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「恩送り」と感謝の力学

例えば何か困った時、
誰かが助けてくれたとします。
その恩を、助けてくれた人に返すことを
「恩返し」といいますね。

誰かに助けてもらった時、確かに
私も相手にお礼したくなります。
お菓子をお渡ししてお礼したりと、
よくあるシーンです。

ところでタイトルでは
「恩送り」と書きました。

それは、

誰かから受けた恩を
ほかの誰かに渡していくこと

だそう。
当人ではなく、誰かに渡していく
というものです。

私は、職場の人へのインタビューの中で、この言葉「恩送り」を知りました。その方は、毎日のように商品をお客様へ届けるスタッフさんです。

スタッフさんは、とても真面目な性格の女性。
その彼女のお子さんが小さい頃にご病気をされて悩んだ時、お客様方が良い方で、毎日励まされていたのだそう。彼女はその時にもらった恩を、新たに出会う方々に渡していきたいと、そんなことを話していました。

私はこの話を聞いた時、素敵な話だなぁと思っていました。私には恩送りなんてできるのかなぁと思っていました。



それから1年近く経った先日、金曜日の夕方、私は支店への大量の送り込み品の準備を抱えた憂鬱の中にいました。

オフィスのコアタイムが終わった後、迷惑にならないようにあと1500部印刷して、折って、パッキングして…と考えると、もう憂鬱。

やり切らなければならない使命感に駆られて仕事を進めつつ、深夜までの残業を覚悟していました。


しかし、嬉しいことに助けの手を差し伸べてもらえたのです。

オフィススタッフの女性に、遠方への送り込み分、全体の一部だけを進めてもらっていたのですが、「これは一人でやったらあかん」と彼女が動いてくれました。

気づいたら、複数の印刷機を上手いことまわしてくれていました。さらに先輩達も用紙の折り込みをしてくれて、気づいたら部長も手を動かしている…!

心の中で「部長の時給でこの作業してはダメでは…」と思いつつ、作業を終わらせることを優先しているうちに効率よく完了できたのでした。


そして翌日のこと、私は農場の視察&ボランティアの場にいました。
実はこれがあったから、内心、深夜までの残業をしたくなかったのです! 貴重な視察や取材の場は、コンディションづくりを大切にしています。

私は伸びやかな気持ちで午前中の視察を終え、午後は野菜の箱詰めのボランティア作業をすることになりました。

農場の人たちは遠慮して、ボランティアチームにはかなり負担のない、体験的な量だけの作業依頼をしてきました。でも話を聞きながら作業していると、それは少人数でやると途方もない量。

みんなでやれば30分追加で終わるじゃないとなって、結果的に倍の箱数を終わらせました。


作業をしながら、ボランティアチームに気を使う農場長をなだめるように話していて、

「昨日は私、会社のスタッフさんと先輩達に助けてもらって…」
「助けてもらった分、恩送りしなくちゃなんですー」


と、自分で言葉にしてから気づきました。

(…あ、これが恩送りなのか)


昨日は私が疲弊した大量の作業を
皆に手を貸してもらって完了させた分、
今日は私が助ける側に入って
野菜の箱詰めに精を出している。


感謝の力学は、世の中で
よく働くのかもしれません。

私は力を貸してもらった分、
いつの間にか人に力を貸していました。


「恩の返し方」は、これからも
考えていきたいです。

でも、明日の月曜日には、オフィススタッフの女性にも、ありがとうって伝えなくちゃですね。

Aoi314