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【ライブレポート】2021/11/14 東京雪祭2021 SNOWBANK PAY IT FORWARD2021

ずっと気にはなっていたイベント「東京雪祭」に行ってみた。毎年代々木公園で開催される、献血や骨髄ドナー登録に関する啓蒙を主な目的とした、音楽やスノーボードのフリーイベントだ。


11回目を迎える「東京雪祭SNOWBANK PAY IT FORWARD2021」は2008年に血液の難病、慢性活動性EBウィルス感染症と診断され、骨髄移植で命を救われたプロスノーボーダー荒井daze善正が献血・骨髄ドナー登録の必要性とスノーボードの魅力を世の中に伝えることを目的に開催される
「東京雪祭2021 SNOWBANK PAY IT FORWARD2021」公式ページより引用

今回、LOW IQ 01やG-FREAK FACTORYが出演すると知り、東京雪祭デビューを決意。

ざっくりと会場の概要を説明すると、中央には大きなスノーボード用のコースが設置。ストレートレール、ダブルダウンというセクションでプロスノーボーダーたちが華麗な技を見せている。

また代々木公園野外音楽堂では先に挙げたバンドを含め、13日(土)・14日(日)の2日間で8アーティストがパフォーマンスを披露する。

もちろん主目的である献血や骨髄ドナー登録に関するブースもあり、募金箱も設置。

さらに会場には飲食関連の店からMOBSTYLES、ELECTRIC、ムラサキスポーツといったアパレルやスポーツ関連のブランドショップなども出店。献血することで貰える特典なども用意していた。

ということでここからは、当日観賞したライブパフォーマンスを紹介したい。レポート、というほど細かくは書けないので、おおよその雰囲気だけでも伝われば。

■LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS

このイベントの常連でもありLOW IQ 01。すでにベンチシートは満席で(間隔を空けて座るスタイル)、立ち見客も多数。東京雪祭にとって欠かせない存在であることが開演前から伝わってくるようだ。

Edgar Winterの「Frankenstein」が流れる中、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSの3人が登場。ベースはもちろんイッチャン、ギターはフルカワユタカ、ドラムはダゼ(山﨑聖之)の編成。

ライブ冒頭、イッチャンは叫ぶ。「SNOWBANK!SNOW繋がり!」「心の中で、心の中で、あ・ば・れ・ろー!」

いきなりの「Snowman」で幕を開けたライブは、グッドメロディ×演奏テクニックの化学反応で会場を興奮状態へといざなっていく。アウトロでは横並びとなったイッチャンとフルカワユタカが、それぞれ左腕と右腕をクロスさせながらベースとギターを弾くというパフォーマンスも披露。

景気よく飛ばしながら「Every Little Thing」「SWEAR」でさらに会場を盛り上げつつ、「RULES」では一転、ミディアムな立ち上がり。両手の指で0と1を作り、イッチャンを表す「01」を示してアピールする観客。中盤でテンポが上がり、再び終盤にはしっとりする構成に痺れる名曲だ。ラストのダゼによる豪勢なドラムも最高。

MCブロックでは昨年の雪祭について、バンドとしての出演は叶わずピックだけの参加だったと語るイッチャンは、今年は参加できて嬉しいと喜びを隠さない。今回が初参加だというフルカワユタカに、何か告知はあるか?と話を振ると、12月12日に東京でライブがあるものの「ソールドしてるんで大丈夫です」と告知無用宣言。

すかさずイッチャンは「人数制限でキャパ半分だろ!通常営業だよ!」とフルカワユタカの鼻をへし折っていた。

ライブ後半は「Delusions of Grandeur」から「MI-O-TO-SHI」へと続く“細美武士コーラス参加曲”のコンビネーション。「MI-O-TO-SHI」ラストでのダゼの軽やかな英語詞コーラスが冴え渡る。そして野外ならではの、拡散していくような音にグッとくる。

