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南北共同連絡事務所の爆破と今後の北朝鮮の軍事的行動

昨日南北共同連絡事務所が爆破された

北朝鮮は連日、韓国を非難する声明を発出している

昨日の朝、国営メディアの朝鮮中央通信は

朝鮮人民軍総参謀部、党と政府が取るいかなる対外的措置も軍事的に保証する

という談話を報じ

われわれは、党中央委員会統一戦線部と対敵関係部署から北南合意に従って非武装化された地帯に軍隊が再び進出して前線を要塞化し、対南軍事的警戒をさらに強化するための措置を取れるように行動方案を研究することに関する意見を受け入れた。
また、地上前線と西南海上の多くの区域を開放し、徹底した安全措置を講じて予見されている各階層のわが人民の大規模な対敵ビラ散布闘争に積極的に協力することに関する意見も受け入れた。
われわれは、以上のような両意見を迅速に実行するための軍事的行動計画を作成して、党中央軍事委員会の承認を受け取ることになるであろう。

と軍事的行動を警告し同日午後南北共同連絡事務所は爆破された

ここで注目したい表現が

われわれは、以上のような両意見を迅速に実行するための軍事的行動計画を作成して、党中央軍事委員会の承認を受け取ることになるであろう。

という部分である

党中央軍事委の承認を受けるとあったため私は談話と行動に若干タイムラグがあると考えていた

しかし結果的にその日のうちに南北共同連絡事務所は爆破された

この場合事前に中央軍事委の承認を受けていたと考えるのが自然だろう

また脱北者団体による北朝鮮を批判するビラ散布は何度も行われており今回が初めてではない

これを踏まえると今回の南北関係の緊張は偶発的なものではなく今後の動きまで入念に考えられている計画的なものと捉えるべきだろう

実際に今日だけでも朝鮮中央通信は金与正氏、朝鮮人民軍総参謀部声明など計6本の談話、声明を報じており場当たり的な対応ではなく周到に計画された挑発であることが窺える

今後の挑発は?

北朝鮮は韓国との軍事境界線のある非武装地帯に軍を進めると警告しているほか朝鮮人民軍総参謀部のスポークスマン談話で

1.わが共和国主権が行使される金剛山観光地区と開城工業地区にこれらの地域の防御任務を遂行する連隊級の各部隊と必要な火力区分隊を展開することになるであろう。
2.北南軍事合意に従って非武装地帯から撤収した民警営所を再び進出展開して前線警戒勤務を鉄桶のごとく強化するであろう。
3.西南海上前線をはじめとする全前線に配置された各砲兵部隊の戦闘当直勤務を増強し、全般的前線で前線警戒勤務級数を第1号戦闘勤務システムに格上げさせ、境界地域付近で正常な各種の軍事訓練を再開することになるであろう。
4.全前線で対南ビラ散布に有利な地域(区域)を開放し、わが人民の対南ビラ散布闘争を軍事的に徹底的に保証し、手落ちのない安全対策を立てるであろう。
朝鮮人民軍総参謀部は、このような対敵軍事行動計画をより細部化して早い時日内に朝鮮労働党中央軍事委員会の批准に提起するであろう。---

と発表している

この点を踏まえるとDMZへ軍を進める他、海上の韓国との軍事境界線である北方限界線(NLL)での何らかの行動(北方限界線を突破するなど?)が考えられる

また一部報道では金正恩朝鮮労働党委員長の専用機が平壌を発ち北朝鮮東海岸へ向かったとされている

北朝鮮の東海岸には様々な種類のミサイル発射実験が実施された元山や咸興などがある

また潜水艦の基地があるとされる新浦、咸興もある

金委員長の専用機は咸興付近で航跡信号が切られたとされ咸興付近に金委員長が滞在している可能性がある

このような動きから早ければ数日以内に咸興付近でSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載可能な潜水艦の公開或いは発射実験が行われる可能性がある

金与正氏の立ち位置

最近の対韓国声明は金与正氏の名前で発出されており対韓国事業を与正氏が統括しているとの指摘もあり北朝鮮国内での金与正氏の立ち位置が注目される

現在金与正氏は朝鮮労働党中央委員会政治局員候補、同党中央委員会組織指導部第1副部長とされているが今後朝鮮労働党中央委員会政治局員や朝鮮労働党中央軍事委員に選出され党・軍への指導力を増していく可能性がある

また金正恩委員長が心臓バイパス手術を受けたとの指摘もあり金委員長の健康状態も合わせて見ていく必要がある

今後の朝鮮半島情勢の推移を注意深く見守っていきたい

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