女の子だからね。
年配の男性ばかりの部署に一人だけいる若い女性だというだけで、姫というあだ名がついていた。
なんだかすごく馬鹿っぽくて俗っぽいあだ名だなあと思ってたら、言い出したのは私の仕事内容を把握しているはずの同じ部署内の人だった。
仕事内容は他の人たちと変わらない。年下の女の子だから、姫。
一時期休職していた負い目もあって言えないけれど、なんだか仕事ができない人間だとラベリングされた気がした。
こういうことがあると芋づる式に思い出す。
新卒の頃。
業務時間外に何度も誘ってくるおじさんがいて、断っていたらOJT中の業務の指導をしてくれなくなった。
人事と上司に報告して謝罪と改善をしてもらえたが、後で「女の子じゃなかったらこんなことにならなかった」とぼやくように言われた。
大学院生の頃。公聴会の評価が高くて奨学金免除の通知がきたとき、同じ程度の評価だった男の子の同期は免除が通らなかった。
「同率だと女子を通すからな」と諦めたように言われた。
大学院に進学したいと言った時。祖父母に「女が院に行って無駄に歳とってどうするの。結婚できなくなるよ」と言われた。
お母さんが二人にバレないようにこっそり入学手続きを済ませてくれた。後でお母さんがひどく怒られていた。
こういうことがあるたび感じる怒りとも悲しみとも罪悪感をもいえないもにょっとした気持ち。サイズの合わない服を着ていて、それがすごく惨めなような気持ち。
一番惨めなのはそういう諸々全部性別のせいにしてしまう自分だ。
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