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日系海外進出ホテル その5 電鉄系チェーン

海外に進出する日系ホテルチェーンの進出状況を紹介していきます。掲載内容は基本的に各チェーンホテルのホームページやリリース情報をもとに解説していきますが、一部の情報は筆者の主観も含まれます。原則、海外展開ホテルの状況に特化していきますが、ホテルの成り立ちなどチェーンの概略情報も適宜加えております。

本日は、電鉄系の2社(西鉄と相鉄)を纏めて紹介します。

似ている電鉄系ホテルチェーンの海外展開

九州の西日本鉄道(西鉄)、神奈川の相模鉄道(相鉄)、そして以前記事にしたプリンス(西武鉄道)やJRと、鉄道会社系ホテルチェーンの海外展開の背景には、日本国内の少子高齢化に伴い確実に訪れるであろう需要先細りに危機感を持った企業経営者のリスク回避策という側面があります。加え、日本国内へのインバウンドの誘致にあたり、自社ブランドの認知度向上に伴う囲い込みといった効果も期待しての行動とも捉えられます。海外進出といっても、当然各社の経営戦略によってブランドカテゴリーや、ホテル形態も違ってくるわけですが、とりわけ西鉄と相鉄という私鉄両社のホテル運営へのスタンスは比較的似通っているように思えます。今日は、この2社を中心に鉄道系ホテルチェーンの海外進出について触れていきます。

西鉄の展開

日本国内で18店舗、海外に3店舗を展開する鉄道系チェーンです。旗艦ホテルである福岡の「西鉄グランドホテル」を中心に、宿泊主体型のホテルを全国に展開しています。海外においては、「西鉄ソラリア」のブランド名にて、ソウル、バンコク、台北に出店、現在、バンコクでは2号店の開業準備が進んでいます。

相鉄の展開

宿泊主体型ブランド「フレッサイン」を中心に展開する鉄道系チェーンですが、JTBが所有していた「サンルート」ブランドの買収などにより店舗数を大きく拡大しています。また、海外においてはソウルにて「スプラジール」、「フレッサ」、「ブランド・フレッサ」そして「サンルート」を加えた4ブランドにて展開しています。ソウルに3店舗、台北1店舗、現在、バンコク、サイゴン、ソウル4店舗目と出店攻勢を強めています。

両社の共通点を纏めると

2社含めた鉄道系ホテル会社の類似点を整理すると、進出エリアは、台北、ソウル、バンコクが三大聖地。やはり日本人の出張、観光需要が安定しており、日本へのインバウンド効果も考えると、この三都市が今後も日系チェーン進出の主戦場になるのは間違えないでしょう。前述のJRも台北、プリンスもバンコクへ進出とその勢いは暫く続くように思えます。

ブランドカテゴリーとしては、宿泊主体型が中心、日本国内での展開自体が宿泊特化型が中心なので、海外においてもその傾向は変わらないでしょうが、価格的にはややアッパーミドルを狙いブランド価値を向上させようという意図も読み取れます。

更なる新規参入はあるか?

過去の記事で取り上げたプリンス(西武)やJRの他にも、国内でホテル事業展開を進める会社は多いです。かつてバブル期には海外進出も行っていた東急や、京王、小田急、京急、阪急など宿泊特化型から総合型まで展開のすそ野は広いですね。現時点で積極的な海外展開を進めているのは、プリンス、西鉄、相鉄あたりですが、これらの企業の成功事例が増えれば国内主体で進めているチェーンのなかでも本格的に海外展開に追随してくる企業も出てくるでしょう。鉄道系チェーンの動向にも目が離せません。

今日はこのあたりで




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