星の天満モノガタリ②

オリヒメチャン。

今回は星のあまんの飼い主。おりひめちゃんのお話。

おりひめちゃん。

後にそう呼ばれることになる女の子は、

地球からはるか25光年離れたところにある【こと座】の恒星ベガのそのまた表面に浮かぶスペースコロニーに住んでいました。

おりひめちゃんは、明るい性格で、ダンスとお料理が得意。
あたまのマゲとピンク色のほっべがチャームポイントのキュートな女の子。
というのがみんなが感じている彼女の印象でした。

しかし、本当はすこし心配性かも。そんな彼女は今日も待っていました。導きの声を。


おりひめちゃんの種族は、かつてベガの周りをまわるとある星に住んでいて、優れた文明を誇り、皆が幸せに暮らしていました。

ところがある日、宇宙規模の天変地異がその星を襲い、人々は星を脱出しなければならなくなりました。

ある者は一時的な避難場所としてベガ表面にスペースコロニーを建造しそこに住み、

そしてある者は、種族の危機を憂いて宇宙を翔け、天変地異の影響が小さかった隣の恒星アルタイル周辺で彼らが住める星を探すこととました。

おりひめちゃんはベガコロニーに逃れ、アルタイルに向かった人たちからの
「移住する星が見つかった!」
という良い知らせを待っていたのです。

ベガコロニーでの生活は、命の危険はありませんでしたが、急ごしらえの施設だったので娯楽施設や休憩施設が充実しているとは言えず、心が休まることはありませんでした。
そして、おりひめちゃんは、星を探しにアルタイル方面に向かった恋人の無事も気がかりでした。

日々心配ごとが募るそんな毎日に嫌気がさし、気分転換に周辺の宇宙空間を散歩していたとき、例の生き物と出会ったのです。

たまごが孵化して地球時間でひと月ほど経っていました。しかし、生き物は未だに目覚めません。生命反応も微弱で、いわゆる仮死状態とも思えました。

栄養もとれない状態が続いていたので、仮死状態とはいえどもこのままではいずれ命の危機に瀕すると、おりひめちゃんは考え、心配でたまりませんでした。

同時に、なぜ自分はここまでこの生き物の心配をしているのか、不思議に思いました。

ーえ?
ペットみたいなモノじゃないの?
ペットなら他に飼い主がいるのでは?
わたしが育てられるの?

いろいろな思いが巡りましが

ただ一つ言えることは、彼女のなかに新たな希望が芽生えたということでした。

目の前ですやすや眠る小さい生き物。
まだどれだけ生きれるかわからないこの小さな命だけど、気づけばその姿を見て微笑んでいる自分に気づく。

おりひめちゃんは、あらためてこの生き物の飼い主であることを自覚しました。
そして、この生き物を生きながらえさせるため力を尽くそうとあらためて思うのでした。

つづく


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