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【ライブレポート】2023/11/9 BUZZ THE BEARS "THE FINAL”@高田馬場CLUB PHASE

年内での活動休止を発表したBUZZ THE BEARSの、東京ラストワンマンに行ってきました。普段のレポは「だ・である」な語尾で書いてるんですが、今回はちょっと素直な感情が出しやすいかたちで綴ろうと思います。

まず、ラスト東京の場に高田馬場CLUB PAHSEを選んでいるところが最高だな、と思います。東京で初めて彼らがステージに立った(と思われる)会場。状況的に、キャパ300のCLUB PAHSEでなく600のO-WESTでも開催できたのではと思いますが、より思い入れのある場所で、という時点ですでにグッときてしまいます。

ハコ内には東京、いや関東でのラストワンマンというこでたくさんの人が。コロナ禍に、客が数十人しかいないCLUB PAHSEでBUZZのライブを何度か観た自分としては、なんだか感慨深い想いです。

ハコのスタッフも「たくさんの人に観てもらいたくて…まだ全然入りません! 3歩前に詰めてください!」とアナウンスするほど。

開演から少し経ち、観客や関係者などが入り切ったタイミングで場内暗転。千住明「わが心の銀河鉄道」というお馴染みのSEと共に登場する3人。越智くん(Vo/Gt)のバンダナタオル姿も、これでしばらく見納めになるんですね…。

さあ、感傷的な気分になるのはまた後で。1曲目は「鳴りやまぬ歌」から!

《あなたに送る 鳴りやまぬ歌》
《心に響き続けるように》

東京ラストを飾るこの夜、会場に集まった観客に向けての惜別のメッセージのように響くこの歌。盛大なシンガロングを合図に、いよいよライブの幕が開けました。すでに泣きそう。

リリース以降、ライブ冒頭に配されることが多かった「RUN」で加速。「サクラ」「ピエロ」などの名曲を惜しげもなく放っていきます。

そして越智くんは「いつも言ってるやつ」と切り出して、対バンライブでは10曲くらいだけど、今日はワンマンだからあと25曲ある、と煽ってフロアを沸かします。結果的にダブルアンコールまで入れると、あと30曲だったわけですが。

たった30秒で終わる「180°」では、「もっと行けるんちゃうん?」と焚きつけて2曲連続で披露するサービス精神も発揮。

「めちゃくちゃ歌って帰れよ!」という越智くんのMCもあり、コロナ禍で夢見ていた景色がどどーんと目の前に広がります。たまにシンガロングするパートではないところで、越智くんの歌声をかき消すような観客の全力歌唱が後ろから聴こえてきたりもしたんですが、今日はいい。今日は許す。存分に歌え、とそんな気持ちでした。

泣きながら観ていた観客の姿が見えたのか、越智くんが「泣くな!」って叫んでいるシーンもあったな。

もしコロナの真っただ中で彼らが活休していたら…。こんなシンガロングなど許されるはずもなく。その場を動くことすら禁止された強烈な制限下で、職場のルールや当時の空気的にライブハウスに足を運べない人もいて、そもそもライブハウスもキャパ制限を強いられ、行きたくても行けない人が多数生まれていたはず。

制限が解けた今、最後の挨拶まわりとしてあちこちでライブをやってくれるBUZZ THE BEARSに感謝です。思う存分に声を出すことで、こちらからも3人に気持ちを伝えることができる。

「マジックスパイス」「ひまわり」「シンデレラキッズ」…まだまだライブは前半戦ながら怒涛の名曲ラッシュ。モッシュ&ダイブで汗だくになりながら楽しむキッズ、一曲一曲をしっかり目に、そして耳に焼き付けようと必死でステージを観る観客。それぞれがそれぞれのスタンスでこの時間を大切に過ごしているのが感じられます。

越智くんは言いました。今日はたくさんのバンドマンが観に来てくれた、と。CLUB PHASEでよく対バンしていたというSunny Girlは「こんなパンパンなCLUB PHASE見たことない」と言っていたそう。

そして「CLUB PHASEでやってる若手バンド、見とけよ! スーパースターの登場だ!」と叫んでからの「スーパースター」披露という流れはカッコよかった。ハコ、そして対バンとの繋がりや縁を感じさせてくれるのも、こういったインディーシーンの醍醐味。

また、CLUB PHASEでライブをやるとき、ほぼ毎回言っていたような記憶がある「初東京はCLUB PHASE」トーク。神田川に興奮した、なんてエピソードも以前語っていたなあと思いながら聞いてました。

