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インドシナ便り Vol. 10 趣味を分類してみると

友人  知人の皆様

コロナウィルスのワクチン接種がタイでもようやくスタートしました。外国人に廻ってくるのはまだ暫く先でしょうが、ワクチン接種者への入国時の隔離期間短縮が始まり、また秋口以降の撤廃を政府が検討しているとの報道もあり、観光業に従事するものとしては少しですが明るい兆しが見えてきたところです。

一方で、先週のタイ正月(ソンクラン)の間の人々の移動でこれまで抑え込んでいた感染者数が先週から急拡大し、今週から店内飲酒禁止が再開されるなど一進一退の状態が続いています。 

ホテルを含めた観光業界はこれまで体験したことのない厳しい時代にありますが、一方で、これまでよりも「余暇」の機会が増えました。皆さん多かれ少なかれ、自分の生活や趣味の充実さについて改めて考え直させられることもあるでしょう。今日はちょっとこのあたりについて。

普段の日常が徐々に失われていく恐怖 

前回の便りでも少し書きましたが、昨年の3月から6月あたりのタイ政府による厳しいロックダウンでは、毎週のように強化される感染防止策により、当たり前の「日常」の喪失感が凄かったです。 振り返りますと、タイ国内での感染確認の初期段階では、バーやパブの閉鎖からスタートしましたが、その後、その規制範囲はマッサージ店とかスポーツジムへと拡がっていきます。タイの安価なマッサージは大きな魅力の一つですし、ジムでのエクササイズも日常のリフレッシュに貴重なものでしたが、感染リスクが未知数だった初期段階でのこの対応は仕方なしと納得。続いて、レストラン店内での飲食が禁止となり人との交流がどんどん減っていきます。更に密とは無縁と思われる野外でのスポーツ施設(テニスやゴルフももちろん駄目)や公園すら閉鎖に追い込まれます。これにはさすがに参りました。仕事はどんどん暇となる一方、外で出来ることが極端に無くなり、後は部屋で少人数で飲むか、テレビや本を見るか、ひっそり静まり返った街中を散歩するかくらいしかできることが無くなっていきます。極めつけは酒類の小売販売と夜間外出の禁止、完全に両手両足を奪われました。。。

やることが無い 

この時は本当に八方ふさがりでした。ちなみにこの最悪期にホテルも一時営業を断念する失意の中、決まった仕事もほとんど無く、一日中ほぼ暇な生活だったのですが、日常の生活の軸であった「仕事」と「テニス」中心とした屋外活動が一切できません。ジムにも行けないし、部屋で筋トレするのも何となく息が詰まる。汗をかくことで生活のバランスをとっていた自分を再認識します。唯一の気晴らしだった夜の散歩も外出禁止令のせいで十分できず。出来ることといえば室内系の趣味なのですが、自分の好きな趣味って屋外で出来ることに極端に偏っており、この状況でほぼ完全に無趣味状態の人間に。思い返したように、前に少しかじったウクレレなども手に取ってみますが、30分もすると飽きちゃいます。結局は酒販売禁止の通達前にギリギリで買い込んでおいた酒が底を尽きないようにちびりちびり飲みながら、料理作るくらいしかやることがないという毎日に。この時の精神状態はちょっとやばかったですね。ああ、これが趣味や目標のない人間の老後か、という実感も強く感じました。 

大前研一氏の教え 

言わずと知れた著名な経済評論家ですが、彼の経営に対する着眼点もさることながら、彼の生き方、遊び方にも参考になるところが大いにあります。彼の本を改めて読み返しましたが、そんな自分に語られているような興味深い内容が書かれていました。 要約しますと、リタイア後に備え仕事をしているうちから、20くらいの趣味を持っておけと言われています。随分多いようにも思えますが、春夏秋冬、朝昼晩、飽きのこないような準備が必要ということで、屋外と室内、グループと一人、それぞれの掛け合わせで出来ることを最低5×4分野くらいは持っていなさい、というものです。屋外でグループで出来るもの、室内で一人で出来るもの、といった感じですね。 ご紹介したおとりタイのコロナ自粛生活では一時的に、「屋外」、「グループ」というカテゴリーが事実上消滅してしまいました。前述のとおり、「室内×一人」のカテゴリーが極端に弱かったので、まさにこのアドバイスの重要性を強く実感したわけです。

室内×一人

ということで、今回の教訓を活かし、「室内×一人」のカテゴリーの強化に挑戦しています。引越しの多い生活で二の足を踏んでいたものもありますが、そんな折、タイ国内の新しいホテルプロジェクトへの参画が決まり、ホテル住まいからコンドミニアムへの引越しを機に、アクアリウムを始めてみたり、テラスで簡単なガーデニングをしてみたり、ウクレレも改めてYouTube見ながら練習してみたり、料理のレパートリーを広げてみたり、とまあまあそんな感じです。でも、まだまだこのカテゴリーは不十分ですね。またロックダウンが発令されたらとても毎日飽きなく過ごせるレベルにはとてもないです。

ライフワークになる研究

先日、解剖学者の養老孟司さんのドキュメンタリーをテレビでやってましたが、ライフワークとして「象虫」の研究を趣味でやられているそうです。解体して顕微鏡でその生態を調べたりする様はお仕事と通ずるところが多いのでしょう。既に80代に入った養老さんですが、この研究を進めるにはあと20年くらいはゆうにかかると仰っており、ああ、こうゆう感覚で毎日を過ごさせれる方は年をとっても毎日が前向きなんだろうなと感じた次第です。私もそんなライフワークになりそうな研究テーマでも探してみようと考える今日この頃です。 

皆さんはどれくらいの趣味をお持ちですか? こんな変わった趣味もお勧めだよ、なんてものがあれば是非アドバイスください。

今日はこのあたりで。

(この投稿はメールベースで友人知人の方へお送りしたものを一般投稿用に一部編集してお送りしているものです)

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