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あやとり家族55〜再婚相手との出会った店〜

看護師になって初めてのお給料をもらった日
当時気になっていた怪しいBARに行くことにした


離婚して車中泊していた私が買っていたのは”タバコ”と”カップラーメン”だけ
お金がなかったので、節約どころの騒ぎではなかった

友達のお店でご飯を食べさせてもらう時以外は、この生活
”自分の稼いだお金で飲みに行きたい”
これが小さな目標だった
それが叶えられた日の出来事


お店に入るとお気楽そうな店主に「いらっしゃいませー」と言われた
少し怪し気だった店の中の雰囲気は、私の好奇心を揺るがす内装だった
「初めてだよね?何する?」って気軽に声をかけてくる

まずは大好きなビールを注文。
ビールを私の元に置くと店主は「僕、ぎゃあと言います」と握手を求められ咄嗟に私も手を出して握手した
「名前なんて言うの?」私はあだ名で自分の名前を言った
「XXっていうんだね、よろしくXX」

別に話すことなんてないのに、さすが飲食店の店主だけあって会話がうまい
どんどん心地良くなって、話が進んでまた来たい店だなと感じた
店主も初対面にも関わらず、私に興味を持ってくれて週末に行われるパーティーイベントに来ないかと誘ってきた

正直パーティーなんて行ったことのない私はどうしようかとも思ったが
「XX来るならエントランス料金払わないでいいから、俺の名前出して」
新しい生活のスタート、そこの新しい経験をすることはいい挑戦だと思ったのと
お金がかからないなら体験するのにはちょうど良いと思った


”そもそもパーティーって何?”
家に帰ってから考え始める。何を着て行くんだ?音楽イベントなのはわかっていた
洋服なんていつも通りでいいか”居づらかったら帰ればいいし”
そう覚悟し、当日を迎えた

この間行ったお店とは雰囲気がガラッと変わっていて
音響や光、映像まで初めての経験
BARの中には、これまた怪し気な店員が居るではないか
その容姿が個性的

高さが30センチはあるであろうハットを被り、長髪で
なんと言っても髭が面白かった
真ん中の髭は全部剃って両端の口角のところだけちょびっと髭がある
中国人みたいなはやし方
そして大きな目玉
こんなに好奇心を煽る見た目の人間に実際に会ったことはなかった

私は珍しいものを見ると近づいて観察する癖がある
知的好奇心の塊、相手が人間ならすぐに話しかける
ビールを注文するときに話しかけてみた

「ねえ、いつもここで働いてるの?」
「土曜日だけだよ」
「ふーん、わかった」

そうか、週末はいるのか。それが第一印象だった
好きとか恋とかそういうことではなく
人間として興味を持った、これが再婚相手との出会いだった


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