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星栞カノン
2021年8月1日 00:05
星の夜、月の下。 その羊の仔は、たった1匹、夜空を見ながら泣いていました。 通りかかった、優しい春の夜風が問いかけます。「そんなに泣いて、何か悲しいことでもあったのかい」 羊の仔は答えます。「ええ、ええ、そうなんです。わたしはとても悲しいことがありました」「それは大変だ。君はそれが悲しくて泣いているんだね」「いいえ、いいえ、」 羊の仔は首を振ります。大粒の涙がきらきらと、否定の向