乱読読書日記⑤原田ひ香「三千円の使いかた」
首都圏の緊急事態宣言が解除されましたね。嬉しいことで、我慢してた旅行もしたい外食もしたいと羽目を外しすぎて、うっかり散財してしまいそうです。
今回の本は、小説7割、お金の勉強3割、といった感じ。決してお金の勉強の面が浅いという訳ではなく、それだけ小説面が面白かった、という意味で。
6編のショートストーリーから構成されており、それぞれ主人公は以下の人々だ。
・社会人二年目の美帆。キャリアと資産形成に悩む一人暮らしの女の子。
・美帆の祖母、琴子。資産はあるものの、今後のライフプランと資産運用に悩んでいる。おっとりして上品なおばあさん。
・美帆の姉、真帆。夫と三歳の娘との3人暮らしの専業主婦。資産形成のため、節約しているしっかり者のお姉さん。
・琴子おばあさんの隣人の安生。ふらふら生きている高等遊民っぽい男の人。
・美帆、真帆の母、智子。家事が全くできない夫との関係と老後の資産に悩んでいることも。
それぞれにそれぞれの幸せがあって、それぞれの悩みがあって、悩みを機会に自分のお金の使い方だったり、価値観を見つめ直していく。
みんな普通の人たちで、普通だから読者にも寄り添って一緒に悩んでくれているように感じるあたたかい話だった。
私も美帆と同じように働いていて、ついつい面倒で外食で済ませてしまったり、後から考えて必要のないものを買ってしまったりする。
キャリアは完全に迷走中…。
夫との家事分担には智子のように悩んでいた時期もあった。自分を犠牲にしないでお互いに快適に過ごせる最適量での分担に今は落ち着いた。
この本の良いところは、お金について色々アドバイスやためになる話は載っているが、節約を推奨しているわけではなくて「自分にとってためになるお金の使い方をしなさい」と勧めてくれているところだ。
お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない。
また、タイトルは自分のお金の使い方、価値観を見つめ直す基準として琴子が美帆にしたアドバイスである。
三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく、ということ
同じ三千円でも、たとえばコンビニでやけ食いのために買った食品代だったり。付き合いで行った楽しくない飲み会の参加費の三千円と、
自分が興味があることを勉強するセミナーの参加費だったり、大切な人と過ごすためのデート代だったり、趣味だったり、持っていて嬉しくなるようなもののために使う三千円とは満足度が費用対効果がかなり変わる。
別の本で読んだ内容だが、経験だったり、人のために使うお金については費用対効果(満足度)を感じやすいらしい。
私だったら自由に使える三千円があれば何に使うだろう…。
服や化粧品を買うには少し足りない額だし、外食だとランチなら高め、ディナーなら足りないかもしれない。
オンラインの英会話をやってみたいけど、安いもので月六千〜七千円ほどらしい。三千円だと半月分だ。
最初に思いつくのはやっぱり本かな。
あとは友達や妹とちょっと良いホテルでアフタヌーンティに行ったり。
映画なら映画館で2本くらいみられる。
お金っているのはパラメータの一つだけど、節約すること、お金を貯めることが全てではなくて、
自分が幸せになるために目的意識を持って使うことが大切なのだと思う。
差し当たってこの本は1500円+税なので、お代分しっかり自分の中に消化していこう。
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