Vol.3 キュアストライク登場
【前回までのあらすじ】:ドブヶ丘中学に通う普通の中学生、隕鉄つるぎこはひょんなことからドブヶ丘の女神より力を授かり、キュアストライクとして覚醒する。手に入れた力に戸惑うつるぎこ、しかし、ここは不穏地帯ドブヶ丘、ためらう間もなく彼女に酔漢の魔の手が迫る!
路地裏には一人の酔っぱらいと、先ほどまで酔っぱらいだったものが三人分転がっていた。
「ヒィ……ヒィ…」
ただ一人生き残った酔っぱらいはその場から逃れようと、砕かれた足を引きずり、必死に大通りへ這って行く。
「ウガァッ!」
飛来したこぶし大の石が、酔っぱらいの右手を砕いた。
「うん、大丈夫だよ、ダイゴロウ。ちゃんと話を聞けるように一人は残したから」
誰かに話しかけるような少女の声。
痛みをこらえて酔っぱらいが振り返ると、そこにはマグマの固まったような衣装を着た少女が次の石を構えながら虚空に話しかけていた。
「でも、ダイゴロウ? 私尋問なんかやったことないのだけど……えっ、わかった」
言うと少女はみごとなクイックモーションで石を投げた。
「ウギャァ!」
石は狙いたがわず酔っぱらいの左手を砕いた。
「ねえ、お兄さん。あなたは誰に頼まれて私を襲ったの?」
「襲ってなんか……ちょっとナンパでもしようと、話しかけただけで…ウガ!」
次の石は左の肩を砕いた。
「誤魔化しても無駄だよ。黒幕がいるのはわかってるんだから」
「知らない、本当にそんなの、ギャ!」
次の石は右肩を砕いた。
「忠臣だね。大丈夫、昔の神様のケライも三回は知らないって言ったらしいから」
「ほ、本当になにも、グエ……」
「でも、そろそろ言ったほうが……あれ?」
少女は腹部で石を受けた酔っぱらいが反応しないのに首を傾げた。二度、三度、適当に石を投げつけてやっと気が付いたように「あら、死んじゃったか」とつぶやく。
「どうしよう、ダイゴロウ、殺しちゃったのだけど……でも、これじゃあ、情報が……そうね、何か持ってるかもしれない…あまり触りたくないな……わかってるよ。やるよ」
そういいつつ少女は渋々男の懐を探る。そこには数枚のドブ券(ドブヶ丘で流通する地域通貨の一つ、おおよそのレートは「ドブ券5枚=2円」)とタバコ、そしてくしゃくしゃになった飲み屋のチラシが出てきた。
「これは……アジトの地図…!」
チラシには『アンディフィート、新装オープンセール』と派手な文字で大きく書かれていた。いくらかのメニューと簡単な地図が載っている。
「きっとここに黒幕が……」
少女はチラシをポケットにしまうと、足早に去った。
あとには先ほどまで酔っぱらいだった死体が四つ残された。明け方を待たずに、幸運にも資材を発見した住人が髪の毛一本も残さず持ち去ることだろう。
ついったーに上げていたものを修正したやつ。
できるだけこまめに記事を上げていきたいものじゃのう
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