当時は下道使って14時間かけて東京来てたので、打ち上げ終わって東京を出発し、大阪に着くころにはライブ翌日夕方になっていた、なんて話も。そして移動中の14時間、智くん(Dr)は一度も起きなかった、という暴露トークまで。そのとき、「智は免許なかったからな」とさりげなくフォローを入れる大介くん(Ba)の優しさにちょっとほっこり。

当時の思い出を話しながら、東京で初めてやったライブハウスで22年後にソールドアウトする、そんな喜びとCLUB PHASEへの感謝を伝える越智くん。

いつでもロックはあなたのそばにいる、と歌う「RONCK'N'ROLL IS ALWAYS WITH YOU」も、ロックをBUZZ THE BEARSに置き換えて聴いてしまってやっぱり感情はぐちゃぐちゃです。

ライブ中盤、「パズル」「夢の続き」「10YEARS」とまたまた名曲たちの連続投下に大興奮しながら、同時に終わりへと近づく寂しさも感じつつ。

「別れ風」直前の越智くんのMC。「東京来るときは、いつもドキドキして。そんなはずないんやけど、今日で何かが変わるかもしれんって思いながら車で東京に向かってた。今日もおんなじ気持ちで来た」と笑いながら言う。

「そんなはずないんやけど」っていうのは22年やってきての率直な感想なのかもしれません。でも過去の話ではなく、今日も胸を踊らせてここCLUB PHASEにやってきたと話す越智くんの想いを想像して、やっぱり泣けてくるんです。やめるのやめる、って変わらないかなあ…などと夢物語を想像して。

「笑ってまた明日」での

《泣いた今日はもう終わり》
《笑ってまた明日》

もまた、今日ここに集ったみんなに向けられたような歌詞でグッときてしまう。

「FOREVER ONE」前には、これも越智くんの口から何度か聞いた、駆けあがっていく友人バンドたちを横目で見ながら何度も悔しい想いをしてきた、というMCも。

でも、そこで終わらないのが今日の越智くん。活休発表してから、1ヵ月で10本のライブが決まって。そんなの俺らくらいじゃないか、と胸を張る。いろんな仲間やライブハウスが「うちにも来てくれ」と声をかけてくれたんだそう。

22年間、地に足付けて泥臭くライブハウスで音を鳴らし続けたからこその、オファーだと思います。各ライブハウスや対バン、NINTH APOLLO 、そしてメンバーへの感謝を伝えながら「こういうバンドで良かったと思います!」と告げる越智くん。こういうバンドを好きになった自分も誇らしいです。ホントにいいバンドだよBUZZ THE BEARSは!

「サンライズ」を演奏する直前、メンバー3人が拳を合わせ、越智くんは「ラストスパート!」と叫ぶ。ヤバイ、ホントにもう終わってしまう…!

そしてその「サンライズ」なんですが
《Wake up!! It's time for departure,hey boy!!》
《Stand uo while rubbing your sleepy eyes》
と冒頭で歌った後、長いタメがあってから再加速するのがライブ定番。あとで家に帰って音源聴いていたらなんだか違和感あって、その理由は、冒頭でのタメがないことでした。それくらい、この曲をライブでいっぱい聴いてたんだなと実感して、嬉しいような寂しいような、複雑な気持ちになりました。

さあ、そんな「サンライズ」から「クライマー」「光り」と続き、フロアの盛り上がりも最高潮。気づけば最初は小さかったモッシュピットのエリアがグンと拡大。しかし、ここでやや不穏な空気が流れ、越智くんが「こんなことあるんやな、俺と智、セトリ間違えたわ」と、予定していた曲を飛ばしてしまったことを明かします。

そして、本来「光り」(もしくはその前の「クライマー」)の前にやるはずだった「約束」を披露。この曲はなんといっても冒頭からの盛大なシンガロングが最高な一曲。もちろん自分もできうる限りの大声で熱唱しましたよ。本来のセトリ通りだとしたら、「約束」に入る前に、何か考えていたMCがあったかもしれないですが、そんなことはもういいんです。

本編ラストに演奏されたのは、「雨」。ライブでもトップクラスの鉄板盛り上がり曲。曲中で「寂しくなったら、俺らあと×本あるからライブハウスに来い!」と叫ぶ。
※聞き取れなかったけど、サイトで本数確認したら、たぶん7本

横浜含めまだ全国でBUZZのライブは開催されます。でも自分にとっては今日がラストBUZZ。そう思ってここに臨んだので今日で一旦、見納めです。

本編が終わってすぐ飛び交う「ワンモアーーー!」の声に応えてステージに現れた3人。フロアからは「エンドレス!」「カラフル!」「裸の王様!」「花火!」などリクエストの声が飛ぶと、「そこまで言うなら」とリクエストを受け付け、「エンドレス」を披露します。

