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2024年JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦 vs V・ファーレン長崎

今更感ハンパないので書かなくてもいいかなと思ったけど、こういう試合が後々なかったことになるのもなんだか悔しいので、数少ない現地組として備忘録を一応残しておく。

日本サッカー三大タイトルのひとつ、ルヴァンカップ。大会名こそ変わったけれど、ジュビロが最後に獲得したタイトルであり、あれからあっという間に14年近くの年月が経った。優勝を経験した現役選手はもうクラブに一人もいなくなり、当時20歳前後だったHOTSTUFFの創設メンバーたちがもう三十代半ばという事実が空白期間の長さを感じさせる。


ナビスコカップが予選リーグ形式になった2002年以降、うちのグループリーグ突破率は凄まじく低い。公式のデータによると直近20年のうち決勝トーナメントに進出できたのはわずか3回。そのうち1回優勝してるって逆に凄いんじゃね?という気がしてくるが、たしかに予選リーグで負けるのが平常運転みたいな感覚は昔からあった。それが今年はトーナメント制になり、うまいことハマれば上を狙えるかもと思っていた。




で、今に至る。

アウェイの長崎は去年も勝てていないし、難しい相手だとは思っていたけれど、なかば無理やり休みを取って、身銭切って九州まで来てこの展開はさすがに萎える。リーグ戦に絡めていない選手たちは並々ならぬ気合いで戦ってくれたと思うけれど、一発勝負のトーナメントだからこそ結果以外に求めるものは何もない。

この日アウェイゴール裏に集まったサポーターは5〜60人ほど。ガラガラの水曜アウェイもそれはそれで最高のバイブスではあるけど、いちおう上位カテゴリーのJ1クラブとしては少し寂しい感じがする。3日後にはアウェイ福岡戦を控えているので、普通に考えたらそっちを選ぶのは当然と言えば当然で、そのなかで長崎に来た皆さんにはリスペクトしかない。
少数精鋭なりにベストは尽くしたけれど、応援で選手のモチベーションを高めることができたかというと自信はない。そもそもピッチ内の選手まで声が届いていたのかどうかも怪しい。広い陸上スタジアムで数十人がいくら頑張って声を出したところで限界はあるのだ。
クラブとしてもJ1残留〜定着がトッププライオリティなのは理解するけれど、まるで消化試合のようなテンションのまま三大タイトルをひとつ落としたことにずっとモヤモヤした感覚が残っていた。こんなにもあっけなくてよかったのか、と。

翌週、勝てば3回戦で当たるはずだった鳥取vs浦和の様子を見ていて、この感覚になんとなくの答えが出たような気がした。大挙してアウェイ鳥取まで詰めかけた真っ赤なサポーターと、それにきっちりと結果で応えた選手たち。そのどちらも一週間前の磐田にはなかったものだ。

アウェイゴール裏が満員になったからってシュートが枠に飛ぶわけじゃないし、サポーターの応援が決定的勝因になったりはしない。だからって、応援が完全に無意味だとも思わない。アウェイに大勢で行くということはサポーターとして「ここ獲りにいくぞ」という意思表示にもなるし、その圧は多少なりともピッチ内に伝わるはずだ。うちと浦和では経営規模もサポーターの母数も違うとはいえ、これがコンスタントにタイトルを獲り続けているクラブとの差なのかもしれないと思った。タイトルを獲るという意味を身をもって知っているかどうかの違い。少なくとも、「どうせなら3回戦は鳥取行きたいよね」なんて呑気に話していた自分達がいかにぬるかったかを思い知らされたような気がした。

かつては磐田もタイトルへの覚悟を持ったクラブだったはずだけど、いまや「優勝」という二文字に現実感を持てなくなっているのも事実。とくに若いサポーターがタイトルを獲るという画を具体的にイメージできなくても仕方がないし、だからこそ黄金期を知っている世代が周りに伝えられることがもっとあるんじゃないかとも思う。決勝戦のスタンドから見える景色、優勝がかかったリーグ終盤の緊張感…子どもの頃に体験した頂上付近の空気は今思い出しても格別で、勝ったことも負けたことも強く記憶に刻まれている。これまで獲得してきた星を過去の栄光にするのではなく、ちゃんと次の世代へ受け継ぐ財産にしていかないと、磐田は昔強かっただけのクラブになってしまう。J2にいながらチャンスを掴んでアジアまで行った甲府を見てなにも思わないのなら、俺らはいよいよ目指すべき高みを忘れてしまっている。

一方で、普段一緒に応援している20代の奴らが「磐田は強くなければいけないクラブ」という認識を共有しているのはすごく頼もしいことだし、前時代からのDNAはちゃんと受け継がれていると感じる。全てがリセットされたわけじゃない。

月に手を伸ばせ。たとえ届かなくても

昔ロンドンの偉い人がそう言った。本当に言ったかどうかは知らないが、まあ良い言葉だ。つまり何が言いたいかって、クラブもサポーターもタイトルに対してもっと貪欲にならなきゃいけないと思う。「いつかそのうち」なんて言ってたらその日はずっと来ないかもしれない。目指さなければ結実はない。

もっとやろうぜ磐田。アジア制覇だって月よりは近いよ。

思いっきり話は変わるが「Once In A Lifetime」という動画をご存知だろうか。Copa90というUKのメディアがやっているシリーズで、低迷期を経て久しぶりに決勝まで勝ち進んだクラブのサポーターに密着しつつ、その歴史やカルチャーを紹介するという番組だ。メガクラブのサポーターでもない限りタイトルに手をかける機会なんてそう頻繁には訪れない。それこそまさに一生に一度(Once In A Lifetime)のチャンスかもしれない。どの動画もエモーショナルで見応えがあるけれど、なかでも17年ぶりのコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)決勝に挑むレアル・ベティスの回が好きだ。

「ベティスを応援するっていうのは苦しみの人生を意味する。リードしているときほど「逆転されるかも」という不安でいっぱいになる。安心できる瞬間なんて俺たちには来ないんだよ」

そう自虐するベティスサポーターの姿は2010年ナビスコ優勝以降の我々ともリンクする。2005年のカップ戦を制して以降は10年で二度の降格、そして17年無冠。そんな彼らが挑む久しぶりの決戦の舞台、シチュエーションからしてもう最高。酒でも入ってたら号泣必至である。

俺は磐田のみんなとこれをやりたいだけ。一度といわず何度でも。そのためには、たった数十人のサポーターの前でひっそりと負けてる場合じゃないんだよ。

COME ON BOYS, TAKE ‘EM ALL.

Kz Ishii (Instagram: kz_ishii)

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