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野球観戦のついでに霊峰富士の膝元をめぐり、日本の原風景に触れる。【旅行記#3】

こんにちは。旅行振り返りシリーズ第3弾です。過去記事は下からどうぞ。

今回は静岡県が舞台です。


序文

近くて遠いしずおか

静岡県。西は浜松から東は熱海まで、東西に長い。新幹線に乗ると特にそう感じる。のぞみに乗れば新横浜から名古屋までノンストップで移動するが、こだまに乗れば各駅に停車し、ほぼ毎回のぞみに追い抜かれる。のぞみの普通車指定席とこだまのグリーン車(ぷらっとこだま使用)では価格がほぼ変わらないので後者をたまに使う。いい席に座れて、1ドリンクついてくるとなれば後者の方が贅沢かもしれない。実際に静岡の地を踏んだことがあるかというと、小さいころに家族で浜名湖に行ったことがあるくらいだ。首都圏に住んでいれば熱海・伊豆エリアを旅行したり、あるいは、御殿場のアウトレット、ハンバーグレストランのさわやかにドライブで行ったりなどもできるが、そうした機会はこれまでなかった。何回も通過しているが降り立った記憶はほぼない、それが静岡県に対する私のイメージだった。

静岡で野球観戦

そんな折、ひいきにしているオリックス・バファローズが静岡でオープン戦をする機会があった。せっかくだし観戦のついでに1泊して静岡をめぐってみようというと思いいたる。就職前の最後の春休み、在来線旅で時間を贅沢に使える最後の機会かもしれない。18きっぷも使える期間だったため、在来線で移動するスケジュールを組んでみた。

Day 1

草薙球場訪問

おなじみの東海道線で熱海、沼津と経由して静岡の手前、草薙へ。ここで静岡鉄道に乗り換えて球場の最寄りまで向かう。

これでもかと静岡を押し出したラッピング車両に遭遇。

最寄りの駅から球場までは5分ほど。たびたびプロ野球の試合が開催されることもあってか、球場までの道には地下道があり、混雑時の想定もされているようだった。

草薙球場に到着。沢村栄治とベーブルースもここで対戦したという歴史ある球場。

野球場の外観を見ると、これから見る試合の内容や座席からの風景を想像して気分が高揚してくる。外のキッチンカーで食事を調達し、座席へ向かう。オープン戦はいい席が安く買えるのでよい。今回は3塁側のフィールドシート(ウイングシートというらしい)から見ることにした。4000円。公式戦なら普通の内野席くらいの値段だが、オープン戦ならグラウンドレベルで試合が見られる。実際に座るまではよい買い物だと思っていた。実際の座席からの眺めは下に示す。

確かに近いが、金網が邪魔すぎる。

キャッチボールなどで出てくる選手は近くで見られたが、とにもかくにも金網が邪魔だった。天気も良かったので打球を見失うことも多く、野球の観戦体験としてはお世辞にも満足できるものではなかった。地方球場では高い席がいい席とは限らない、勉強になった。

なぜかファーストミットでキャッチボールをしていた後藤選手
22年から背ネームを変えた宜保選手
帰り際に上の席からの眺めを確認。絶対こっちのほうがよかった。

うわさの名店へ

Twitterのフォロワーもこの試合を見に来ていたらしく、試合後に合流してさわやかへ行くことになった。全国から大学生がレンタカーで大挙して訪れると噂のさわやか。今回は車旅ではないが初訪問に心が躍る。静鉄で新静岡駅まで移動し、併設のショッピングモール・セノバへ。待ち時間がどれほどになるか気をもんでいたが、17時過ぎと夕食にしては早めだったこと、ロードサイド店でないことにより30分ほどで入店できた。ただの偶然かもしれないが、御殿場あたりの店舗だと数時間待たされるのもざらにあると聞いていたので、まったく苦痛ではなかった。

いざご対面。評判通りの味で、野球よりも満足度が高かった。

夜のお散歩

大満足でフォロワーと解散し、宿へ。道中に駿府城公園があったので寄り道することにした。訪問したのは22年の3月なので、大河ドラマのトレンドを大いに先取りすることになるとはこの時は知る由もなかった。

城門と月。だいぶ暗かった記憶があるが、最近のスマホカメラの性能には驚かされる。
公園内の屋台で静岡おでんをいただく。魚粉が決め手。

宿はカフェ併設のゲストハウス。いつもホテル派だが、お財布へのやさしさと朝食付きというところに惹かれた。シャワーを浴びて就寝。ベッドが埃っぽかったのか、鼻が過敏になってしまい安眠できなかった点を除いては満足だった。

