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今はわからなくても、10年後、20年後に効いてくる?大学と卒業生とをつなぐ、”歌”を使ったコミュニケーション。

おそらく、ほとんどの大学には学歌や応援歌といったものがあるように思います。私自身、小中の校歌はかろうじて思い出せるものの、大学の学歌については記憶の彼方に吹き飛んでしまっています…。でも、こういった自校をあらわす歌を大切にするというのは、大学、それに卒業生にとってけっこう大事なことなのかなと、今回とあるプレスリリースを見て思いました。

考えるきっかけになったのは、昭和女子大学のプレスリリースです。内容は、日本経済新聞社が主催する「第3回NIKKEI全国社歌コンテスト」で昭和女子大学の学園イメージソング「For Our Dreams」が優勝した、というもの。実際にMVをYouTubeで見ることができるのですが、学生や関係者が踊りに踊るクオリティが高いもので、昭和女子大学の歴史や特徴、雰囲気をうまく伝えていました。

昭和女子大学のイメージソングは、学生有志が学内から寄せられたフレーズをもとに作詞したようで、関係者の想いも思い出もたくさん詰まった一曲といえます。思えば、時代こそ違うものの大学の学歌にも、その曲が生まれた背景や歌詞に何かしら大学を象徴するメッセージが込められています。さらに、体育会のクラブなどでは学歌を歌う機会が多くあり、なかには学歌を聞くと、自然と当時を思い出す人もいるようです。私自身あまり実感はないのですが、体育会出身の友達と話したり、同窓会関連のイベントに顔を出すとそれを強く感じます。

ということは、です。学生時代に学歌を歌ったり耳にしたりする機会を計画的につくっておけば、大学や学友との思い出を思い起こさせる、こころのトリガーを卒業生たちに埋め込めるのかもしれません。こういう書き方をすると、なんか嫌らしい感じもしますが、学生時代を思い出させる(心がその時代にもどる)何かがあるというのは、卒業生にとって非常にうれしいことだと思います。

同じように、学生時代にこころがタイムスリップする装置として、実際にキャンパスに訪れる、というのがあります。これは、私にも実感があり、ひさびさに大学に行くと、いろいろと思い出しますし、なつかしさがこみ上げてきます。でも、これってわざわざ行かないとスイッチが入らないうえ、キャンパスは時代を追うごとに整備されていくので、当時の面影も次第に消えていきます。なので、何十年かぶりに足を運んだら、懐かしさよりも、ガラリと変ったキャンパスを見て複雑な気持ちになる……ということだって十分にありえます。その点、歌は現地に行かなくてもいいし、時代を追うごとに歌詞や曲が変わるということもありません。

学生のうちから学歌に愛着がある人はそう多くないでしょうが、歳をとってから若かりし頃の思い出を想起したり、旧友と分かち合えたりする何かが欲しいと思う人はけっこういそうな気がします。もちろん大学も、卒業生とよりよい関係性を築くための何かが欲しいと常に探している状態です。そんなことを考えると、学歌を通じて学生や卒業生と関係性を築く、また昭和女子大のように新たに絆となる歌をつくるというのは、だいぶとアリな取り組みなのではないでしょうか。そうそう、今回の昭和女子大のカレッジソングは、ジョイサウンドでカラオケ配信されるようです。これも、歌を使ったコミュニケーションを深めるうえで、有効な手立てなように思います。

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