見出し画像

「あの頃。」を見て

今日は、映画「あの頃。」を見てきました。

この作品の原作は、剱樹人さんという方のエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」です。剱さんは伝説のアイドル・松浦亜弥をきっかけにハロープロジェクトにはまったファンで、ハロプロを推す中で出会った仲間たちとの思い出をエッセイに書いています。

この仲間たちと一緒にハロプロを推していた時期が剱さんにとっての「あの頃」なのですね。

この作品の中で印象的だった言葉を2つ挙げます。「卒業」と「今」です。

作品を通して印象に残った作品がありました。モーニング娘。の石川梨華さんの卒業コンサートのシーンです。このシーンでは、主人公・剱が仲間とではなく、チケットを譲ってくれた初対面の女性とライブに参加するシーンが描かれます。このシーンは作中でも珍しく剱が仲間と一緒に過ごしていない上に、石川梨華さんの本当の卒業ライブ映像が使われていることから、とても印象に残ったシーンでした。

また「卒業」に焦点を当てたシーンはここだけではありません。途中のモノローグで「僕たちは小学校、中学校、高校、大学と卒業するたびに出会いと別れを繰り返す。しかし大人になった今、もう卒業はない」と語られるのです。

でも本当に卒業はないのでしょうか。仲間内でわいわいするのが楽しかった一方で、就職、病気、上京など、さまざまな理由で剱たちの仲間はかつてのようにハロプロだけを考えてわいわいできなくなっていました。
大人になると、卒業式のようなはっきりとした「卒業」はなくなるけれど、きっとそこにはじわじわとした卒業があるのだと思います。例えば、「あの頃。」で言うと、ハロプロ最優先の生活からの卒業。そして、卒業していく時に、そこまでの出来事が思い出になり、「あの頃」になるのだろうとも思います。

そして、作品では「今」にもスポットが当てられていました。仲間内で集まっているときに、あの頃はよかったよなとか言っているのはダサい。いつだって今が一番って思っているのがかっこいい(うろおぼえ)というセリフがありました。
このセリフを受けてか、剱は作中後半で何度か「今が一番楽しいよ」と言います。作品前半では仲間内でわいわいしているシーンが多くあった一方で、後半はそういったシーンがなく寂しさも感じる展開が続きます。それでも、剱が剱なりに「今が一番楽しい」と思えていることにぐっと来ました。

また、この作品には多くのハロプロ楽曲が使われていますが、作品を象徴する曲は「恋ing」でしょう。この曲は、今まさに「恋愛中」「恋愛進行形」だということを歌っているのですが、このメッセージも「今」を示していると言えます。特にこの曲はあの頃に仲間内で歌った思い出の曲であり、作品後半の今のパートで最後に流れる曲でもあるのです。

総じて、人生は常に「今」が最高で、それを重ねていくことで思い出が出来上がっていく。そして、それが思い出であることには、何かを「卒業」してからでないと気づけない。「あの頃」を懐かしみながらも、「今」を一番楽しいと思えるように過ごしていこう。
そんなメッセージが込められていたように感じました。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?