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日系海外進出ホテル その2 オークラニッコーホテルズ

海外に進出する日系ホテルチェーンの進出状況を紹介していきます。掲載内容は基本的に各チェーンホテルのホームページやリリース情報をもとに解説していきますが、一部の情報は筆者の主観も含まれます。原則、海外展開ホテルの状況に特化していきますが、ホテルの成り立ちなどチェーンの概略情報も適宜加えております。

本日は「オークラ・ニッコーホテルズ」についてです

オークラの成り立ち

1962年にオークラ東京を開業。帝国、ニューオータニと共に「(旧)御三家」と呼ばれる日本を代表する老舗ホテルチェーンです。本丸の東京を皮切りに、国内外に多店舗展開を行い、国内では神戸、京都、札幌、福岡などの主要都市へ、海外もアムステルダム、マカオ、バンコクなどに積極的に出店し、いずれも和の雰囲気をふんだんに活かした高級チェーンホテルとしての存在感を示しています。

ニッコーホテルの取得

ホテルニッコーの創立は1970年にさかのぼります。当時の航空会社の多角化経営の一環として、JAL就航地への高級ホテル展開を目指し「日本航空開発(その後、JALホテルズへ改名)」が設立され、国内外の主要都市への出店を進めます。当初は、JAL資本による直営形式での出店が目立ちましたが、1990年代からは運営受託方式へと大きく舵を切り、日本における運営受託型ビジネスのさきがけとしてチェーン規模を拡大していきます。特に、海外展開については北米、欧州、中国、東南アジアの主要都市へその規模を拡大し、総合型ホテルの海外出店数ではダントツの規模でしたが、バブル崩壊による日系オーナーのホテル事業からの撤退が相次ぎ、加えて親会社である日本航空自体の財務状況悪化も重なり、店舗数は徐々に減少傾向になっていきます。

合併により海外進出加速へ

2010年の日本航空の破綻に伴い、航空事業特化の必要性からJALホテルズの株式も売却の対象となり、オークラ傘下のホテルチェーンとなります。それまでオークラは直接投資(もしくは部分出資)による事業展開が中心で店舗数の面で伸び悩んでいましたが、JALホテルの株式取得により、海外店舗の拡充および同社の運営受託ノウハウの獲得し、その後、出店数を拡大していきます。現時点における海外出店数は20店舗を超え(中国11、アジア11、米国2,欧州1、提携ホテルを除く)、日系チェーンとしては最大規模の出店数、とりわけ総合型のデラックスホテルでのチェーン展開としては他の日系チェーンのなかで抜きんじた存在といえます。

オークラのブランド展開

現時点で、海外での出店は、オークラ系ブランドとニッコー系ブランドが並列した形で展開されています。両社の合併により、それまで競合関係にあった店舗が同一地域に混在するケース(海外ではバンコクや台北に複数店舗展開)もいくつか生じています。

オークラブランドとしては、「ホテルオークラ」ブランドにて、アムステルダム、マカオ、マニラに出店。上位ブランドである「オークラプレステージ」ブランドにて、バンコクと台北に出店しています。

一方のニッコーブランドはほぼ全てが「ホテルニッコー」に統一されており、中国、東南アジアを中心に展開しています。また、これまで国内のみで展開していたビジネスホテルブランド「JALシティ」を今年初めてバンコクに出店しています。加え、上位ブランドである「グランドニッコー」や、ライフスタイル型ブランド「ニッコースタイル」での海外出店も準備が進んでいるようです。

今後の出店計画

150店舗への拡大路線を表明している同社ですが、その開発の中心は海外での運営受託型ビジネスであり、これまで同様に複数ブランドでの展開が予想されます。既に発表しているだけで、成都(ニッコー)、高雄(ニッコー)、ジャカルタ(オークラ)、バンコク(グランドニッコー)、マスカット(オークラリゾート)、フーコック(オークラリゾート)などがあり、引き続き日系総合型ホテルを引っ張る存在として注目が集まりそうです。

本日はこのあたりで。

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