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比較的悪くない記事

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習作の内、比較的悪くない出来の記事
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#小さい頃の思い出

ゆりちゃん

特に親しくなかった同級生に関する唯一の思い出。 先日実家に帰ったとき。 同級生のゆりちゃんに彼氏がいるらしいと母から聞かされた。 (母は役場勤めで、地元の友達の近況を私よりも知っている) 特別の興味はなかったのでふぅん、そうなんだ、と流した。 ゆりちゃんとは保育園から中学まで一緒だったのだが、 これといった接点はなく、 話をした記憶もほとんど残っていない。 強いていうなら猫みたいな喋り方をする子だったというくらい。(別の友達も言っていたのである程度は共通認識だったのだろ

そこは夢の跡

とあるスナックについての思い出。 駅前に、文字通り傾いたスナックがあった。 その名もスナック 「ドリーム」。 桃色文字の黄色い看板には蔓性の雑草が巻き付き、入り口のビニール屋根はくすんで破れて、傾きかけたコンクリの建物はもやはり蔓が巻き付いていた。 実家から駅までは遠く、また自転車で通える距離の学校に通っていたので駅を利用する機会は決して多くはなかったが、両親が運転する車の窓から覗くこの異様な店は子供心にも妙に惹かれるものがあった。なんとなく、両親にここについて尋ねるのは