息子の少年野球で、未熟者の私が学んだこと⑧

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入団してまず戸惑ったことは、連絡先を一方的に私(母親)に決められたことだった。
当初、息子が野球を始めるなら、野球好きな私はいろいろと口を出してしまいそうだから、夫に全て任せようと思っていた。
夫は野球とは無縁の人だが、車出しやチームの手伝いには前向きだった。
次に驚いたことは、「お茶当番」という制度が、監督やコーチへのお茶出しだったこと。
今ではお当番制度の問題点で突出しているお茶出しなので、疑問を呈している人の中で知らない人の方が少ないかもしれないが、私は、子ども達へのお茶出しだと思っていた。
当番に出てくるのも、当然母親限定ということだった。
父親は、パパコーチ、車出し。
車出しは母親がやってもよく、ママコーチという人もいた。
でも、お当番は母親、ということだった。

例外はいた。
五郎丸の妻は、お当番のシフトから外れていた。
そのことを京子に聞いてもはぐらかされた。
五郎丸はパパコーチとしてできる限り参加しているようだったが、京子曰く、「パパにお当番させるわけにはいかないよね。本人はやるって言ってるみたいだけど」と。

入団する時も、監督やコーチと何か面談めいたことをするわけでもなく、京子に連れられて挨拶したのみだった。
京子が「監督、今度入団する〇〇くんです」という風に、全ては母親が取り仕切っている世界に見えた。
このチームの監督とコーチは本当に良い方々だった。
できれば最後までお世話になりたかったと今でも思う。

同時期に入団した、ザギトワと由樹、優愛。
実は私は由樹の息子が苦手だった。
体は大きいが、ワガママで甘えん坊、すぐに人のミスをわざとらしく指摘するタイプ。
結婚後しばらくしてから生まれた第一子で、下に介護が必要な妹がいる。
甘やかされて、期待されて育てられた子という感じだった。
後にこの期待されて育てられた子という部分は詳細を書くことになる。
私がこのチームを退団した日に、由樹が言っていた言葉だ。
由樹の息子とザギトワの息子は、他のスポーツも並行して行っていた。

ザギトワの夫は、某スポーツの元プロ選手で、現在もそれに関わっている。
自分の息子にも同じスポーツをさせていたが、才能がないと思っていたらしい。
そんな時に、ミキから声をかけられ、ザギトワは「土日にどこにも連れってってあげれないし」という暇つぶし感覚で、野球を始めさせたようだった。

長男が、「俺がピッチャーやって、〇〇がキャッチャーがいいな」と言っていたのが、優愛の息子だ。
長男と同じ名前で、ぽっちゃりした体型。
穏やかで優しく、皆に好かれている。
ちなみに彼も現在、少年野球を卒業後、野球をやっていない。

一気に人数が増えた低学年チーム。
この頃は全体で70人くらいいて、6年生だけで約20人、強豪チームだった。

京子に辞めた人はいるのか聞いたことがあったが、「いない」という返事だった。
嘘だったのだが。

突如自分の生活の一部となった少年野球の世界。
モヤモヤするものもあった。
入団したてで、お当番免除期間中に、美智子に出会った。
背が高く美人でモデルのような人。
夫も歌舞伎役者さながらのイケメンで目立っていた。
最初のコンタクトは美智子からで、グループメールの中から私個人宛にメールをくれた。
「よろしくお願いします」の様な他愛もない内容だったと思う。
グラウンドで会えば、どちらからともなく話すようになった。

ある日私は、五郎丸家だけ、なぜ母親が当番をしないのかを聞いてみた。
「前は来てたと思う。見かけたことあるんだよね」
何かよくないことを話すかのように、美智子は言った。


息子の少年野球で、未熟者の私が学んだこと⑨|AH (note.com)

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