ハガキ職人から放送作家、そして。12
【放送作家8年目(29歳) 2009年】
それは、ある放送局で会議をしていた時のことでした。
普段は滅多に会うことがない経理部の社員さんが、僕を訪ねてやって来たのです。
「細田さんという作家さんは、どなたでしょうか?」
「はい、僕ですが」
会議を抜けて話を聞くと、経理の方は困った様子で僕にこう言いました。
「実はですね。先ほど●●区役所から電話があって、弊社から細田さんにお支払いしている給料を差し押さえたいと言われまして…」
「はっ?!」
「税務課と言っていたの