当選続きの男

知らない大型ショッピングモールのような場所。見覚えはない。
私は異性である誰かとスポーツものの服売り場に来ている。彼はスマホの画面を見ながら当選した!と喜んでおり(石田彰の声)、服のタグを一着一着確認している。これだ、と真新しいスポーツブランドの上着を手に、そのまま店を出ようとする。多分景品か何か。「はちみつをシャワーみたいに頭から被ったような気分」と嬉しそう。

別の日。また同じショッピングモール。彼はちょっとごめんと言ってから、インフォメーション受付のような場所(無人)の受付側に立って、会場アナウンスを始めた。知らない女性の声がモール内全体に行き渡る。喋り終えた彼のもとへ行くと、これはバイトだと言う。

スポーツものの服売り場。彼は迷わず一着を手に取り、「はちみつをシャワーみたいに頭から被ったような気分」と言いながらカゴにいれる。服は黒く、薄く埃を被っている。また当選したんだろう。でも埃を被っているということはしばらくここに来る暇が無かったのだろう。彼は疲れている様子。

カートを走らせていると、たぶん同年代の知らない女性が勝手にCDをカゴに入れてきた。すれ違い様だったので去ろうとする背中に彼が声をかけた。CDを入れた女性はちょっと急ぎの様子で、「ついでに買っておいて!バンドを立ち聴きすると割引になるから」。彼とCDをカゴに入れてきた女性は顔見知りらしい。そういえばさっきから女性ボーカルのロックな音楽が聴こえる、バンドとはこのことか。彼はさっさと行ってしまった顔見知りに何か言いたげな様子だったが、仕方無しにカートを進ませた。私は、彼とあの女性はたぶん恋人同士なんだろうと思った。

彼はごめんと言いながらさっきと同じようにインフォメーション受付の向こう側に立ち、会場アナウンス(女性の声)を始めた。ジロジロ見ているのもおかしい気がしたので、私は少し離れた場所に突っ立ってぼーっとしていた。ガキ使のLINEスタンプってあるのかなあとどうでもいいことを考えている。

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