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これからの経営を問う。

渋沢寿一さんという農学博士の方がいらっしゃいます。
渋沢栄一さんの玄孫(やしゃご・孫の孫)にあたる方だそうです。

寿一さんとご縁でお話をさせていただきました。

経営者にとってとても大切な感覚「時間の流れ」。

もともと戦前・戦後の事業経営者にとって、事業を営むの一番の目的は「雇用の確保」でした。
だって焼け野原で、食うに困る路頭の民ばかりの世の中でしたから。

それが、戦後の高度経済成長を経て、バブル崩壊を迎えます。
バブルで得た全ての物質的欲求のなれの果てが、虚しさと不幸な社会だった。

そこで、1990年代、「雇用の確保」はもういいから、「株主への配当」を一番に考えなさいという欧米の自由市場経済の考えが広まりました。
売上利益を上げて、企業の時価総額を最大にして、GDPを押し上げれば、必ずみんな”幸せ”になれる!そのためにとにかく競争せよと。

そう思って、24時間戦えますか!? なんてCMが世にあふれて、
残業しまくって過労死したり、、、それでも、根性が足りないと言われて引きこもりが増えたり、、、

その結果、なんか幸せでもないのに、経済大国GDP第3位(2010年代に第2位の中国に追い抜かれた)と世界に称賛されたりもしました。


論語と算盤

日本に資本主義を取り入れた渋沢栄一さんは、ご存じのとおり、右手に論語、左手に算盤(そろばん)という名言を残されました。

ところが、どうでしょう。今は両手に算盤の世じゃないですか?
とにかく数字、数字、数字。。。
目標は、拡大、拡大、拡大。。。
それが成長のシルシ。

渋沢栄一さんの孫である、渋沢敬三さんは、渋沢家の名を継ぎながら戦後の日銀総裁や大蔵大臣(現財務大臣)を歴任されました。

寿一さんは、叔父にあたる敬三さんに事あるごとに
「祖父の栄一は、(資本主義という)とんでもないモノを日本に持ち込んだ」
と憂いていたと言われます。

2000年代に経営者となったボクは必死で経営を学びました。
経営を学問で学ぶのはMBAが最適と思い、ビジネススクールの通いました。
そこで、学んだことは「いかに企業価値を上げるか」「利益を上げるか」「短期的な数値目標を達成するか」ばかりでした。

それを信じて、企業経営を頑張ったらいつかソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さんみたいになれると信じて、必死に頑張りました。

でも、どんなに数字を追いかけても、なんか幸せになれない気がしていたんです。

それはボクだけではなく、社員や家族や取引先の皆さんも、、、

そろそろ時代の転換点

多分、多くの起業家・企業家のトップが気づいているのだと思います。
もう、時価総額とか、短期的な売上利益の追求は、人々の幸せにはつながらないと。。。
それどころか、地球や自然をどんどん破壊してしまっている。

どんなに数字を追ってロボットやAIが、机上の技術を進歩させたとしても、身体性を伴ったニンゲンの幸せは満たせないんじゃないかと。

だからこそ、自然に学ぶことが大切なのだと思います。
自然を学び、自然に寄り添い、
地球と共生していく。

「あめつちのこころに近づかむ。」

戦後の企業経営も、
第1フェーズ「雇用の確保」の70年を経て、
第2フェーズ「株主配当」の77年を経て、
いよいよ第3フェーズの「心身の幸せ」へとシフトチェンジしていると思います。

以上。





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