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最悪だった新宿と、変わらない日々
最近、とあることがきっかけで自殺未遂をした。
縄に首をかけて意識消失したはずが、なぜかまだ生きていた。おそらく、生存本能で無意識に足掻いて踏み台を戻してしまった。
朦朧とした意識で気がつけば新幹線に乗っていた。平日の真昼間。切符は静岡行き。この精神状態で、静岡に着けば向かう先はたったひとつ。
そう、樹海。
なんとなく嫌な感じがして、東京行きに進路を変えた。急いでインターネットの友人たちに助けを求めると、何人かが会ってくれることになった。
新宿駅。幽霊みたいに青白い空。くらくらする頭。
最初にきてくれたのは、三つ年上の女の子。
仮にリナちゃんと名付けておく。
一緒にカラオケに入ってお話した。嬉しかった。
でも、途中でリナちゃんが「○○くんを呼んでいいか」と聞いてきた。
○○くんはわたしが自殺未遂をする理由となった人物であり、また、元恋人でもあった。
詳しくは伏せるが、周り曰くどうやらわたしは○○くんからかなり酷い扱いをされたらしく、それで気付かないうちに精神がやられて自殺に走っていた。
(本当はもう一人絡んでいるが、その人とは和解済なので省く。)
当然渋ったけど、彼女の「ちゃんと断罪するから大丈夫。」という一言に押し負かされてしまった。
やってきた○○くんは案の定わたしをたくさん馬鹿にしたり、ここには書けないくらい本当に品のない言動を繰り返した。そして散々言われた挙句「殺すぞ」と叫ばれた。ストレスとアルコールで脳がやられたのか、曲がりなりにも理知的だったかつての○○くんの面影はもうなかった。
そしてリナちゃんはというと、断罪するどころか、お酒を飲んでベロベロに酔った挙句、○○くんといちゃつきはじめ、終いにはわたしともう一人の友達が煙草を吸いに行っているうちに二人でホテルに行ってしまった。
自分はこんなボロボロの状態で汚いセックスのダシにされんだな、と悟った。
しかたないからもう一人の子と朝までゆるく話して過ごした。始発で23歳警備員の人もきてくれた。
○○くんはリナちゃんとの様子を警備員にLINEで生々しく報告してて、本当に気持ち悪かった。
その後色々あって、また二人と会うことになった。もう一人の子と警備員には心配されたけど、精神状態はもはや落ち着いていた。
ホテルから出てきた○○くんの表情はこれまでよりずっと醜く見えて、安心した。
○○くんとは色んなことがあったから、どんどん愚かになっていく彼を見て「わたしが壊してしまったのか?」という考えが過ることもあったけど、このときようやく「これが彼自身が選んだ道なんだな」と諦めることができた。
リナちゃんのことはまだ少し信じていたくて、苦しくて逃げてきたのにセックスのダシにされたのは嫌だったこと、自制が効かなくなるまでお酒を飲むのは危ないこと、○○くんは貴女との様子を他人にペラペラ喋るような人間だということを空気が重くならない形で説明しようと試みた。
けれどわたしの言葉が悪かったのか、それが面倒な嫉妬と受けとられたのか、○○くんと目を合わせた後に彼女は「お前その態度なんなの?」と昨日とは豹変した様子で怒ってきた。
ああ、わたしより自分を肉としか見てない男を選ぶのか。わたしの倫理は何も伝わらないのか。
失望、虚しさ、そして同じ女としての恥ずかしさに襲われて、気が付けば彼女の頬を叩いていた。
手に残る感触。人を叩いたのは、幼い頃の喧嘩以来だった。軽率だった自覚はあるけど、後悔はしていない。
わたしはそのまま新幹線に乗って帰った。
リナちゃんから「逃げんなゴミ」というメッセージと鬼電が届いてたけど、相手にする気にもなれなかった。
気分は妙にすっきりしていた。
帰りの新幹線で、星揺つきのアカウントを開いた。怖くて読めなかったDMや通知を読むと、みんながやさしい言葉をかけてくれていた。
生きててくれてよかった、あなたの言葉や作品が好きだから死なないで。そんなふうに言ってくれる人が、想像以上にずっとたくさんいた。
わたしの感性を愛してくれる人がいる限り、生きて何かを表象しつづけようと思った。
自殺未遂をする前に書いたnoteを読み直して、
こんなに生きる方法を考えたのにさっそく不安定になっちゃったなと反省して自分に苦笑いした。
新大阪駅について、すごく安心した。
ここがわたしの生きる場所だと感じた。
最寄り駅のコンビニでご飯を買うとき、大学の同期三人組に会い、制作や大喜利サークルの話など他愛もない会話を交わした。
また別の友人から「届けものをしたいから家に行っていいか」とメッセージがきていた。
やっと日常に帰ってこれた。
安心して部屋でたくさん泣いた。
久々に学校に行くと、クラスの女の子が「久しぶり、生きててよかった。」と声をかけてくれた。
実習では皆が素敵な作品を思い思いつくっていて、わたしも遅れをとりつつ久々に絵を描いた。
青白かった空にようやく綺麗な青色がのせられたように感じた。太陽もきらきらしていた。
わたしは、いつもどんなに明るくて温かくて美しい場所で過ごしていたのか、実感した。
他愛ない一日がすごく恵まれたものに感じた。
部屋はぐちゃぐちゃで、授業にも遅れていて、たくさんやることが溜まっているけど、この日々を守るためにすこし頑張ってみようと思った。
落ち着いてひとつひとつやっていけばいい。
爽やかな気持ちで一週間を過ごした。
みんな何かとつながりながら生きてる。
人間は醜かったり、うつくしかったりする。
わたしのなかでその価値観が強く形成される出来事だった。
この一件で誰かへの個別な愛情がなくなったかわりに、人間全般への愛しさが芽生えた。
わたしも、○○くんも、リナちゃんも、生きることに必死である点ではきっと同じ。
平和なんて無理だけど、みんなそれぞれの本当に大切なものを守りながら、生きてください。
わたしはわたしの感性と、生きる日々のうつくしい部分が、なによりも大切です。
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