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乱読読書日記②岸見一郎、古賀史健「嫌われる勇気」

一週間が始まってしまいましたね。心がざわざわしますね。

今日の本はもう紹介するまでもない有名な自己啓発本。

アドラー心理学は非常に有名で、その分「確かトラウマを否定するやつやろ」「人は人、自分は自分だから嫌われてもいいってやつやろ」とかいつまんだ知識で間違った先入観を持っていて、

今の自分は環境のせいじゃない、自分の責任だ、お前が悪い、と言われているようでしんどそうだなあと敬遠していたのだけど

ちゃんと読んでみるとむしろ逆でめちゃくちゃ面白かった。そして文章はすごく平易なのに理解するのはすごく難しい。今でも理解出来ている自信はないし、実践していくのはもっと難しい。

文体は物語形式で、ある哲人の先生の元に人生に悩む青年が訪れ、先生の説くアドラー心理学は嘘だ、先生を論破してやる、という。

哲人の先生は青年を歓迎し、アドラー心理学とは何か、どうすれば人は幸せになれるかを対話によって考察していく、というお話。

青年の問いは「そうそうそれは聞きたい」と思うようなもので、痒いところに手が届く感じで一気に読み進められる。

一方で、対話の中には耳が痛いところも多々ある。たとえば

今のあなたが不幸なのは自らの手で「不幸であること」を選んだから

という一文。私は昨年心を病んで休職していた。

生きてるし働いていたら嫌なことなんていっぱいある。

仕事と家事に忙殺される、お客さんに理不尽に怒られた、会社の先輩からパワハラじみた嫌がらせをされた。

アドラー的にいうと、それらの外的要因で心を病んだのではなく、それらは単なる現象で、私にとって「心を病んだ方」が都合が良かったから、そのために現象を選んだのだ、ということになる。ううぅ書いていても痛い。

そして、劣等コンプレックス(どうせ自分なんて、と劣等感を言い訳すること)、優越コンプレックス(他者より優れているように見せること)、不幸自慢(不幸であることで特別な存在であるように見せること)全て他人と自分を比べ、周りを敵と思い込んで誤った認識を招く。心当たりがありすぎる。

ここまでだと「アドラーさんは手厳しい人やなあ」という印象になってしまうが、むしろ逆だ。

アドラーは、そういった性格や気質をひっくるめて「ライフスタイル」と読んでいる。

フロイト心理学ではこれは、これまでの原因によるものだとしているが、アドラー心理学ではこれは変える「勇気」さえあれば自分で変えることができ、自身の人生に真摯に向き合うことができると説いている。つまり今屑でも変わる勇気さえあるならこれから変えられるよ!ということ。希望が持てる。

じゃあ実際どうすればいいか。

まず行動面の目標が次の2つ。
①自立すること ② 社会と調和して暮らせること
そして、この行動を支える心理面の目標として、次の2つ。
①私には能力がある、という意識  ② 人々は私の仲間である、という意識

これだけだと抽象的すぎてイメージしにくいが、青年との対話の中ではたくさん具体例をあげて説明されている。

他人の承認を期待するな、他人はあなたの期待に応えるために生きているのではない。そして、あなたも他人の期待に応えるために生きているのではない。

正しい劣等感は理想の自分との間に生まれるもので、それは自分を成長させてくれる。

まず60点の自分でも、そんな自分を受け入れて、それから理想に近づく努力をしろ。

過去に支配されるのでなく、未来のためでもなく、今という点を真剣に、丁寧に生きろ

などなど、全文引用したいくらいどうすれば自分のライフスタイルを変えられるか、を具体的に書いてくれている。

理解も難しいが、実践はもっと難しい。

60点の自分に毎日向き合い続け、かつその成長に向かって真剣に努力し、人生を楽しむ…。いつも自分を減点方式で見てしまう私のような人間には受け入れにくい、いやいやこれも私の凝り固まったライフスタイルだ…。

友達とか恋人だと点数なんてつけないし、欠点含めて愛おしいし、いてくれているだけで嬉しいのにね。自分のこともそういうふうに思えるようになりたい。その上で、もっと周りに貢献できるように毎日誠実に生きていければ幸せだ。

アドラーさんは優しいとはいえやっぱり手厳しいので、どん底じゃなくてちょっと低浮上、でもなんとかしたい、という時に読み返したい本。

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