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放浪No.19 知る景色から知らぬ景色へ

土地勘のある地域を走るってこともあり、気分が楽である。
これまで特に書かなかったが、この道中で何度も何度も道を間違えてきている。
市街地での道なら修正は簡単なのだが、たまに跨線橋の歩道が右側しかなかったり、示された経路が歩行者、自転車、原付の通れない道、はたまた階段でしか上れない橋なんかの場合は少しモチベーションが下がる。
ましてや山道を間違ってしまうと取り返しがつかない。
経路を意識し続けて走るということが思っていたよりもストレスになっていたことが分かった。
20~30キロほどの距離を頭の中の経路で走れるのがこんなに気分転換になるのと驚きながらすいすいと自転車をこぎ進めた。
やがて都会を抜けて県が変わったあたりで懐かしい気持ちになり、当時よく行ったお店や景色を見るためにふらふらと寄り道をした。

やがて走り慣れた道も終わり、まだまだ続く国道をひたすらにこぎ進めていった。
ひたすらに自転車をこぎ、疲れたらコンビニで休憩をする流れを何度か繰り返しているうちに日が暮れ始めてきたので、次にある商業施設かコンビニでインターネットカフェを探そうと躍起になって走った。
ようやく県が変わってショッピングモールを見つけたので、そこで自分のいる場所と今日の目的地を探していると、あることに気づく。

目的地への経路は北へ15キロほど先にある違う県(A)の南端で、今いるのは県(B)の西端だと気が付かなかった。
そして、目的地から2キロほど東へ進むとまた県境があって、A県とB県を出たり入ったりできる。
何とも表現しづらい変な気分になりながら、インターネットカフェを目指して北上していった。
県道から抜け出すと徐々に高層の建物はなくなり、やがて見渡すかぎり田畑ばかりの広がる見晴らしの良い景色へ変化していった。
感覚的に4~5キロほどは信号もなく、両側に田畑の広がるまっすぐな道を進んでいくと市街地に入る国道へ合流した。
また県が変わってるんだろうな、なんて思っているうちにインターネットカフェに到着したので、手続きを済ませてブースに入る。

変な気分を引きずっていたので、周辺を散策しようと荷物を置いて夜の街を自転車で彷徨う。

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