ”テレワーク”は推進するが”事業場外みなし”そのものには消極的な厚労行政のジレンマ

          リモート勤務などの柔軟な働き方を認める企業の方が、出社型企業よりも業績の伸びが4倍であるという調査が出たようです。 従前からこうした見方はあったものの、因果関係は不明なところでしょうし、業態にもよるところもあるでしょう。 いずれしても、コロナ禍後もテレワークを継続すべきか検討している企業は多いものと思われます。 そこで問題になってくる労務管理の点では、厚労省は「テレワークに事業場外みなしを使うことができる」として、事業場外みなし労働時間制度の活用を勧める一方で、「事業場外

          ”テレワーク”は推進するが”事業場外みなし”そのものには消極的な厚労行政のジレンマ

          実は既に「労働者概念」は多義的になっているのではないか

          フリーランスの政策が活発に議論されて以降、頻繁に問題になるのは、「現行の労働者概念を見直すべきではないか。」という論点です。 このような議論になった時にいつも思うところとして「実は既に『労働者概念』はかなり多義的になっているのではないか。」ということです。 労働基準法上の「労働者」とは労働基準法では、「労働者」を以下のように定義しています。 これを整理すると、一般に①使用従属性、②報酬の労務対償性がある場合には、「労働者」とされるとしています。 労働組合法の「労働者概

          実は既に「労働者概念」は多義的になっているのではないか

          副業の場合の労働時間の問題を本腰を入れて検討すべき

          規制改革推進会議において来年夏の答申に向けた議論が開始されました。 上記記事にあるように、「副業・兼業の円滑化」も検討課題として挙げられており、労働時間の問題についても議論されるようです。 この点については、かねてからnoteに書いてきたところですが、これまで書いてこなかった課題について書いておきたいと思います。 ※以下の記事も参考にしていただけると嬉しいです。 厚労省の整理は「知らなければ責任なし」まず、前提として、厚生労働省は令和2年9月1日発出の解釈通達において

          副業の場合の労働時間の問題を本腰を入れて検討すべき

          経産省での執務経験から思う官僚のやりがい向上と「官僚叩き」

          以下の日経新聞にも掲載されているとおり、人事院は25日から、公務員制度の在り方について議論する「人事行政諮問会議」を設置したようです。 論点としては、 (1) 行動規範の導入 (2) 職場環境の改善 (3) 兼業の在り方 (4) 業務見直し などが上がっているようです。 兼業の在り方については注目したい副業・兼業について色々研究し、発信している身としては、やはり兼業の在り方は気になるところです。 これまでnoteでも書いてきましたが、私企業においては原則として副業・兼業

          経産省での執務経験から思う官僚のやりがい向上と「官僚叩き」

          法律や裁判所は「キャリア」をどう位置付けているか

          人生100年時代の到来により働く期間が長期化する中で、「キャリア自律」だとか「個々人のキャリアの尊重」という言葉をよく耳にするようになり「キャリア」の重要性が増しています。 私も、経産省の人材室(当時)にいた頃は、まさに政策的観点から「個々人のキャリア自律を促す」といったことを色々なところで話してきました。 ところで、この「キャリア」というものを法律や裁判所はどうみているのでしょうか。 結論を先に出してしまうと、法的観点からまだ固まった考え方はないのですが、自論も踏まえ

          法律や裁判所は「キャリア」をどう位置付けているか

          フリーランス新法を下請法とは別に立法する意義

          今年5月、いわゆるフリーランス新法が公布され、フリーランスと発注事業者との取引適正化が期待されています。 ところで、しばしば「フリーランス新法は下請法の引き写しに過ぎない」と言われることもあります。実際、ある時「下請法改正!」という記事が出たこともあります。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA137C90T10C22A6000000/ 確かに遵守行為は下請法の禁止行為と類似確かに、フリーランス新法が対象とする取引の類型は下請法

          フリーランス新法を下請法とは別に立法する意義