その後、「1曲増やしていい?」とメンバーに確認する越智くん。そのままアンコール2曲目として「雪慕情!」のタイトルを告げると、フロアからは悲鳴のような歓声も。

ラストは、「ありがとう」の言葉をみんなに伝えるように「あなたへ」。フロアも歌います、BUZZへの感謝を込めて。

《あなたにはありがとうじゃ》
《きっと全然足りないだろう》

《あなたとまた歩き出す》
《光がさす日まで》

そんなフレーズが今日は特別沁みるんです。

ラスト東京、アンコールじゃ足りません。当然求めるダブルアンコール。そしてステージに再々登場したBUZZ THE BEARSに、またまたフロアからリクエストの声。

「全てを!」のリクエストに対して「それは最後にやるーー!」というリアクションが別の観客から挙がり、ちょっと笑ってしまいました笑。うん、ここまで温存した以上、ラストブロックで絶対やるもんね。

そしてその言葉通り、「全てを」が始まりました。その瞬間、近くで「これやったら終わっちゃうじゃん!」って声が聞こえてきて、なんだかとてつもなく寂しい気持ちに。そうだよなあ、これはもはやライブ終わりの合図みたいなもの。あちこちで漏れてくるすすり泣きの声も、寂しい気持ち、切ない気持ちに拍車をかけます。

感傷的な空気をかき消すように「呼んだのそっちやで!」とフロアを煽る越智くん、ラストだろうが容赦なし!

そしてまたまた、「1曲増やしていい?」とメンバーに確認するとこれが本当に東京最後の一曲「ライブハウス」を演奏。曲冒頭で「全員隣のやつと肩組め!」なんて越智くんが珍しい指令を出しました。

左にいた男子はすっと肩に手を回してくれ、右にいた女子にはお互い会釈を交わしたうえで腕を絡め、皆で肩を組んでのシンガロング。こんなのスカパラ「All Good Ska is One」で谷中さん号令の下でやって以来。BUZZでは初めてやりました。

《響きわたってた歓声は》
《時に埋もれて消えてくけど》
《一緒に過ごした思い出は》
《消えない》

こんな歌詞、今日ほど胸に迫るものはないです。

自分が初めてBUZZ THE BEARSのライブを観たのは、10年前の京都大作戦牛若ノ舞台。そこで彼らのライブの楽しさを知り、同年のロッキンやCDJ参戦を経て、翌年3月に代官山UNITで開催された『[GOLD RUSH TOUR FINAL』がツアー初体験でした。その後もeggmanや渋谷CLUB QUATTRO、タワレコでのインストアライブだったり、武道館への夢を語ったO-WESTなどいろいろ足を運びました。もちろん、ここ高田馬場CLUB PHASEでのライブも。

すべてのライブで、BUZZ THE BEARSはいつもカッコよかった。「ライブハウス」を聴きながら、そんな自分とBUZZの歴史を振り返ったりもしました。

「忘れんなよ! 俺たちが、高田馬場CLUB PHASE、最強のインディーズバンド、BUZZ THE BEARS!」

最後の最後、越智くん全身全霊の叫び。忘れるわけがないです。最高のメロディと情熱と優しさがこもった歌の数々をありがとう。これはあくまでも活動休止。どんな形であれ、またいつか戻ってきてくれるその日を待ってます。

ライブハウス側からの優しさでしょうか。3人が去った後のステージに光を灯して、しばらく楽器もそのままで、撮影しやすいようなはからいも。


ライブハウスからの帰り道。いつもならライブで聴いた曲をiPodで聴きながら、というのが自分のスタイルなんですが、今日はiPod、必要ありませんでした。

さっき高田馬場CLUB PHASEで聴いた「ライブハウス」が、鳴りやまぬ歌としてずっと脳内で響き渡っていたから。

セットリスト参照:おまウィー(@SxBxP)
https://twitter.com/SxBxP/status/1722616095352524925

01.鳴りやまぬ歌
02.RUN
03.サクラ
04.ピエロ
05.ブルースカイ
06.アイスクリーム
07.180°
08.180°
09.マジックスパイス
10.ひまわり
11.BB SOLIDERS
12.シンデレラキッズ
13.スーパースター
14.FAR AWAY
15.ロメオとジュリエット
16.WOLF MAN
17.RONCK'N'ROLL IS ALWAYS WITH YOU
18.パズル
19.夢の続き
20.10YEARS
21.別れ風
22.それでいい
23.笑ってまた明日
24.FOREVER ONE
25.STAND BY YOU
26.サンライズ
27.クライマー
28.光り
29.約束
30.雨

EN1
31.エンドレス
32.雪慕情
33.あなたへ

EN2
34.全てを
35.ライブハウス


サブスク未配信曲を除くセットリストプレイリスト


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