イッチャン曲の中でもトップクラスの幸福感を呼び起こす「MAKIN'MAGIC」で会場を笑顔で満たすと、TOSHI-LOW(BRAHMAN)のモノマネを挟みながら“日常”が戻りつつある歓びを語り、最後に「Little Giant」を披露してLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSのライブは終了となった。

ステージを去る際には、イッチャンおなじみの「俺、音楽やっててよかった!」という決め台詞も飛び出す。もはやお約束のように捉えられかねない言葉ではあるが、毎回ライブのたびに心からそう思っているのだろうと感じさせるほど、今のLOW IQ 01のライブは充実しているように思う。

50歳を過ぎて、今ピークを迎えているのかもしれない。

1.Snowman
2.Every Little Thing
3.SWEAR
4.RULES
5.Delusions of Grandeur
6.MI-O-TO-SHI
7.MAKIN'MAGIC
8.Little Giant


■G-FREAK FACTORY (acoustic set)

2番手のG-FREAK FACTORYが登場する前に、MCを務める田原104洋(MOBSTYLES)からの注意事項のアナウンスがあった。主に立ち見エリアが密になってきており、ソーシャルディスタンスを訴える104。それでもなかなか密が解消されない一部立ち見エリアに向けて、自分のことだと思っていないかもしれないが…と正しい現状認識を促しつつ開催中止もあり得る、と口調そのものは丁寧だが内容としては強めの注意喚起を行っていた。

すでに楽器隊のスタンバイも済んでおり、あとは104のMCが終わるのを待って茂木の登場を待つ段階に。

しかしMC終了を待たずして、茂木がふらーっとステージに現れる。「俺のMCが長いから(茂木が出てこれなくて)ブーイングされる流れだったのに!」と自身の演出プランが崩壊したことを悔やみながら104が退場し、ここで主役交代。

コロナ禍でのライブ等でたくさん注意喚起してきたから、MCスキルがうまくなった、と茂木は104を褒めていた。

そしていざ、G-FREAK FACTORYのライブが始まる。

ハンドマイクで歌う1曲目の「Fire」から、熱い。アコースティックライブだが、熱い。音自体は動ではなく静なのに、熱い。抑えきれない熱量がそこにある。これがG-FREAK FACTORY。

前日の東京雪祭にて、近年まれにみる雨バンド(locofrank)がここでライブをしたにもかかわらず晴れだったという軽いロコイジリをたしなみつつ、「日本のアフリカ、群馬からやってきたビジュアル系バンド、G-FREAK FACTORYです」と挨拶。

「コロナ禍でアコースティックライブをやるようになって、目指すところがハイスタ、BRAHMANではなくTHE ALFEEになった」とジョークを飛ばして会場を和ませ、2曲目「Unscramble」へ。

ここで茂木がギターを手に取るも、機材トラブルが発生して音がちゃんとでなくなってしまう。機能しないギターを抱えたままイントロが始まるが、最終的にはギターを元の位置に戻し、「弾かねえっていう笑」と呟いて笑いを誘うと、ハンドマイクで歌い始めた。

ハプニングへの対応が見事で、まさしくピンチをチャンスに、観客の(どうした?大丈夫か?)という緊張や不安をさらりと笑いに変える、場数を踏んだ者だからこその処し方が素晴らしかった。


MCで「コロナ禍になって、バイクに乗ったりキャンプしたり。東京の人には悪いが田舎の圧勝だと思った」と群馬生活の充実ぶりをアピールする茂木はさらに、焚火についても語った。

知らない人たちが集まって焚火を囲む。最初は喋らないが、徐々に皆がコミュニケーションを取り出していく。やがて仲良くなった頃にお開きとなってしまうが、次に会うときは、あの日の焚火の続きができる。フリースに染み付いた炭の匂いは数日経っても消えず、その匂いを嗅ぐたび、あのとき一緒に焚火を囲んだ人の顔を思い出す。

