息子の少年野球で、未熟者の私が学んだこと⑬
主な登場人物はこちらから。
入団して数ヵ月が経っていた。
あの頃の不満を全て思い出そうとしても、パッとは出てこないし、うまく書き出せない。
でもはっきりした違和感はまだ心の中に残っている。
『かわいそう枠』
謎のそれは、役員の京子と恵美子が決めた特別枠。
当番や車出しが免除とまではいかないが、他より少ない人達がいた。
役員の決め方もそう。
それまで役員は持ち回りで入った順に回ってくるのかと思っていたが、そこにも『かわいそう枠』が適用された。
来年度の役員は、古株のミキと、私達と同時期に入った由樹に決まった。
先に入った梨花と美智子をすっ飛ばして。
美智子は常々、「役員は高学年になってからの方が大変だから、早くやった方がいいって京子ちゃんに聞いた」と言っていた。
私はそんな話しを聞いたことがなかったが、息子が同じ幼稚園出身の美智子は、京子と近い距離にいた。
由樹の下の子は障害を抱えている。
住まいは自分の実家で、夫は単身赴任。
確か自分の母親と暮らしていた。
私は障がい者を決して軽んじていないし、由樹が大変なのだろうなと想像することはできた。
しかし、この目の前の少年野球の保護者という立場だけで見れば、平等な立場ではないのかと思っていた。
京子と恵美子はよく、「あの人はかわいそうだから・・・」と、由樹やシングルマザーの梨花のことを優遇していた。
夫が土日休みではない家庭は『仕方ない枠』。
では、下の子がいる私や美智子は『下の子いる枠』を作ってほしいと思っていた。
ミキは「下の子の年齢は関係ないよね。下の子は下の子じゃん。大変だよ」といつも言ってくれていた。
今現在も野球を続けているミキの息子。
この頃一番家族で協力的だったと思う。
当時の私は心が狭かったと思うが、由樹に対して、実家に住んでいて自分の親が下の子を見てくれているのが羨ましいと思っていた。
とにかく私は土日に家族総出で長男の野球のサポートをすることに疲れ果てていた。
詳細はこちら。
ここが重要なのだが、自分の息子がチームで活躍し、自主的に自主練する子なら、親の気持ちも報われたのかもしれない。
でもその頃の長男は、ただ何となくみんなで集まるのが好きなだけで、「将来プロ野球選手になりたい」と思っているような子とは温度差があったし、やる気もなかったと思う。
だから私も「なんでこんな子のために・・・」と負の気持ちが強かったし、「練習しなさい!!」と強く当たってしまうこともあった。
完全に野球が家族にとってマイナスなものになっていた。
今では、部活で違うスポーツに取り組み、自主練も積極的ではないが、している笑
私もそのスポーツをしていたので、長男が練習試合で野球の打順に置き換えたら4番的なポジションを任された時は褒めたたえ、1番的なポジションの時は喜び(私はそのポジションだった)、7番的なポジションの時は文句を言う笑
「どこだって出れただけでいいじゃん」と言う長男と笑い合う。
ドラマ下剋上球児を鑑賞中は、野球シーンをまじめに観ていて、「うまい」とか一人で解説しているからおもしろい。
このチームの次のチームを辞める時に、「このままでは野球が嫌いになってしまう」と危機感に襲われたのだが、あの時辞めて本当に良かったと今では思っている。
後にこのチームを去る時に、由樹と大揉めしたのだが、由樹の息子と長男も合わなかったから、『かわいそう枠』には余計納得できなかった。
ちなみにこういった時に他人から同情されたくない方もいると思うが、由樹は同情され特別扱いされて当然と思っていたようだった。
それが後に、彼女自身がこのシームを去るきっかけになった要因でもあると思う。
シングルマザー枠の梨花は、同棲中の彼氏をよく連れて来ていた。
陰口を叩く人もいた。
人の生き方なんて何でもよいと思うが、梨花の息子がいつも淋しそうで、パパコーチ達に特別懐いていた光景をよく覚えている。
チーム在籍中に次々に家族が増え、当番も何もしなくなったと噂で聞いた。
ついに『免除枠』ができたのかと笑った。
仕方のないことだが、保護者の協力なしでは成り立たないシステムなら、一人に役割の重きを置かず、卒団するまで全員で少しずつ分担するシステムにすればよいのにと思う。
在宅でプリント作るだけとか、飲み物買ってくるだけでも、チームに貢献してるよ。
餅つきのことを書くはずでしたが脱線したので、また次回。
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