セント・メアリ・ミード村に思いを馳せて……

J「そんな村は存在しません」
H「冒頭から何だよ……」
J「一応言っておかないと。つい最近まで英国にはそんな村があるもんだと思ってましたから」
H「私も思ってたけどさぁ……ポワロさんのほうにも村の出身だって人物が出てきたし」
J「はい、というわけでヒクソン版ミス・マープルを全話視聴完了しました。どうでしたか?」
H「大変満足しました」
J「ミス・マープルは複数人演じられている方がいるので見比べるべきなんでしょうけど、今回はアガサ・クリスティーお墨付きの女優さん、ジョーン・ヒクソンさんが演じられたBBC版のみとなります。若い頃にミス・マープルを演じてほしいと言われて本当に実現するなんてすごい話ですよね」
H「作者本人から言われるっていうのがね。クリスティーって本当にいたんだ……って感じたよね。私のこの気持ち、伝わるかな?」
J「クリスティーが主役のドラマとかありましたしね。架空の人物のように感じてしまうときがありますね」
H「そんなドラマもあったな」
J「それはさておき。ミス・マープルの話を」
H「うーん。下手に話すとネタバレしてしまいそう」
J「ネタバレはなしで」
H「ルイスが出てた」
J「出てましたね。めちゃくちゃ脇役でしたが。モースがまだ始まる前ですよね。若かりしルイス」
H「脇役の刑事さんどこかで見たことあるなーと思ったら、ルイスだ! ってなったよね」
J「知っている人が出ているのは嬉しいですよね」
H「そうだねぇ。思わぬ発見」
J「他は?」
H「みんな! ミス・マープルは面白いよ! ぜひ見てください!」
J「面白くないみたいに聞こえるんですけど」
H「君が無理やり私から感想を引き出そうとするから! ポワロさんとはまた違った面白さがあるから、気になる人は原作なりドラマなり好きなほうを見るといいと思うよ。ポワロさんみたいに、絶対この順番に見て! っていうのもないし」
J「強いて言うなら、"カリブ海の秘密" "復讐心の女神"の順番でしょうかね」
H「ドラマは年代順に見ていったせいで、先に"復讐の女神"だったんだよね。別にこの順番を守らなくても大丈夫と言えば大丈夫なんだけど、ミス・マープルに遺言で調査を依頼した大富豪との関係を先に知っておくか知らないままいくのかはあなた次第です」
J「基本的に1話完結なので、どこから見ても楽しめます」
H「ちなみに君はどの話が印象に残った?」
J「一度見ていることも忘れてもう一回見てしまった"パディントン発4時50分"。今思い出しましたが、恐らく日本版を見てお口直しに見たような気がします。なのでそれも含めると3回もこの話を見ていることになりますね」
H「何だよその理由」
J「あとは、"鏡は横にひび割れて"。これはたまたまシャロット姫の話を事前に知る機会があったので、詩の引用がわかって嬉しかったです」
H「だから何だよその理由⁉︎」
J「しかも最近とある日本のドラマで"鏡は横にひび割れて"を彷彿とさせる回があったので、別にそのドラマには興味ないんですけど、理解できたのがよかったですね」
H「マジで何言ってんの、この子」
J「ちなみに"鏡は横にひび割れて"も日本でドラマ化されています。見たはずなんですけど、完全に忘れていました」
H「君は純粋に作品を楽しむことができないのか」
J「あと、クラドック警部。"予告殺人"のときは赤の他人だったのに再登場した"鏡は〜"のときはミス・マープルの甥になっていたクラドック警部」
H「説明長」
J「――イケオジでしたね?」
H「ためて言うことか? はいはい。そういうのはいいんで。内容を見ろ、内容」
J「この俳優さん、エッジウェア卿にも出てるし、グラナダ版ホームズにも出ているんですって! 全部見たのに気づいてない!」
H「仕方ないさ。基本的に人の顔を覚えるのが苦手な人物が見た感想だから」
J「しかもモースにも出ているそうで」
H「見る機会があればいいね」
J「あとは"復讐の女神"でミス・マープルが守護天使と言ったお姉さん方もよかったです」
H「君はそんなところしか見ていないのか! もっとトリックとか人間心理とかを味わえよ!」
J「楽しみ方は人それぞれなので」
H「ぐぅ」
J「そうだ、クリスティー関連で思い出した。やっと念願のケネス・ブラナー版"ナイルに死す"を観に行くことができましたね」
H「すっかり忘れていた。そうだった。記憶から消し去っていた」
J「話はわかっているし、あの怒涛の勢いで人が死んでいくところが"ナイルに死す"の見どころなので」
H「君だけだよ。そんなところを見どころだと思っているのは」
J「色々と改変されているのは気になりましたが……まぁ言っても仕方のないことなのでね」
H「これはこれ、それはそれって感じだよね。ピーター・ユスティノフ版、お馴染みスーシェ版、そして今回のケネス・ブラナー版……どれも違ってどれも楽しい」
J「個人的にはピーター・ユスティノフ版がわりと好きなんですけど」
H「なぜに?」
J「老婦人の付き添いの女性なんですけど、佇まいとかがかっこよかった」
H「あの女優さん、マクゴナガル先生だってさ」
J「⁉︎」
H「おお、調べ始めた……。スマホをものすごい勢いで操作してる……」
J「マギー・スミス……ダウントンアビー……」
H「自分の世界に入ってしまった。いやほんと、これだけ色んなものを見ているわりには俳優さんの名前とか顔とか覚えるの苦手なのでその辺りは勘弁してね。いつも色々と調べながら書いています」
J「はー……」
H「気は済んだかい」
J「はい。これでまた一つ学びました」
H「それはよかった」
J「さて、何でしたっけね。ハリー・ポッターでしたか」
H「ジャンルが違いすぎる」
J「冗談ですよ。――ミス・マープルやらクリスティーやらの話はこの辺りで切り上げましょうか」
H「ずいぶんと長くなったもんだ」
J「ええと、今はルイス警部を見たり、おばさん警部のドラマを見たり……あとはCSI! 俺たちのグリッソムとサラが帰ってきた‼︎」
H「打ち切りになってしまったクラリスとかの話もしてないね」
J「言いたいことはたくさんありますけど、また気力があればちまちま垂れ流していきます。それまで皆さん! 良いドラマ、映画ライフを!」
H「ゲームも忘れずにね」

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