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ChatGPTと漫才台本を作ってみた。③

AIに、漫才台本の生成は難しいが、アイデア出しは強そうだとわかったので、以下のように質問してみた。

シリアスなアイデアではなく、こんなお客がいたら笑えるというコントのアイデアを出してください。

なんとか笑えるアイデアを引き出したい。うまくいく保障はないが、漫才はいったんわきに置いて、コントでお願いしてみる。

チャットGPTの回答

タイトル: 「奇妙な常連客」

アイデア: 主人公は古いスナックでバーテンダーをしていると、ある日突然現れた奇妙な常連客たちに振り回されることになります。以下はその中からいくつかのコントのアイデアです。

1「無駄に詳しいトリビアマニア」 主人公の前に現れるのは、トリビアに詳しい男性客。彼は常に驚くべき事実や知識を披露し、他のお客たちを困惑させます。例えば、彼が「空気の重さは実は10gだと知っていましたか?」と言うと、他の客たちは疑問に思いながらも笑いを誘います。

2「常に大声で歌うカラオケ好き」 スナックにやってくる女性客は、カラオケ好きでいつも大声で歌っています。彼女がマイクを手に取ると、周りの客たちは驚きと困惑の表情。彼女がハイテンションな曲を選ぶと、主人公は大声で歌うお客に対応しながらも笑顔を浮かべます。

3「常連のドジっ子」 スナックにはドジっ子の男性客が常連としてやってきます。彼は飲み物をこぼし、椅子につまづき、ドタバタと周りを騒がせます。しかし、彼のドジな行動には不思議な幸運が絡んでおり、彼がコップを倒すことで思わぬ展開が生まれるなど、笑いを生み出します。

4「モノマネ芸人の常連客」 スナックにはモノマネ芸人の常連客がいます。彼は有名人の声やしぐさを完璧に真似し、周囲を爆笑の渦に巻き込みます。彼が有名人のモノマネを披露するたびに、客たちは驚きと笑いに包まれます。

これらのアイデアをもとに、奇妙な常連客たちと主人公のコミカルなやり取りが続くコントを展開することで、笑いと軽快な雰囲気を楽しむことができるでしょう。

数秒かからずに回答してくれた。アイデアとして悪くないと思う。

とはいえ、このアイデアを基に面白いコントを考えろといわれても、わたしには難しい。
アイデアとは、引出しのカギのようなものだ。わたしのお笑いの引き出しなど、空っぽに近い。カギをもらっても、取り出せるものがないのだ。せっかく考えてくれたのに、ごめん、チャットGPT。

人工知能に頭を下げてばかりの気がするが、チャットGPTの回答にも、多少問題があるように思う。それぞれのアイデアの最後、コントの締め方だ。どのアイデアも「笑いをさそう」「驚きと笑いに包まれる」といった、平和な雰囲気で終わっている。一癖ある常連客というボケに対し、突っ込み役が見当たらないのだ。

ここで、はたと気が付いた。
チャットGPTは、アメリカの会社で作られたらしい。
欧米のお笑いには、突っ込みという概念があまりないと聞く。
笑うタイミングを、演者が突っ込みで誘うのはなく、オーディエンスに反応をゆだねるのが一般的らしい。

チャットGPTに日本語で漫才を考えて欲しいと要求するのは、ハンバーガーショップで、ざる蕎麦を注文しているようなものなのだ。

同じお笑いでも、アメリカンジョークならお手の物に違いない。
早速、つたない英語で頼んでみた。

Make a joke about a old bar. Threre are twe men. A man is a old who is a regular customere and otther men is yong. It is first time the young man comes there.

以下が、回答である。(最後にチャットGPTによる翻訳があります。)

Sure, here's a joke for you:

A young man walked into an old bar for the first time. He noticed an elderly gentleman sitting at the counter, sipping his drink. Curious about the place, the young man decided to strike up a conversation.

Young Man: "So, how long have you been coming to this bar?"

Old Man: "Oh, sonny, I've been coming here since before you were even a twinkle in your father's eye!"

Young Man: "Wow, that's quite a long time! What keeps you coming back?"

Old Man: chuckles "Well, this place has everything. The drinks are strong, the music is lively, and the atmosphere is full of nostalgia."

Young Man: "That sounds amazing! I can't believe I've been missing out on this hidden gem."

Old Man: "Oh, it's not for everyone, you know. We've got a few house rules that might take some getting used to."

Young Man: "House rules? Like what?"

Old Man: "Well, for starters, we don't have Wi-Fi here. You'll have to socialize with actual people instead of your smartphone."

