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感極まるくらいの寸前

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不意に感じたこと考えたことを含め、もよおした気分をそのままあるいは工夫して綴ります。
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#創作大賞2022

異人・岡部正泰の思い出。〜暴れ脳からもらった年賀状〜

異人・岡部正泰の思い出。〜暴れ脳からもらった年賀状〜

「水着の中に、入ろうよ」

そうは書かれていなかったけれど一通の絵ハガキが、届いた。「速達」と朱で押されてあった。わたしの住所に名前そして。

いますぐ来い!と踊るような青い万年筆の字があった。ああ、受かったんだとわかった。……差出人は岡部正泰。コピーライターという肩書きなしで、名前だけで通じる数少ない重鎮。そのかれの事務所に応募していた。小田急線。これで何かを書け四百字で、そう電話口で言われ。

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舞台裏で、逢おう。目いっぱい気合いを入れて。

舞台裏で、逢おう。目いっぱい気合いを入れて。


親と同じ。文章との出会いは、選べない。出会いの手引きも、するものじゃないひとつの文章と出会った、馴れ初め、に、ずっとこだわってしまうことがある。親は選べない、というやつと同じで、どうすることもできない状況で出会ってしまったがゆえの、後悔に、付きまとわれてしまうのだ。……いま出会いと言ったけれど、それは比喩でもなんでもないのであえて繰り返しておく。「文章」と「出会ってしまった」こと。ただそれだけの

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