ドコモ口座のNTTドコモ会見から見る携帯業界が支持を得られない理由

昨今、携帯業界には色々な問題が出てきてしまいました。

そのたび、だから○○は~と言われてばかりの携帯業界。

皆さん、いろいろな思いがあって信用をしていないのだと思いますが、今回は感情論ではなく構造的に考察をしていこうと思います。

僕個人、業界内で働いていた時はどの立場にいたとしても嫌なことはたくさんありましたし、ドコモに限らず1ユーザとしてお店に行ったりした時も気分を害する対応をされたりしたこともありますが、今回はそういった感情は抜きにしてドコモ口座不正利用に関するドコモの会見から僕らユーザが思うような対策がなされない背景を考察していきます。。

今回の話題はこちらの会見内容をもとに話していきます。

これからの話、少し予備知識がある前提でお話します。まだ見ていない方は僕の過去の記事から見ていただくと分かりやすいのかなと思います。


1.会見を通したドコモの主張

まず、最初のプレスリリースとは主張が変わり、会見の中では「本人確認の方法が甘かった」と言っていました。ドコモ口座というサービスにおける不備を認め、それによって被害を受けた方に対して補償を行うとしています。

その中で、「ビジネスを優先しセキュリティが甘くなったのでは」というこの会見の中で一番鋭かったであろう指摘に対して、「ビジネスを優先したわけではない」と否定もしています。

また、ドコモ口座の利用は1日13000件ほどあるため、サービス自体の停止は行わないものとしています。

会見中のドコモとしてのスタンスをまとめると、

お客さまの安全を考えてサービスを展開してきたけど今回不正にドコモ口座を使われちゃったよ。提携金融機関の新規登録はもう止めたから、これから被害の実態を調査するよ。でも、すでに不正にチャージされたものを中心に自分で行ったのか本当に不正利用なのかの判断は難しいから時間がかかるよ。あと、元々連携してる人で毎日13,000回程のチャージがあるから、サービス自体を止めるとそのユーザが困るから止めないよ。既に成りすまされて入金されたアカウントが自由に買い物できる状態だけど、なんとなく今後被害が広がることはないと思ってるよ。被害に遭ってるかどうかは各自で記帳して確かめるしかないよ。いやあ、今回は本人確認の方法が甘かったな、不正利用と認めた金額については全額補償はしたいと思ってるよ。

ざっくりいうとこんな感じです。


2.信用回復のために行うべきこと

なにをもって信用が回復されたと判断するかの定義として、ここでは企業側とユーザ側に切り分けていきます。僕は企業側の経営にアドバイスをする立場でも何でもないので、ここでは我々ユーザが求めることについて書いていきますね。

被害にあう可能性のあるユーザたちは、自分が被害に巻き込まれないこと、既に被害にあった方には補償をするべきということ、再発防止策が講じられるまではサービスの停止を行いセキュリティ対策を講じるべきということの3点を望んでいるように思えます。

サービスを停止するべきという意見は頭ごなし的な考えではなく、根拠として2つの意味があると思っています。

1つ目は、事実上の自衛策がユーザには存在しないためこれ以上のお金の流れを止めることで早急な被害の実態把握に努めるべきだろうという意味

2つ目は、不正に入金されたお金を決済に利用されていた場合、本当に不正に入金をして他人が決済をしたものなのかの把握に時間がかかり補償が遅れる或いは補償が行えない可能性を懸念した意味

今回の場合はこれ以上実態の把握が難化しないようまずはサービスを止めたうえで、きちんと被害の把握と補償を行い、無尽蔵に作成できるdアカウントから制限を設けて、十分な本人確認が行える環境を作ったうえでサービスを再開をしたら信用が回復したといってもいいのかなと個人的には思います。

でも、ドコモの対応の中で、サービスの停止はしないし、他人に成りすましてdアカウントが作成できる状況も止めないよとしているのです。

3.ビジネスを止められない理由

ドコモ口座について、ドコモ口座の利用は1日13,000件程あるためニーズのあるサービスの利用を停止するのは難しいと会見中に回答がありました。

その表現を見ると、ドコモ口座を止めると利用者の全員に被害が出るからまあ仕方ないよなと思う方もいらっしゃると思います。今回の件数66件に対して他の利用者が圧倒的に多いから仕方ないかなと思ったり。ですが、この13,000の取引のほぼすべてはドコモ口座単体としてではなく、実はd払いのウォレット機能(ドコモ口座)を使ってチャージされたものと推測されます。

d払いのユーザ数は2700万をこえています。

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iPhoneの販売遅れは「大きな影響なし」、d払いは「キャンペーンを頻繁にやる」 ドコモ吉澤社長 - ITmediaより引用 https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2008/03/news129.html

そのうち1日13,000の取引が止まった場合、d払い残高に(ドコモ口座を使って)チャージができなくなり困ってしまうユーザって本当にたくさんいるのでしょうか。

サービスを止めたときd払いで決済ができなくなる人って、

・現金がない

・他社決済サービスの利用がない

・クレジットカードがない

・ドコモの携帯がない

・ATMからお金を出せない

この5つを全て満たした人だけがd払いのウォレット機能(ドコモ口座)サービスが止まった時に支払いができなくて詰んでしまうんですけど、そういった人って全体のユーザに対して果たして何%なんでしょうかね…

多くのニーズがあると言われると、誰に?という話です。ドコモ口座利用者が困るという表現でしたがほぼ全てはd払いのチャージのことです。そのチャージが停止したとして代替の決済方法でd払いを利用することはいくらでもできるわけです。

dアカウントの作成や管理についても、制限を厳しくするとd払い、dTVやdマーケットなど各種決済を伴うサービスのアクティブおよび登録ユーザの増加が極端に鈍化してしまうために不正に作成された可能性のあるdアカウントのロックや作成時のセキュリティについて踏み込めないという背景があります。

質疑応答の中で「ビジネスを優先したのでは?」といった指摘を否定していたドコモ。背景を考察してみると、ユーザが求める対処をしないことで得られる既存ユーザの利便性っていったいどれだけあるのでしょうか。

サービスの停止に困るユーザはごく一部ですが、もし抜本的な一時対策をとったときにドコモ口座とd払いに強い関連があったと公にバレてしまったら、今一番力を入れているd払いにブレーキがかかってしまう。そのような意図があるため行えないと指摘されても仕方がないように思います。

僕からこの件や過去の事象について僕が持っている情報を出すことはありませんが、全体を通して問題に対する対応は「まあいつもの感じですかね」といった感想です。

最後に感情論を持ち出しますが、YouTubeのコメント内で「上から目線」とか、「被害者面」とか「反省をしていない」とか散々言われてたりします。

結局は押し切ってしまえば何を言われようと指摘をされようとビジネスとして成り立ってしまうその構図が、ユーザから非難を浴び続けて支持を得られない理由なのかもしれません。

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