Young Man: "That's not a problem, I can handle that."

Old Man: "Good, good. Another thing, if someone asks you to play a game of darts, don't refuse. But fair warning, the dartboard may be older than me!"

Young Man: laughs "I'll make sure to brush up on my dart skills then!"

Old Man: "Finally, the last rule is simple. If you see a couple of guys sitting at the end of the bar, telling wild stories about their youth, just remember... they're probably talking about me!"

Young Man: "Noted! I'll be on the lookout for those legendary tales."

Old Man: "Welcome to the old bar, young man. Enjoy the drinks, the stories, and the unforgettable characters you'll meet here."

Remember, laughter is always on the house at the old bar!

ある若い男性が初めて古いバーに入ってきました。彼はカウンターで飲み物を飲んでいる年配の紳士に気づきました。場所に興味を持った若い男性は、会話を始めることにしました。

若い男性:「このバーにはどのくらい通っていますか?」

年配の男性:「おお、若者、君が生まれる前からここに通っているよ!」

若い男性:「わあ、それは長い間ですね!何があなたを引き寄せているんですか?」

年配の男性: 笑いながら「まあ、この場所には何でもありますよ。お酒は強くて、音楽は賑やかで、雰囲気はノスタルジーに満ちています。」

若い男性:「それは素晴らしいですね!こんな隠れた宝石を見逃していたなんて信じられません。」

年配の男性:「ああ、それはすべての人に向いているわけではないんだよ。ここには少し慣れるのに時間がかかるいくつかのルールがあるんだ。」

若い男性:「ルールですか?具体的にはどんなルールですか?」

年配の男性:「まあ、まず最初に、ここにはWi-Fiはありません。スマートフォンではなく、実際の人々と交流しなければなりません。」

若い男性:「それは問題ありません、私にはできます。」

年配の男性:「いいね、いいね。もう一つ、もし誰かがダーツをやりたいと言ってきたら、断らないでほしい。ただし、忠告しておくけど、ダーツボードは私よりも古いかもしれないよ!」

若い男性: 笑いながら「それなら、ダーツの腕を磨くようにします!」

年配の男性:「最後に、最後のルールは簡単さ。バーの端に座って、若いころの荒っぽい話をしている男たちを見かけたら、覚えておいて...彼らはおそらく私のことを話しているんだよ!」

若い男性:「了解です!伝説的な物語に注目します。」

年配の男性:「古いバーへようこそ、若者よ。ここで飲み物と物語、そして忘れられないキャラクターを楽しんでくれ。」

覚えておいてください、古いバーでは笑いが常時無料です!

長い。思っていた三倍は長い。海外ドラマや映画で見たことしかないが、ジョークってもっと短かいんじゃないのか。

しかも、オチが見当たらない。それとも、わたしがアメリカ式ジョークを理解できないだけなのだろうか。アメリカ人ならみんな笑うところを、わたしだけ置いて行かれているのだろうか?

おそるおそる聞いてみる。

Where is a punchline of it?

Apologies for the confusion. Here's an updated version of the joke with a punchline:

謝ってくれた。

ところが、返ってきたのは、コピペしたように全く同じ回答だった。

わたしがあまりにしつこいので、バグを起こしたのだろうか。最後まできちんとチェックしてみると、書き直しされた部分が見つかった。
一番最後に、オチが付け足されていたのだ。

チャットGPTが考え出した、アメリカンジョークのオチ

Old Man: "Oh, and one more thing..."

Young Man: "Yes?"

Old Man: "The punchline of this joke is that there is no punchline! Just enjoy the humor and the friendly atmosphere of the old bar!"

Remember, laughter is always on the house at the old bar!

年配の男性:「あ、それともう一つ…」

若い男性:「はい?」

年配の男性:「このジョークのオチは、オチがないことだよ!ただ、この古いバーのユーモアと友好的な雰囲気を楽しんでくれ!」

覚えておいてください、古いバーでは笑いが常時無料です!

オチがないのがオチ。禅問答か。

AIは、かなりお行儀よくしつけられているらしい。
マナー違反や倫理にはずれた発言は、厳しく制限されているのだろう。

単に、わたしとの対話の中で、AIが最適な回答を選んだ結果だとしたら、わたしが笑いのセンスゼロで、機知に富んだ一流のお笑いなど、理解できないだろうと判断されたことになる。

いずれにせよ、チャットGPTはわたしの相方にはなってくれなかった。

結局、自力で最後まで漫才の台本を書いた。面白くない人間と、ユーモアに関して発展途上のAIがお笑いを考えると、以下のような仕上がりになる。

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