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放浪No.05 軌道修正

ルートを間違えたことに気づかないまま、東へと自転車をこぎ進める。
やがて市街地を抜け、山道へと差し掛かったあたりから徐々に勾配が強くなる。
何とか踏ん張りつつ、自転車をこぎ続けていたが…とうとう限界になり自転車を降りて押し進める。
進めど進めど…曲がりくねった登り坂は続き、早々に後悔がこみ上げてきた。
着ていた服は絞れるんじゃないかと言うほどの汗をかき、顔からも滴っていたが、それでも押し続けた。
1時間ほど自転車を押し続けたところで息が上がってしまったので、待避所お茶を飲みながら休憩をする。
お茶を飲み始めたのも束の間、山道では止まれないと覚悟を決めるできごとに遭遇する。

あいつたちだ…そう、虫だ
ひたすらに登ってるときは気にならなかったのだが、いざ足を止めると…飛ぶ、這う、俺にとっては地獄でしかない状況。
寝不足と疲労困憊の体に鞭を打ちながら、1秒でも早く山道を抜けたい!の思いで、我武者羅に自転車を押し進めた。

虫と言う脅威に怯えながらも30分ほど登ったあたりで勾配がゆるくなり、それまで生い茂っていた木々も少なくなり、視界がひらけてきた。

これで峠は越えられたのか?
と、そんな不安を抱きながら、再び自転車にまたがった。

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