今日の焚火はSNOWBANK、そしてdaze。その火のまわりをこんなに多くの人が囲んでいる。そしてこの匂いを明日嗅げば、今日を思い出す。


そんなふうに、コロナ禍での焚火のエピソードと絡めてSNOWBANKを語り、今日のこの日は一日で終わるわけではなく、続いていくということ。そしてそういう現場こそが大事だというメッセージを伝えていた。

「Unscramble」を歌う間にスタッフが対応して、無事に復活したギターを手に「ヴィンテージ」を披露した後は、イッチャンに「NUKEY PIKESは世界一好きなバンド」「NUKEY PIKESがなかったら今の俺はない」と言わしめるほどの存在、NUKEY PIKESのカバーをイッチャンとともに歌った。

終盤には、アコースティックであっても緩さのない、魂を削るような「FLARE」「らしくあれと」を披露すると、ラストにオフマイクでタイトルを叫んでから「ダディ・ダーリン」を全力で歌いきった。

曲終わりから、トラックなしで「“降り出した雨、locofrank”」といった遊びや、おそらくは即興も入れ込みながらの茂木節全開高速ポエトリーリーディングを炸裂させると「俺たちがローカルバンドの最高傑作、G-FREAK FACTORY!」と痺れるひと言を残してステージを去っていった。

1.Fire
2.Unscramble
3.ヴィンテージ
4.Easy love baby(NUKEY PIKES) feat.LOW IQ 01
5.FLARE
6.らしくあれと
7.ダディ・ダーリン

■Lenny code fiction

3番手に登場するは、東京雪祭初登場となるLenny code fiction。最初の2バンドとはジャンルもファン層も大きく異なり、ベンチエリアの観客はほぼ総入れ替えとなった。前列のほとんどは女性が占めており、そのファン層は一目瞭然。

LOW IQ 01、そしてG-FREAK FACTORYを目当てに会場に来た人も多かったため(自分もそのひとり)、客席後方には空席も目立っていた。

すでに『僕のヒーローアカデミア』『炎炎ノ消防隊』など人気アニメのテーマ曲を担当するなど確かな実績を積んできた彼らにとっては不本意な状況かもしれない。

それでも、目の前にいる観客に向けて全力のパフォーマンスを披露する。そんな彼らにファンもしっかり応え、腕を上げたり跳ねたりしながら思い思いに楽しんでいた。

彼らのライブを観るのは今日が初めてで、不勉強で申し訳ないが曲についても詳しくなく、どれも今日のライブで初めて触れるものばかり。

そのビジュアルや曲、ステージでの立ち居振る舞いなどすべてが新鮮だった。冒頭から畳みかけてきたセットリスト、その2曲目にあった「Make my story」は特にキャッチーで耳に残る一曲。あとで調べたら先ほど触れた『ヒロアカ』のオープニングテーマのようで、さすがのクオリティだ。

片桐航(Vo/Gt)は、会場入りしてから“すごいうまいケバブ”を食べたりして過ごしていたと言い、初参戦となる東京雪祭の雰囲気なども味わっていた様子。

また「野外気持ちいいです!」「初めて出させてもらって、すごく楽しいです」と今日の感想についても語り、東京雪祭についても「もっといろんな人に伝わればいいなと思います」と話していた。

今日のステージから得た個人的な第一印象としては、昼の野外よりは夜、鮮やかな照明に照らされながらのライブが似合いそうな雰囲気を感じる。加えて先輩2バンドとのファン層やこのイベントへの出演経験の有無といった違いもあって、決してホームとは言えない環境だったのではないだろうか。そんなステージに挑み、自分たちがやるべきことを全うした彼らはカッコ良かった。

全ての演奏を終え、ステージを去るときにソラ(Gt)が長い時間、深々とお辞儀をしていた姿が目に焼き付いている。

彼らもこうして東京雪祭に名前と歴史を刻んだ。また次回以降、再びこのステージで素晴らしいパフォーマンスを見せてほしい。

1.脳内
2.Make my story
3.Enter the Void
4.Sleeples Night(新曲)
5.世界について


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