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ホテル投資的2022年10大ニュース

3年連続で書いているので、今年も書くけど、ようやく

コロナ…


しゅーりょーとならない感じなので、いよいよ面白くなってきましたね。

インバウンドの復活

単月10~20万人レベルで推移していたインバウンドが10月50万人、11月93万人まで一気に回復した。

https://honichi.com/news/2022/12/22/honichi/

この背景には、10月11日からの「個人旅行の受け入れ再開」が挙げられ、更には大幅な円安も後押しをしているのだろう。このペースで行けば、早々に単月100万人(12月に既に達成済の可能性も)を回復して、単純に12倍すれば年間1,200万人で、2013年が1,000万人で、2014年が1,341万人なので、ちょうどその間ぐらい。実際のところ、もう少し上振れするだろうから、2023年は通年で1,500万人ぐらいが見込めそうだけど、2014年から2015年にかけては大幅な伸びがあって2015年は1,973万人だったので、この壁はさすがにまだ高そうで、2014年よりちょいいいぐらいかな。こういう予測が意味を持つ時代に戻ったというのはいいことだね(下記は野村総研の人の予測コラム)。

とは言え、2019年にはいつ戻るのか、というところが普通の人の焦点だし、インバウンドだけではなく日本人と併せて考えて宿泊需要全体はいつ2019年水準に戻るのか、その時の需給バランスはどうなっているのか、というところが気になるところだろうけど、「2019年」にはコロナ前の最後の年という以上の意味はないので、2024年にはサクッと超えて、2025年あたりは需要超過のいい時期が一時的に発生するんじゃないかな。そうなったらコロナでブレーキがかかったホテル開発がまたペースアップして、需給バランスのシーソーゲームに戻っていくんだろうけど、またあっと言う間に供給過多になるんだろうな。

高崎への高級ホテル誘致断念

そんな感じでインバウンドの回復が見えてきたタイミングで発表された高崎での再開発におけるホテル誘致断念のニュースは、きっとインバウンドの動向とは無関係で、上のリンク先で市長が最後に述べている通り「無理があった」んだろうなと思う。

正直なところ、この案件と、宇都宮のデュシタニが自分の中でごっちゃになっていて(栃木と群馬をまとめて軽視している感じですいません…)、このニュースを見た時、特に驚きはなく、ふーんぐらいに思っていたけど、高崎の方はオータパブさんが誘致のコンサルを担当している案件とのことで、より根が深いね。

当時の「ホテル招致調査業務報告書(概要)」
https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2021040200012/files/h30houkoku_gaiyou.pdf

西九州新幹線開通

地方における「おらが町のホテル問題」はどこにでもあって、高崎の場合もアリーナ(高崎アリーナ。2016年12月開業)やコンベンションセンター(Gメッセ群馬。2020年6月開業)の開業が契機となって高級ホテルの誘致活動に繋がったわけだけど、長崎の場合は新幹線開通とコンベンションホール開業に向けて、地元の雄(松藤グループ)が立ち上がったのが大きい。松藤グループはローカル・コングロマリットだが、ただのコングロマリットではなく、ちゃんとホテル(ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル)の経営実績もあるので、各種関係者も安心してヒルトン長﨑の開業を見ていることができたものと思われる。

西九州新幹線開通によって博多から長﨑への電車によるアクセスは、1時間50分から1時間20分に短縮され、個人的に旅行における一つの心理的なハードルだと思っている90分圏内に入ってきたので、現地の観光産業にとっての便益は大きそうだ。元々、長﨑は幕末の開港以来、独自の文化が育っており、観光資源は豊富にあるのだが、博多からも近くないし、長崎空港が佐世保と長﨑の間という中途半端な場所にあってアクセス面が弱かった。九州と言えば周遊型の旅行エリアなので、そのルートに組み込まれ難いというのは変わらず、九州新幹線が開通した後、鹿児島~熊本~博多がセットで盛り上がったのとは同じようにはならないだろうけど、どこも新幹線開通時は特需が発生するし、今は全国旅行支援もあるのでヒルトンの200室はそれなりに埋まっていそうだけど、駅を挟んで反対側での開業が予定されているマリオット(これも200室)が開業したらガチンコ必至なので、来年が勝負の年になるね。

