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僕らの金メダル 6話

夏を目の前にして、僕らは立ち止まっていた。掲げていた目標を見失い、残された半年の日々をどう過ごし、残された試合をどう戦っていくか考えさせられた。
チームとしての目標
一回以上…優勝する!
勝てなかったチームに勝つ!
個人としての目標
キャプテン…盗塁30本、打率5割!
ピッチャー…ワイルドピッチをしない。ピンチの時こそ笑顔!
キャッチャー…パスボールをしない!
ファースト…チームの為になる守備、バッティング!
セカンド…簡単なボールをそらさない!
サード…打率4割以上、叩いてゴロを転がす!
レフト…バントを確実に決める!
センター…1度は宿敵に勝つ。フライをあげない。遅れて入った分、早く仲間に追いつく!
これが、僕らが新たに掲げた僕らで決めた目標だ。
僕らの知らないところで、この目標について親たちは話し合い、意見をぶつけ合い、僕たちを光のある方向に導こうとしてくれていた。
意見は割れたらしい。どうしても1度は『優勝』させてやりたい。というものと、初めに決めた目標に全力で取り組み結果は出た。その上で、まだ『優勝したい』と願うのは、わがままじゃないのか。というものらしい。
それぞれの親の立場や考え方は違っていても…想う気持ちは、ひとつだったから…。僕らが願う方向に近づけるようにと、親の1人は、別のグランドを借りてきて、海に夕日が落ちるまで打撃練習に付き合ってくれた。他の親たちも、時間が許せば見に来てくれた。普段の練習を見てくれながら、この強化練習を少し距離を取りながら見守ってくれる親もいた。そんな大人達に見守られながら僕たちは、陽が沈むまで打ち続け、ボールを追いかけていたんだ。
結果はすぐには出なかった。でも、確実に一歩ずつ進み、小さな光は僕らを照らし始めようとしていた。

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