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自分史

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[自分史] 並んで歩いた確かな実在感

[自分史] 並んで歩いた確かな実在感

あの頃を思い出すと、よく金沢の路地のあちこちを並んで歩いていたことがあった。いつもどうしてか曇天の日が多かった。雨の日もあってその時は二人で傘の中にいた。何を話したかは思い出せない。その少女の友達がぼくの知っている男のことが気がかりで、適当な距離感を持って相談事に応じていたような感じがかすかにする。

あれは美大受験のためのデッサン教室に通っていた頃だ。今思えば、十数人が小さな円卓の上のガラスビン

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