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「優良読書グループ」賞を受けて

私は、石川県野々市市の読書会連絡協議会の会長を3年前に受け継ぐことになりました。同市には3つの読書グループがあり「野露読書会」は初代と2代目の会長を出していて私は四代目になります。3代目は「ふれあい読書会」から出ていました。このように発足は古く昭和39年に遡り、当時は町内会女性部のサークルだったようです。

野露がここまで活動を継続できたのは市の文化協会と公民館に属していたことが大きく、外からの緩い強制力があったからだと思われます。毎年市の「椿まつり」と公民館の「マナビィフェスタ」には講演会を開き30回以上に及びます。市民参加を募るため地域の史跡や説話や方言を紐解く演題が多いですが、「方丈記」や「源氏物語」研究や金沢市民文学賞受賞者の文学に関する講演も行いました。

月1回の例会での課題本は、純文学や海外文学にも挑戦しているのは野露の特徴かもしれません。大江健三郎のノーベル文学賞受賞の年には「飼育」を読み、今年から「世界文学アンソロジー」をテキストに使い、クリスタ・ヴォルフやイタロ・カルヴィーノなども読んでいます。読連協の活動としては、合同読書会や文学散歩を毎年計画して実施は当番制でやっています。直近では、小林秀雄の「読書について」の合同読書会、徳田秋声記念館と周辺への文学散歩を行い、金沢の老舗料亭のランチなども会の交流には欠かせないものになっています。七尾市出身の絵師長谷川等伯を描いた直木賞作家安倍龍太郎の「等伯」読書会では、七尾美術館での等伯展も合わせて見学しました。また加賀市には中谷宇吉郎の「雪の科学館」があり、文学散歩で見学する前に、一般向けの科学書「雪」から抜粋したテキストで読書会を行いました。これはいつもの小説の感想主体の読書会とは違う学びがありました。

ところで現在会員は9名と高齢化で減少してはいますが、毎月の読書会は盛り上がり読書熱は高まるばかりで次回の例会を皆楽しみにしています。野露の有志で「源氏物語を読む会」を作って「若菜下」まで続いているのがその証拠といえるでしょう。今後は石川県の他の読書会との交流も視野に入れて活動をレベルアップしていきたいと考えています。

*「優良読書グループ」賞とは、公益社団法人読書推進運動協議会が毎年全国の同協議会から推薦を受けて設定する賞。私の属する「野露読書会」は昨年度受賞した。上記記事は、機関紙「読書推進運動」第675号に掲載されたもの。

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