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お弁当初心者の私が辿り着いた、私に合うお弁当作りの形

 しがない会社員として働く私は、お昼は自分で用意したお弁当を食べます。しかし、本格的に作り始めたのは、1年ほど前から。まだまだ不慣れながらも、最近やっと自分なりの良い形を見つけることができたので、ここに書き留めておこうと思います。
 歴戦の猛者たちからすれば、「いやいや、こんなの当然でしょ。もっとこうすれば良いのに。」と言いたくなるような、お粗末な内容だと思うのですが、発展途上な人間の伸びしろと思って、どうか暖かい目で見守ってやってください。


「お弁当用のおかず」は作らない

 数人分のお弁当を作らなければいけない場合は、恐らく作り置きのおかずを数種類、週末に用意しておく形が最も効率が良いのだろうと思いつつも、自分ひとりの為と思うと、なかなかそこまでしようという気が起こりません。そんな自分の性分を叱咤するよりは広い心で受け入れ、極力普段の調理工数にプラスにならないような形を考えた結果、「その日の夕飯を少し多めに作って、余分を翌日のお弁当に入れる」形に行きつきました。
 そこまで画期的なものではないとは思いますが、改めてやってみると、やはりメリットも多い方法です。
 例えば、人参のきんぴらを夕飯に作る際、今まで通りであれば人参2/3本くらいが、ちょうど私と夫が夕飯に無理なく食べきれるベストな量でした。そのため、残った1/3本分はスライスしてサラダに入れたり、刻んで肉団子に入れたりしていたのですが、それを、思い切って1本使って作るのです。完成したものから丁度1/3程度の量を、別のお皿にちょいと盛っておきます。同じ要領で、ハンバーグを作る時は余分に入れたお肉でミニサイズのハンバーグを一緒に焼きます。焼き魚の場合は、1切れ余分に焼いておいて、その半分をお弁当用に切り分けておくのです。もう半分は冷凍しておけば、主菜の冷凍ストックになります。あとは野菜の煮物や蒸し野菜等が1品でもあれば、もう充分です。全て一つのお皿にまとめておき、ご飯が炊けたタイミングで、お弁当箱に詰めて完成です。
 夕飯を食べている間に粗熱を取り、寝ている間は冷蔵庫に入れておきます。翌朝は保冷剤と一緒に包んで持っていくだけで良いので、朝も早起きしてお弁当を用意する必要がなくなります。洗い物も、取り分けている際に使うお皿1枚が追加に出るだけなので、追加作業も最低限で済むというわけです。

詰めるときはお弁当箱を頭の中で3分割する

 お弁当を作り始めた頃、おかずの用意以上に四苦八苦したのは、お弁当箱へのおかずの詰め方です。適切なご飯の量、盛り方、どのおかずを、どこに配置すれば見栄え良く、且つきっちりきれいに詰められるのか、なかなか要領を得ませんでした。自分のセンスの無さに絶望しながらも、自分を責めるよりは、自分のスキルで最大限見栄え良く詰める方法を考えた方が建設的、と気持ちを切り替え、試行錯誤を繰り返していました。
 最近落ち着いた形は、お弁当を3分割して詰める分量を考える方法です。横向きに置いたお弁当箱を、縦に分割して、その分割された縦のスペースを、ご飯やおかずで埋めていくような要領で詰めていきます。
 基本的に私のお弁当の中身は「ご飯、主菜1品、副菜2品」で構成されているので、まず、お弁当箱の2/3程度を埋める量のご飯を左詰めで詰めます。高さは高すぎず、お弁当箱の高さの半分程度が丁度よい量です。次に、かぼちゃの煮つけや筑前煮等、比較的硬さとサイズのあるおかずを、お弁当箱の1/3程度埋めるように詰めます。この時点では、お弁当箱は、ごはんとおかず1品でほぼ埋まっている状態です。次に、ご飯と1品目を菜箸で軽く左右に寄せ、間に若干のスペースを確保します。そこを埋めるように、金平や葉物野菜の炒め物等、比較的柔らかい2品目のおかずを詰めます。ここでの個人的なポイントは、2品目のおかずの半分程度はご飯の上に載っている状態にすることです。私はおかずをご飯の上にワンバウンドさせて、その煮汁や味がついた白米を食べることが、こよなく好きなので、あえて大葉等の仕切りは挟まずに、積極的にご飯とおかずを重ねて詰めてしまいます。最後に、主菜をご飯の上にどーんと乗せます。これは、主菜がハンバーグであっても、豚の生姜焼きであっても、焼き魚であっても同様です。これも、先ほどと同じ理由で、あえてご飯との間に何か挟んだりはせずに、ダイレクトに乗せています。
 この要領で詰めていくと、変な隙間が空いてしまったり、どこに何を配置するか頭を悩ませたりすることが殆どありません。白米だけがお弁当箱の半分近くと占めると、妙に寂しい見た目の印象になってしまうので、それまではふりかけやお漬物で無理に余白を埋めようとしていたのですが、主菜で白い部分が殆ど埋まってしまうので、そういったことも必要もなくなりました。本当にお漬物が食べたい気分の時だけ、隙間に詰めるだけで良いのです。おかずが縦に並ぶことで、多少色合いに乏しくても、見栄えもそこまで見れないこともない程度にとどめることができます。個人的には、かなり良いこと尽くめな盛り付け方法と思って毎日実践しています。

