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エッセイ的な記事

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#言葉

春を売る女

「春を売る女」 この言葉から何が想起されるだろうか。 子供の絵本に出てくる妖精さんかしら。 或いは季節を司る優しい魔女さんかしら。 このような感じで私の頭では、 とてもメルヘンな世界が想起された。 果たしてその実態は。 春を売る女とは売春をする女の意。 つまり売春婦のことである。 ああ、なるほど。 言われてみれば読んだままだ。 なぜ気づかなかったのだろうか。 そもそもだ。 なぜ性的な事象の表現に春という言葉が使われるのだろうか。 するとびっくり、春という

賽の河原

常世と現世を隔てる三途の川、 その河原を "賽の河原" という。 賽の河原では親に先だって死んだ子供たちが、 黙々と小石を積んで親を供養している。 やがて彼方から鬼がやって来る。 なんだ、この歪な塔は。 こんなもので供養になると思っているのか。 親より先に死んだ親不孝者が。 この程度の事も満足にこなせない。 貴様の両親は嘆いているぞ、 何故こんな子を産んでしまったのかと。 貴様の両親は恨んでいるぞ、 あんたなんて産むんじゃなかったと。 お前はなにも生み出さない。 誰もお前

土を舐める

土を舐めるという表現について。 地元の個人病院にいったときのこと。 インフルエンザの予防接種でいつもお世話になっている小さな個人病院にいった。60過ぎのおじさん一人と3人くらいの看護婦さんで回しているため、回転効率は悪いのだが、人当たりがよく、勉強熱心で、腕がいいので毎日たくさんの人が訪れる。 その日も例にもれず1時間半程度待たされた。 待ち時間はいつも待合室に置いてあるバガボンドを読み進めるのだが、流石に途中で集中力が切れてしまうため、待合室の婆様たちの会話に耳を傾

「日替わり定食」という言葉について

「日替わり定食」という言葉に矛盾を感じたが、実際には何も矛盾はしていなかったという話。 最近の昼食が毎日、セブンイレブンの「蒙古タンメンのカップ麺」と「モンスター」の組み合わせに落ち着いていることに気づいたので、これに「ジャンク定食」と名付けた。その時にふと思ったのが「日替わり定食」という言葉、矛盾してはいないかということである。 私は漠然と「定食=決まった料理の組み合わせ」だと思っていた。例えばコロッケ定食ならば「ごはん、みそ汁、コロッケ、千切りキャベツ、たくあん」の定