本当にやりたいことは何だ?~私が介護を選んだ理由~
春先に母親と仲違いした。
理由は私が政治活動にボランティアとして参加し、
SNSで家族のことを喋りすぎたからだった。
子育ての苦しさ、女性の社会復帰の壁、上がらない賃金、障害者や要介護者の問題etc…
自分と家族を取り巻く様々な問題に疑問を感じていた。
社会を変えたかった。
それが正義だと信じ、実行しなければ怠慢だと思い込んでいた。
「私たちのことは放っておいて」
それが母の言葉だった。
理解し難かった。
家族のためを思い始めた活動が、
どうして否定されるのかと、私は怒りに満ちていた。
その日から実家に行くのをやめた。
長年一人で父の世話をしてきた母の負担を減らすため、
それまでは数日おきに介護の手伝いに行っていた。
心配なのは、父のことだった。
4年に一度の大型選挙である統一地方選挙が終わり、
私は今後の目標を定めるべき時にあった。
自分が本当に政治家になりたいのか。
本当にやりたいことは何なのか、
立ち止まって考えるべき時期にきていた。
ある日、母の不在の時間に合わせ、父の様子を見に行った。
暫く会いに行かなかったことで、
状態が心配だった。
部屋に入ると、ベッドからずり落ちた父が、
薬の副作用である不随意運動に苦しんでいた。
随分と痩せたように見えた。
そして怯えていた。
ストレスから母が変わってしまったと。
”自分が今一番やりたいことは何なのか?”
会社で認められること?
仕事をやめて子育てに力を注ぐこと?
転職して収入を上げること?
政治家になって日本を変えること?
散々悩んできた日々の答えが、
くしゃくしゃになった父の顔の上に書いてあった。
もっと父と一緒にいたい。
それが私の答えだった。
会社員としてこうあるべき、
母としてこうあるべき、
国民として声を上げるべき、
全ての「すべき」から解放された時、
純粋な「私」の思いは随分とシンプルなものだった。
6月から休職し、今は毎日のように父と時を過ごしている。
おむつを替えながら、入れ歯を洗いながら、
私は今、心から幸せを感じている。
*毎日介護*
大切な家族と過ごす時間をもっと明るく楽しく。
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