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こんなやつもいるから大丈夫です、知らんけど

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日常の疑問や問題意識、抽象的な問いをあーでもない、こーでもないといいながら、簡潔で読みやすいエッセイにまとめます。 どうぞ、肩の力を抜いてお読みください。 きっと何か発見があり…
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2021年9月の記事一覧

個体差を個人差って呼ばないで

私たちがヒトではなく、人であるならば。 ★★★ 私は時に個人差という言葉にどきりとする。 それはおおむね、私が何かの点において他人より劣っているときである。 無論、私自身が手を抜いていたり、明らかに努力していないというときは個人差に冷や汗を流すことはない。なぜならその場合は、私が意識的に手を抜いているからだ。だから、言い訳するつもりもない。 ただ時に全力で頑張っていても、他人より劣ってしまうことがある。というよりも、こちらの方が断然多い。そんなときに例えば、 「まぁ

私はどれだけ他人を無条件に祝福できるのだろう?

「大人」になるというのは、無条件に祝福されることが少なくなることなのかもしれない。 若いから大丈夫 若いからどうにでもなる 26歳の私はこの一年、数え切れないほどそんな言葉を頂いてきた。 事実、私自身が「自分は若い」という自覚もある。 確かに、若さは無敵だ。 失敗しても「チャレンジしたんだから」とほめてもらえるし、 理由がなくても「やってみなさい」と背中を押してもらえるのだから。 この意味で、若さは無条件に祝福されている。 ただいわゆる「大人」とやらになってみると、無

本屋は「大人の読書」を子どもが目にできる場所だから

大人が本を読む姿によって、子どもは本を好きになる。 本の数が多いと、学力が伸びる?先日の四国新聞のコラムに面白い話を見つけた。 ざっと結論だけ書けば、自宅の本の数が多いほど、子どもの学力は高くなる傾向にあるという。 この話のミソは子ども自身が保護者の本を読んでいようがいまいが、子の学力に差はなかったという点にある。 すなわち、保護者が本を読んでいる姿を子に見せることが、子ども自身が本を読むことよりも大切だということらしい。 両親は本を読まないなるほど。私は思った。 「ウ

料理って比較的簡単に達成感を味わえるイベントだと思う

料理をしない人に料理の魅力を伝えるのは難しい。 私としては生産者の端くれとして、自分の育てた作物を美味しく料理してほしいと思っているのだが。 きっと私自身には、料理をするのが楽しいという感覚が根底にある。とはいえ、こんな話をすると、 「あなたみたく、もともと料理好きじゃないからねぇ」 という声を聴くことも少なくない。そんな方々に私が料理の魅力をお伝えするとすれば、真っ先に「好きになれる」「美味しいものが食べられるから」という理由が頭に浮かぶ。 ただ「好きになれる」では漫

音も味のうち

ロックグラスは持っていた方がいい。酒を飲もうが飲まないが。 グラスと氷がぶつかると何とも言えない音がするからだ。 「いい音」 ロックグラスに梅酒を注ぎお客様のもとへ運ぶと、そんな第一声が聞こえてきた。いま、私の宿ではお泊まりいただいたお客様には、島で採れた梅や甘夏を漬けた果実酒をお出ししている。 ただ私自身は自家製酒に関して、島のおばちゃんたちのように長年の勘が磨かれているわけではない。そのため、本当にこの酒に満足いただけるのであろうかと疑心暗鬼でもあった。氷砂糖や黒糖

石の上に三年も座ってたら、ケツ割れるわ

石の上に三年座るためには誰かにクッションを敷いてもらう必要があるらしい。 魔法の33 この数字に囚われて久しい。ランキングは何でもベスト3だし、3人寄れば文殊の知恵も出るらしい。出たことないけど。 私自身も、なんだかんだ事につけて 「まず3年はやってみようかな」 と口にしたりする。なにを持って3年ってわけでもないのだけれど、なんとなく3年と口にする。個人的には、日本人皆が3という数字が好きなんじゃないか説が有力であるが、実際はどうなんだろう。 石の上にも三年理由は

「ほしいもの」は絶対的な新しさ

「なんかほしいものとかあるんですか?」 久しぶりに会った後輩にそう尋ねられた。 一応考えてはみたものの、特に何がほしいわけでもなかった。 もちろん粋がって「時間」なんていうつもりもないし、「カネ」というような夢のない話をするわけでもない。 家に帰ってよくよく考えてみたら、私がほしいものは単なる上位互換や代替品であった。 「今使ってる包丁よりもっと切れ味のよい包丁がほしいな」 「スニーカーに傷が増えてきたから、新しいスニーカーでも買いたいな」 ただ結局そのような程度の物

天の川はまだ氾濫中ですか?

「せっかくなんやから、いい人と巡り合えますようにって書いときなよ~」 と短冊を手渡された。所用で島の高齢者施設を伺った際、スタッフの女性がそう進めてくれた。スタッフの女性と書いたが、あくまで近所に住む島のおばちゃんである。 さて、ここで「うっせぇ」と恥ずかしがる思春期の私でもないし、もはやそんなで出会いがあればいいなぁと思ったりもするので、ここは一つ織姫様と彦星様にお願いしてみることに。もちろんおばちゃんのアドバイス通り、 「いい人と巡り合えますように」 短冊に願いを

就活って、お祭りみたいなもんだから

面接という神との対話を終えると、「これからの益々の発展をお祈りいたします」というお告げが届く。 ※この記事における就活はあくまで大学・大学院卒業見込みの学生を対象とした「新卒一括採用活動」のことを指しております。 合説と露店合同企業説明会(いわゆる合説)の会場は、どこか神社の本殿へ向かう参道に感じられた。しかも、それはお祭りや初詣のときのようで。 参道のわきには、綿菓子に射的、七味に占いと様々な種類の人間がそれぞれの商品を売りに出す。「とりあえず見て行ってよ」と言いなが