効率化を突き詰めて生まれた余裕で少しだけ頑張る

 この方法に行きついてから一気にお弁当作りが捗ったことで、お弁当作りのハードルが低くなり、自分の気持ちにも余裕が生まれるようになりました。「煮物が煮えるまで少し時間があるし、卵焼きでも焼こうかな。」「今日はご飯と海苔を重ねてのり弁にしようかな。」といった感じで、今まで余裕が無くてできなかったことが、出来るようになり、「極力頑張らないこと」を目指していたお弁当作りが、「極力頑張らずに済んだ分、少しだけ頑張る」に変化していきました。
 とはいえ、この「頑張る」は義務にすると、いずれしんどくなってくるので、「頑張れそうだったら頑張る」程度にしておくようにしています。今日は最低限のお弁当を用意するだけで精一杯!というときは、最低限でも精一杯やりきった自分を褒めつつ、ごくシンプルなお弁当を粛々と用意します。 
 ベースは極力効率的にシンプルに、頑張りたいなと思ったら、少し頑張ってプラスする。頑張りすぎない。これが、今の自分に一番しっくりくるマインドになっています。

飽きたらスープジャーという変化球

 充実したお弁当ライフを送っていても、定期的に訪れるのが「飽き」です。毎日お弁当だと、ちょっと飽きてくるなー。追加で作れるおかずのレパートリーにも限界があるしなー。はー、なんか作るのめんどくさくなってきたきがするー。そんな考えが頭をよぎったら、私は一旦お弁当をスープジャー切り替えるようにしています。
 スープジャーは「鍋に汁物と具材を入れて沸騰させ、ジャーに移したら完成」です。魔法瓶と同じで、ジャーの保温機能によってジャーの中でゆっくり具材に火が通るので、煮込んだりする必要がありません。5分もあれば完成するので、この場合は朝に朝食を用意しながら、片手間で作ることができます。
 私がよく作るのは、具だくさんのお粥です。冷凍ご飯を電子レンジで解凍させつつ、空のジャーに熱湯を入れて温めている間に、顆粒だしや鶏ガラで適当にスープを作ります。そこに、冷蔵庫の中の野菜をキッチンバサミでザクザク切りながら加えます。野菜は何でも良く、余っていた蕪の葉や使いかけの根菜等、あれば何でも入れてしまいます。次に、鶏肉があればこちらもハサミで切って加えます。なければ、かにかまでも、動物性たんぱく質であれば何でもありです。たまに、冷凍させていたミニハンバーグを、肉団子代わりに入れてしまうこともあります。最後に塩コショウで味を何となく調えて、ぐらぐら沸騰させたら完了です。ジャーの中に解凍したご飯を入れ、鍋の中身を汁ごと加えて蓋をします。これで、お昼には野菜は柔らかくなってスープと馴染み、お肉にもしっかり火が通って、ご飯もお粥のように煮えた状態になっているのです。冬はもちろん、夏場も冷房で冷えた体が温まる、美味しいランチを楽しむことができます。
 トマトピューレや牛乳を入れてコンソメで味付けすれば、お手軽リゾット風にも、お味噌を入れれば素朴な味噌粥にもなり、お米の代わりにマカロニを茹でずにザラザラ入れてしまえばスープパスタ風にもなるので、お昼のレパートリーがぐっと広がります。
 ただし、手軽さのあまり連続して作りすぎると、やはり飽きてしまうので、お弁当箱のお弁当に飽きが来た頃に、変化球として差し込む程度にしています。

今後のお弁当について

 最初は試行錯誤しながら作っていたお弁当ですが、何とか自分なりに楽しく効率よく作れるようになってきました。ただ、今の形は自分ひとりが食べるためのお弁当に対してのベストな形なので、これが自分以外の誰かにも作るような状況になった場合、今の方法ではうまく回らない可能性も、やり方を変えなければならない部分が出てくることも大いに考えられます。その時の状況や自分のキャパシティを見定めながら、その時その時に合う形を見つけられればと思っています。
 最後に、自分でお弁当を作るようになる前、「自分とお父さんの分も作るんだから、二人分も三人分も一緒よ。」と言いながら、何年も文句も言わずに私にお弁当を作ってくれていた母の偉大さを、実際に自分でお弁当を作りながら痛感しています。おかずは行儀よくバランに入れられ、隙間なくきれいに詰められていました。蓋を開けては「美味しそう!」と心躍らせていた頃を思い出しながら、いつか自分も誰かの心が躍るようなお弁当が作れるようになりたいと、今日も私は夜にお弁当を詰めているのです。


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