大阪便り Vol.10 大阪マラソンについて
友人知人の皆さま
久々のお便りとなりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
一昨日は第三回となる大阪マラソンが開催されました。台風の影響が少し心配された数日間でしたが澄んだ青空のもと3万人のランナーが大阪の観光名所を駆け抜けました。幸運にも参加させていただきゴールをくぐることが出来ました。本日はこのネタについてお便りします。
<世界6大マラソンに匹敵する規模>
つい数日前に知りましたがマラソンの世界にはワールドマラソンメジャーズ(WMM)というものがあるそうです。テニスのグランドスラムやゴルフの4大メジャーのようなものですね。ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークに加え、昨年、アジア初で東京が加わり6つになったとのこと。東京がWMMに加わったことでオリンピックの誘致にも一役買ったとか。ご存知でした?
WMMはいずれも世界のトップランナーの大会であるともに、世界屈指の市民マラソンでもあります。ランナーの規模は3~4万人規模と巨大ですが、大阪マラソンも規模においては負けず劣らずエントリー数は3万人と肩を並べる規模です。人気も高く抽選倍率は5倍を超えます。ちなみに昨年の完走率は90%を超えたということですから、実は完走よりも参加することのほうが難しい、というのが実態です。
<大阪の観光地をぐるり>
大阪マラソンというだけのことはあって大阪の主要観光地を漏れなく廻ります。スタートは大阪城、3万人が集うスタート地点は圧巻です。大阪城から鶴橋、そしてドラマ半沢直樹のロケでも頻繁にでた道頓堀周辺を抜け、銀杏並木が色づき始めた御堂筋から中之島を折り返し再び御堂筋へ。続いて大阪ドーム、通天閣、下町エリアで大阪特有のコテコテの声援を受けながらベイエリアへ。レース中最大難関といわれる南港大橋を越え、大阪最大のコンベンションセンター地点がゴールです。敢えていえばUSJが入ってないなあ、くらい観光スポット満載のコースです。
<無事完走できたものの・・・>
さて、ちょっとだけ自分のことを。高い倍率のなかご縁あって参加させていただくこととなった初のフルマラソンでした。42歳で42キロ走りたい、というあまりにも単純な動機でした。しかも自分の住む街で世界のメジャー大会に匹敵する規模の大会、これ以上の幸運はありません。
前半はあまりに遅い集団に囲まれ、普段自分で走るより遥かに遅いペースに巻き込まれてイライラ。半分を過ぎようやく集団がバラけ、さあこれからか!と思い始めた25キロあたりで足に異変が!?。やや重くなってきたかな?と思い始めた右足の大腿部に突如痙攣がきました。これには正直驚きました。これまで少なくともジョギングをしていて攣ったことはないしそんな気配もなかったのに。これがレースの緊張感なのか、所詮25キロ程度が自分の筋力レベルなのか??
いかん、こんなとこで足なんか攣ったらあとまだ半分近く残っているのに。焦りでちょっとしたパニックです。しかも右脚をかばっているうちに左脚にも違和感、28キロ付近では既に両脚の付け根から足首周辺までかなりの部分が痙攣し、タイムアップによる強制収容も覚悟し始めました。とはいえ折角の機会、這ってでもゴールしてやるぞと歩きながら回復を待ち、またちょっと走るとまた痙攣が来ての繰り返し。あと動く筋肉はどこか?そんな自問自答の繰り返し。ちょっとした拷問でした(笑)。それでも沿道の多くの方の励ましにも後押しいただき何とか完走(完歩?)、時間こそ5時間半近くと、当初の(今思うと大変に甘い)予想には大きく及ばない、ほろ苦いフルマラソンのデビュー戦でした。
<実際に走ってみて分かったこと>
42キロ走るしんどさを体感できた、というのもそうですが、色々分かったこともありました。まずはエントリー数。マラソンなんてどうせ道路走るだけなんだから走りたい人を全部走らせ枠を増やせばいいのに、なんて勝手に思ってました。実際参加すると実感しますが、3万人を収容するスペースは想像以上です。私のような初心者は後ろのほうからのスタートですのでトップランナーが走り始めたあとスタートラインにつくのに30分近くかかります。あれ以上になるとスタートだけでも1時間かかりそうです。
もっと問題なのかトイレなどです。トップランナーには全く関係ないことですが、素人ランナーはレース中にもトイレ休憩しますので簡易トイレの必要数も半端でありません。私などはスタート前にトイレに行く時間もなくスタート待機場所でひたすら1時間待機。スタートしてわずか1キロ過ぎのところでピットイン。でもそのトイレでも5分待ちといった状況です。真剣にタイム狙っている人間には途方もなく長く感じる時間でしょう。
給水所も大渋滞。テレビでプロがスタミナドリンク取る風景とは程遠い配給所状態(笑)。最もイライラするのは、いつまでも延々と続く団子状態でなかなか自分のペースで走れない点です。そこらじゅうで接触事故が多発していますので、あと1万人増やしたりするとそれはもう想像したくなくなる世界です。時間差で走らせるにも交通規制をそれ以上続けるわけにもいかない事情もあるようで、結局、大阪くらいの街の規模だとレースは3万人程度がマックスといえそうです。
で、最後はやはりマラソンって人を惹きつける魅力があるなぁと感じたこと。もともとマラソンなんて退屈で地味な連続動作の繰り返しだと思ってました(マラソンファンの方ごめんなさい)。でもマラソン準備をするにあたり色々勉強するとその中にもかなりの技術論や戦略マネジメントの重要性があることを学びました。そして何より、沿道の方から受けた応援の数々。痙攣の繰り返しでかなり弱っていたせいもありますが、思わずちょっとウルっとしてしまうような状況も何度かありました。上手く言葉では表せませんが多分ランナーは皆ここに引き寄せられているのではないかと分析しています。何事も経験ですね。
次また挑戦するか? 終了後、生涯最大の筋肉痛でロボットのごとくなっているこの状態で即座に「もちろん!」とは断言できませんが、またどこか近い将来生活する土地で大きな市民マラソンがあれば多分出るのではないかなと思います。それくらい辛さをカバーする何かがそこにはありました。そのときは本当の意味で完走したいものです。
さてさて、今年の個人的目標に掲げていた3つのアクティビティーはこれで全て完了です。グランドキャニオンでの数百キロの激流を下り、暴風雨のなか新世界遺産を登頂し、そしてただ今の生活拠点大阪の街を駆け抜けました。地球を思い切り楽しみました。それらを全て成し遂げることができるに至った全ての小さな奇跡の連続に感謝します。
こうしているうちに今年もあと2ケ月。そろそろ来年の目標が必要な時期になってきました。目標がないと動けないタイプの人間なので来年も積極的にいきたいと思います。引き続き末永いお付き合いのほどお願いします。
(この投稿は2013年11月にメールベースで友人知人の方へお送りしたものを一般投稿用に一部編集してお送りしているものです)
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