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日系海外進出ホテル その7 東横イン

海外に進出する日系ホテルチェーンの進出状況を紹介していきます。掲載内容は基本的に各チェーンホテルのホームページやリリース情報をもとに解説していきますが、一部の情報は筆者の主観も含まれます。原則、海外展開ホテルの状況に特化していきますが、ホテルの成り立ちなどチェーンの概略情報も適宜加えております。

本日は、東横インについて紹介します。

日本最大級のビジネスホテルチェーン

アパホテルとともに日本国内のビジネスホテル業界を牽引する東横イン、ホームページを覗くと正確な総客室数は表記されていないものの、日本最大の客室数を達成とのステイトメントがありますので、アパホテルの10万室レベルであることがうかがえます。徹底した無駄のないシンプルなデザインの客室は、本当に何処へ行っても忠実に再現されており、これぞ金太郎飴的なチェーンホテルの典型と言えるでしょう。

つい先日テレビで、芸人さんが寝ている間に全く違う東横イン(ほぼ同じデザインの同じ間取りの部屋)へ移動させて反応を見てみる、みたいなお笑い番組がありましたが、こんなことが実際可能になるのも東横インらしいといえます。

東横インの海外展開は主に韓国

このデザインの統一性は海外店舗でも十分に発揮されているようです。現時点での展開地域は、韓国13店舗、主にソウルへのエリア集中出店です。また、あまり目立ちませんが、それ以外にもモンゴル(ウランバートル)、フィリピン(セブ)、ドイツ(フランクフルト)、フランス(マルセイユ)に4店舗出店しています。

東横のビジネスモデルは賃貸借

さて、規模の拡大を続ける同社ですが、多くのグローバルホテルが行っている運営受託(Management Contracr)形式ではなく、土地所有者に東横インの建築設備基準に従い建物を建ててもらい、それをリースで借り受ける、というやり方です。当然にホテルの経営リスクを全面的に受けるわけでリスクはMCに比べると格段に高いですが、一方で、自社の判断での展開エリアが選択できる利点があります。上述の通り、韓国への集中出店を重ねる背景には、韓国マーケットへの高い需要見込みがあってのことでしょう。

ヨーロッパでも有効か?

一方、フランクフルトやマルセイユへの展開については、どうゆう目論見なのでしょうか? 今のところ、韓国国内のような多店舗展開を進める計画は見えてきませんし、何か社内的な事情やトライアル的な意味合いでの出店なのかもしれませんね。以下、フランスへ出店した際の記事が良く纏まっていましたので、参考まで貼付いたします。
フランスに初進出、東横インの海外展開戦略ー東横INNマルセイユ サン シャルル駅前 | HotelBank (ホテルバンク)

同一デザインの功罪

海外展開でも東横インは、日本と同様の客室デザイン、朝食無料などのコンセプトで進めています。宿泊特化だから出来ることといえばそれまでですが、多くのチェーンホテルが(オーナーの嗜好も含め)現地における地域性、独自性などを出していくのに対し、直営の金太郎飴方式で展開しているのは非常に興味深いところです。他の地域でもこの方式が受け入れられるのか、加え、それを日系チェーンが海外展開して行う利点はあるのか? 彼らの今後の店舗増加数がそれを物語ってくれるのかもしれないと思っています。

今日はこのあたりで。

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