おしゃれな椅子がいっぱい。

Day 2

二部制のエネルギーチャージ

ここからが旅の本番になるだろう。まずは宿で朝食。

いかにもな喫茶店飯だが、食パン1枚は明らかにボリューム不足。

宿の朝食だけでは腹五分にも届かないくらいだったので、追加で補給しに行く。静岡駅からJRで東へ。目的地は清水、エスパルスとまる子の街。ここではマグロも有名らしく、2食目としてマグロ丼をいただいた。この時点で午前9時過ぎ。旅先ならではの贅沢だ。

駅にあったパネル。駅からは遠かったので訪問は断念。
やっぱりマグロはうまい。
港併設の市場を散策。景品のクセが強かった。

日本一の山のふもとへ

清水での散策を終え、さらに東へ向かう。製紙工場が立ち並ぶ街、富士を目指す。
車窓から見える富士山も大きくなってくる場所だが、この日は雲に阻まれてしまった。

裾野は見えた

富士からは行きもお世話になった東海道線のルートを外れ、身延線に乗り換える。富士山に近づくかと思えばその横をすり抜け甲府につながる路線だ。まずは富士宮で途中下車する。

富士宮浅間大社。後ろに富士山もかすかに見える
湧玉池。水がとても澄んでいた。

浅間大社はお宮参りで訪れる人のために周りに商店街が発達していた(面影がある)。アーケードがあるので、かつてはかなり栄えていたのだろう。向かいには売店と焼きそば屋が今も軒を連ねている。そこで焼きそばをいただいた。おでんにも魚粉、焼きそばにも魚粉。静岡の食には魚粉がかかせない。そのうちさわやかのハンバーグにも魚粉がかかるようになったりして。

身延方面の電車まではまだ時間があったので、近くにあった富士山世界遺産センターに寄ることにした。すり鉢状の外観が目を引く建物で、この中をらせん状に上りながら富士山にまつわる歴史や季節ごとの風景に関する展示を見る形式となっている。これをきっかけに『富嶽百景』や『芙蓉の人』を読むことになったのは後日の話。(1年後富士山に登ることにもなる。その話は需要があれば記事にします。)

浅間大社一の鳥居と世界遺産センター
センター内から見る富士山。近い分迫力が大きい。

秘境を走る身延線

電車の時間が来たので、西富士宮駅からさらに奥へ進む。ここからは単線となり、山を分け入っていく。車窓の風景も田舎じみてきて、田んぼと集落と山という「日本の田舎」を構成する3要素がマッチした景色が広がる。イメージと景色がリンクして大いに感動したのを覚えている。田舎のイメージを聞けばこういう風景を思い出すのは読者にも共通するのではないだろうか。

さらに進んでいくと、下部温泉というところがある。かつては身延山にお参りする人でにぎわったらしいが、今はその面影はない。

秘境と呼ぶにふさわしいエリアを走る身延線。
お世話になった日帰り温泉「不二ホテル」。露天風呂が混浴(!)ということでドキドキしていたが、幸いほかの入浴客はいなかった。

温泉と呼ぶにはかなりぬるめのお湯だったが、さっぱりしたところでさらに北へ。秘境エリアもいつしか終わり、鰍沢口を越えると市街地が広がってくる。夕方の時間帯にさしかかり学生でにぎわってきた。甲府到着は夕食時か。お店を調べながら甲府に向かう。

甲府に着くと帰宅ラッシュが始まりかけていた。今回の夕食は鳥もつ煮だ。甲府といえばほうとうが有名だが、ほうとうは以前訪れた際に食べたことがあるので今回はパスした。ほうとうの「小作」は甲府駅の南北両方の出口付近にあるが、鳥もつ煮が食べられるお店は少し離れていた。居酒屋チックなお店だった。

鳥もつ煮と山梨ワイン。もつというがレバー、砂肝、ハツ等が混在する。

そばで締めて帰途につく。中央本線で東京へ。ローカル線の風景とグルメと温泉を満喫して大満足であった。

おわりに

旅を振り返る記事を書き始めたが、訪れてから1年も経ってしまえば写真をみてここへ行ったな、これを食べたなという「行為」に対する記憶が残っているばかりで、その風景に触れた時の情動は無に近似できるほど希釈されている気がした。そのときに考えていたことなんてもう思い出せないし、せっかく時間と金を使っているのに「あそこへ行った、楽しかったよ」というような浅い感想で終わってしまうことが非常にもったいないと感じる。しばらく過去の旅の振り返りが続くが、今後の記事では行動記録よりも自分の内面にフォーカスした内容を多く書き残せればと思う。引き続きよろしくお願いします。

続編はこちらから↓


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