マリオット開業遅延のプレスリリース(JR九州)
https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2022/10/07/221007_nagasaki_marriott_2024.pdf

(観光産業における)刀の躍進

さて、この西九州新幹線開通の恩恵があるのかどうか微妙なところにあるハウステンボスをPAGが刀と組んで買収した。ここ数年、PAGは積極的に人を増やしているようで、(特に旧セキュアードじゃない方の)業界的な存在感も徐々に増していたけど、このビッグディールがダメ押しでそれを印象付けた。

刀と言えば、サムティと組んでネスタリゾートも買収しているので、この年は観光産業において刀が大きく存在感を増した年として記憶されることになりそう。元々、USJでマーケをやっていた森岡さんの会社だし、沖縄の案件はどうしてもやりたいみたいなので、観光関連ビジネスを手掛けるのはむしろ自然な流れ。

今後、刀の名前をどこが持ち出してくるか、むしろそちらの方が興味深い。

羽生結弦アイスショーの余波

目を南から北に転じると、セレクトイン八戸中央のSNSでの炎上騒ぎが思い出される。羽生結弦のアイスショーの開催が決定した八戸で、予約していたのにキャンセルを食らった(再度予約しようと思ったら値段爆上げ済)という趣旨のコメントがSNS上で出ていたようだが、下記のホテル公式コメントではキャンセルについて否定しているのでこれはデマだったのかもしれない。こういう時にどうやって対処すべきか、というのは非常に難しい問題だが、それこそ刀にどうしたらよかったのか聞いてみたい問題だった。

ブランドの使われ方の多様化

上記の八戸の件は、「セレクトイン」というブランドの価値に対する影響もあったはずだけど、それ以外にも改めてホテルがブランドビジネスであるということを再認識させられる、ブランドの使われ方の多様化が見られた一年だった。

ここには書いていないけど、HyattがKirakuと組んでATONAというブランドを立ち上げた、というのも実は結構、画期的なニュースだよね。

大和リゾートの株式譲渡

大和ハウスからのプレスリリース
https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/pdf/release_20221208.pdf

コロナ禍以降、株価の低迷もあって買い手としてはおとなしかったJHRAだけど、下のディールと立て続けに公表されて、ホテルREITとして、というよりは、ホテル専門のAM会社としての存在感を発揮している。

スポンサーであるSC Capitalもファンドレイズして人員増強したようで、2023年は更に注目度が高まる。

ちなみに、この辺の動きの背景として、ノンリコレンダーのホテル融資が復調してきているというのは見過ごせない。完全に潮目が変わったので、景気悪化を再度待つプレーヤーもチラホラ出始めているし、この年末は人もよく動いていた。

ハイアットリージェンシー東京

続報ないし、未だに小田急の月次開示にハイアットリージェンシー東京の売上と稼働率が掲載されているので、クローズしていないものと思われるけど、話題のディールではあったことは確かだよね。特に買い手のKKRは本体の人も増えたし、AM会社も買収したタイミングでの報道だったので、勢いあるなーという感じだったけど、マレリが影響したのかな。

小田急の月次開示プレス(2022年11月分)
https://www.odakyu.jp/ir/news/dq40940000000n8q-att/2022.11.pdf

ホテル四皇

天下のダイヤモンド誌が、定期的にやっているホテル特集でぶっこんできたパワーワード。いくらワンピースが流行っているからって、その四皇からとるとはまさかの展開で雑誌が出た当時インパクトはあったけど、さっぱり普及せずに新時代はつくれなかった。

アパホテルの代替わり

最後を飾るのは、まさかの四皇落ちしたアパホテル。新時代をつくるルフィーになれるか。

おまけ(ホテル投資のビューまとめ)

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サポート→ホテルで使う→note→サポートというサイクルが回ると素敵ですね。